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「妖精的日常生活」シリーズ

Fairy Valentine

 

 

〜ハートの形〜

 

 

 

作:ノイン

協力:地駆鴉さん

*「妖精的日常生活」シリーズは、ジャージレッドさんの同名作品から生まれたシェアワールドです。
*「妖精的日常生活」の公式設定等は 
http://www.keddy.ne.jp/~jersey-r/fairy_life_top.html
または 
ジャージレッドさん までお願いいたします。


 私、望月花(もちづき・はな)は中学二年生の女の子、人生の一番輝いている時期、お花で言えば、だんだんと咲き誇っていく時期、当然の事ながら「恋」というものをしてみたくなっちゃう時期だったりもして。(//-// )

 まあ、そんなこんなで突然だけど、私には好きな人がいるの、名前は御船良平(みふね・りょうへい)君、頭が良くて、優しくて、スポーツが得意な、とってもかっこいい男の子なの。そんな男の子をクラスの他の女子がほっとくわけもなく、私はずっと見ているだけだった・・・でも一ヶ月前、思い切って告ってみたら、OKもらえて、その時は嬉しくて嬉しくて、これから、バラ色の人生が待っているのだと思っていたの。でも・・・

 三日前

 私はいつものように午後10時には、もうベッドに入って眠っていた。えっ早い?いいじゃない!睡眠はお肌にいいんだよ。

 ともかく、私が眠っていると、どこからか不思議な声が聴こえてきたの。姿は見えないけど、なんか声に透明感があって、神秘的な感じがする、私はぼや〜っとそんなことを考えていたと思う。

『こんばんは、人間さん、私はこことは違う場所に住む、妖精と呼ばれる存在です♪』

 唐突というかなんというか、安眠を邪魔する高い声で「妖精」が呼びかけてきた。私はまだ、眠たいという気持ちが強くて、そのまま黙っていた。そしたら、そいつが更に言葉を続けた。

『私達の国は、この世界で機械と呼ばれている存在によって脅かされています。どうか私達に力を貸してください♪』

 その時やっと、これって妖精の「召喚」だと気づいたの、私が妖精になったら良平君との、バラ色ライフが送れなくなっちゃう。良平君が妖精が好きっていうのなら、喜んでなるけど、妖精と付き合いたいのは奇特な趣味を持っている人ぐらいだろう、良平君はノーマルだもんね、私はそう考えた。そして答えを返した。拒絶の意思ははっきりとださないとね。

『ごめんなさい、私は妖精にはなりたくないの。今付き合っている人がいるんで・・・』

 名前さえ、言わなければ、妖精に召喚されないことぐらいは私も知っていた。そしたら、その妖精はさらに頼み込んできたの。まったく、今考えても腹が立つ。

『お願いします♪困っているんです♪』

『語尾に♪をつけて言われても、説得力がないですよ。』

『これは癖なんです♪それよりも召喚に応じてくれませんか♪自分で言うのもなんですけど、私は可愛いですよ』

『良平君が望月さんは可愛いって言ってくれたから、妖精になんかならなくていいです。』

『あれ、相手の男の方は下の名前で呼んでくれないのですか♪まだまだ、付き合い始めたばかりなのですね♪』

 可愛らしい声なんだけど、とっても憎らしいことを、その妖精は言った。私はむきになって、言い返した。思えば、それが妖精の手だったの。はあ〜、溜息がでちゃう。

『いいもん、いつかは花ちゃんって呼んでくれるもん。』

『はい♪望月花さんですね♪、召喚を了承してくださってありがとうございます♪』

『うぞ、そんなんでも、召喚って成立するの?嫌ぁぁぁ・・・・』

 私が信じられないっといった表情をしているのを、無視しながらその妖精は召喚の儀式を進めた。

『我、妖精族のアイリスおよび人間族の望月花は、その互いの肉体を交換し、心を移し替えることに同意せり♪ この同意のもと我は召喚術を行うものなり♪ 異世界の壁を越え、生きとし生けるすべての存在の親であると同時に子である創造者よ♪ 我に力を♪ 望月花に祝福を♪ いざ来たれ♪ いざ行け♪ 命の入れ物、魂が纏いし衣服たる肉体よ♪ 新しい命、新しい魂に仕えよ』♪

『やめて〜、やめてぇぇぇ〜〜〜』

 私は召喚をやめさせようと必死に叫ぶ、でもアイリスはそんなことはお構いなし、この人でなし、じゃなかった妖精なし〜〜〜!!そして・・・

『相互換身用召喚魔方陣展開♪次元通路確保♪召〜換〜♪』

 その言葉を最後に、私は人間から妖精になってしまったのでした・・・

 


「もう、いい加減にしなさい」

 お母さんにまた怒られた。召喚された日から私はずっと部屋にこもりっぱなし。自分でも悪いことをしているっていうのはわかるけど、なにもする気がおきなかった。

 妖精なんかになっちゃったら、絶対、良平君に嫌われちゃうよ。いや、嫌われわしないかもしれないけど、妖精と付き合いたいとは考えないだろうな。私の恋は終わっちゃったんだ。そう考えると私はまた悲しくなってきて、ぽろぽろと涙がでてきた。

 でも、いつまでもこうしているわけにはいかないのはわかってる。私は顔をごしごしと拭いたあとに、妖精の身体からすると、大きすぎるベッドから起き上がり、トンボタイプの羽を出した。そのまま空中に飛び上がる。妖精になったのは不本意だったけど、この感覚は好き。空に溶けそうになる。空を飛んだことがない人間には絶対に伝えるのは無理だろうな。

 そうして私は一階に降りていった。

「やっと起きてきたのね。ほら顔を洗って。」

 お母さんが洗面所の蛇口から、水をちょろちょろとだしながら言った。なんだか怒っているようで怖い。なにしろ今のお母さんは私の七倍はあるんだから、すっごい迫力なの。とりあえず、私は「はーい」と答えて、顔を洗った。最後にタオルで顔を拭いたらさっぱりした。悲観的になっていた気持ちも少し晴れた。単純なんだって思わないでよ。小さなことで一喜一憂するのが乙女なんだからね。とっても繊細なの!!

 

「さっき、良平君が来てくれたわよ。」

 私がさっぱりしたのを見届けて、お母さんがとんでもなく重要なことを、まるで洗濯物でもとりこむような軽さで言った。

「うそ、私が妖精になったって言わなかった?」

「言ってないわよ。風邪だと嘘をついてて、悪いと思わないのかねぇ?」

 お母さんが言うこともわかるし、私自身、良平君をだますのは嫌だと思う。でも自分が妖精になっちゃったって知られるのが怖い。嫌われちゃうかもしれないから。

「そのうちに話すから・・・」

 結局私はそう言うのがやっとだった。

 

 次の日の朝、私はまだ学校に行く勇気が持てずにいた。お母さんが、私の部屋に入ってくる。

「あんた、いつまでそうしている気、学校行かなくても、妖精になったって電話するからね。」

 お母さんはひどい、そう言われたら、私に残された道は一つしかないじゃない!!

「わかった、今から着替えるから。」

 私はそう言って、お母さんが買ってきた服に着替える。鏡を覗くとそこに可愛いらしい少女がいた、髪が茶色で、目の色も黒で、日本人と容姿はほとんど変わりない、羽があること以外は、人間と大差ない。でも、良平君が可愛いと言ってくれた、私はもういない・・・

 いけないいけない、またネガティブモードになっていた。私は気持ちを切りかえると、お母さんと一緒に学校に出かけていった。

 

 

 その後、お母さんが校長先生に事情を説明して、私はとりあえず、クラスのみんなに報告することになった。ほあ〜、緊張するな〜

 ガラッ

 みんな、妖精になった私を好奇の目で見てる。まあ妖精って珍しいしね。 あっ良平君だ。なんだか見られていると思うと、心臓がばくばくなってくるよ。そんな私の様子に気づかず、私の担任の田川先生がクラスのみんなに話始める。心の準備ぐらいさせて欲しかったのに。

「みんな、聞いてくれ、望月さんは三日ほど前に妖精に召喚されてしまったそうだ。いろいろと実生活で困ると思うから、手伝ってやって欲しい。」

 先生の言葉を聞いてから、みんながざわざわ騒ぎ出す。

 休み時間になって、先生が出て行った後は、私は質問攻めの嵐だった。いくら妖精が珍しいからって、みんなちょっと浮かれすぎだと思った。でもね、良平君は私のほうには来ないで、なんだか困ったような顔をしていたの。やっぱり妖精はだめなのかな。いやだよ。嫌われたくないよ。なんだか知らないうちに私は暗い顔をしていたみたい。友達の綾ちゃんが心配した顔で話しかけてきた。

「大丈夫?、花ちゃん。どうしたの?」

「ううん、なんでもない。ありがとね。」

 私は笑顔を浮かべながら、言葉を返す。今、綾ちゃんにすがったら、泣いちゃいそうだったから、私の笑顔がぎここちなかったのか、綾ちゃんは納得できてない顔だったけど、それ以上は聞かないでおいてくれた。ありがとね、綾ちゃん。

 

「望月さん、ちょっと。」

「はい・・・」

 私は昼休みになって、良平くんに呼び出された。ああ・・緊張するよ〜。

「望月さん、召喚ってさ、こっちが名前言わないと成立しないんだろ。」

「そうだよ・・・」

「なんで、召喚なんかに応じたんだよ。」

 良平君が怒ってる、ちょっと怖い。

「なりたくてなったんじゃないもん。」

 自分でも言い訳めいていると思う。でも今はそれぐらいしか言うべき言葉が見つからなかった。

「自分の意志が弱いから、こうなったんだろ!」

 良平君は拳を震わせていた。

「望月さんは結局、俺とのことも、どうでもいいことだと思ってるんだ。」

「ちがっ・・」

「もういい!!」

 私が言い終える間もなく、良平君はそのまま教室に戻ってしまった。

 私はもうどうしようもなくなって、感情を抑えられなくなって、そのまま自分の家に帰った。お母さんにものすごく怒られたけど、全然耳に入らなかった。

 そのまま私は三日間、学校を休んだ・・・

 

 

 お母さんはもう呆れてしまっている。ああもう、自分が嫌い。いなくなってしまえばいいのに。

 私がふさぎこんでいるところに、お母さんがやってきた。

「綾ちゃんが心配してきてくれたよ。」

「今は出たくない。」

「あんた、まだそんなこと言っているのかい。」

 お母さんは本当に怒って、私をつまみあげると、そのまま私を玄関の前に連れて行った。実力行使はずるいよ。お母さん。

「花ちゃん、大丈夫?」

「うん・・・」

「ほら、上がってもらいな。」

「綾ちゃん、私の部屋に行こう。」

 私は自分の部屋で、良平君との事を話した。途中から感情が爆発しちゃって、綾ちゃんに抱きつきながら、泣いちゃった。我ながら恥ずかしいな。

「良平君ね、花ちゃんが休んでから、ずっと落ち着きがなかったよ。」

「そう・・・なの?」

「うん、花ちゃんのこと心配してたよ。」

「でも、だめだよ・・・私、妖精になっちゃったし。」

 ああ・・・私ってだめだ。すぐネガティブに考えちゃう。

「そうだ、花ちゃん!!明後日が何の日か知ってる?」

 綾ちゃんが突然、私に尋ねてきた。う〜ん、明後日…明後日は確か2月14日、あ!!

「ヴァレンタインだ!!」

「そう、ヴァレンタイン。一緒に作ろうチョコ♪」

 綾ちゃん、私のために考えてくれたんだよね。うれしい。うれしいよ。あれ、どんどん涙がでちゃう。私は涙でうるうるなりながら、一緒にチョコを作る約束をしたのでした。

 

 次の日、土曜日だったの、そんなわけで学校はお休み。昼頃になって、綾ちゃんが私の家に来た。

「綾ちゃん♪」 私は飛び出していって、綾ちゃんにすりすりした。ああ、綾ちゃん大好き。・・・って言っても、良平君とは別の意味だよ。誤解しないでね。

 そのあと、私は綾ちゃんとチョコを作り始めた。

 まず、用意するもの、これは大きいボウルと小さなボウル、そして既存のチョコ、これは綾ちゃんが選んできてくれたの。ちょっとだけ味見したら、すっごくおいしかったよ。あっ妖精って貧乏舌だからかな。うーん、それを差し引いても、おいしいと思う。

 そして、まずはお湯を沸かすの。大体温度は70度ぐらいなんだって。そのお湯を大きいボウルの中に入れて、その中に小さなボウルを沈めるの、そして、さっきのチョコを入れて、あっためて溶かすの。ううー、ここまで私の出る幕がないや。綾ちゃんに頼りっぱなしだね。

「綾ちゃん、チョコを型に入れるのは私がするよ。」

 私思うの、チョコを型に流し込む時がね、チョコに自分の気持ちを吹き込む時だって。だから、この作業だけは自分でやりたかったの。

 綾ちゃんは、私が作業をやりやすいように、妖精でも持てる軽いスプーンを渡してくれた、その小さなスプーンで何度も何度も、ハートの形の型の中に、とろとろになったチョコを注ぎ込む。その時に心の中で良平君と私が、両想いになるようにおまじないをかけるのが大事なの、乙女のロマンだよ。ええと…確か呪文はマハリクマハリタだっけ?それとも、テクマクマヤコンだったかな?うーん全然違う気がする。ああ、そうだ、エロイムエッサイムだったような・・・・・・って!!これは黒魔術の呪文じゃない!!何やってるんだろ私・・・

「ねえ綾ちゃん、好きな人と両想いになれる呪文ってなんだったかな?」

「うーんと、確か、『・・・くんが私を好きになってくれますように』だったかな。」

 うにゃ、まんまだった・・・まあいいや。良平君が私を好きになってくれますように、良平君が私を好きになってくれますように。

 

・・・・お願いしますよ、チョコの旦那、私のお願い叶えてくだせい。

 最後にはくだけてきて、そんな調子だった。私って一体・・・

 ふう、やっと型への流し込み終了、このあと、チョコが冷えるのを待ってから、もう一度暖めるの、これがポイントだね。そのまま暖めないで冷蔵庫に入れると、まずくなっちゃうから気をつけないといけないの。

 うんうん、苦節二時間あまり、やっと手作りチョコができた。あとはこれを綺麗にラッピング・・・こればっかりは綾ちゃんに手伝ってもらったけど。まあしょうがないよね。

 これで一応チョコは完成したんだけど、かんじんの渡す勇気が私にはないことに気づいた。どうしよう。

「良平君にはちゃんと手渡さないとだめよ。」

 うう、綾ちゃんは鋭いのでした。

 次の日・・・

 お母さんに電話をかけてもらった。電話の受話器を取るのが妖精の力では無理なの。ああ・・なんて非力なんだろ。というわけで受話器を横向きに置いてもらったのでした。

「望月さん、大丈夫なの?」

 良平君が心配してる。病気だと思っているのかな。

「あ・・うん、大丈夫。ねえ良平君、ちょっとひまわり公園に来てくれない。」

「あっうん、わかった。」

「じゃあ切るね。」

「ちょっと待って・・」

 私は答えずにそのまま、電話を切った。もしもだよ、これで終わりになっちゃうのかなって思うと、なんか怖くて、最後まで聞けなかったの。ああ〜私って弱いな、でもね公園では、ちゃんと最後まで話を聞くつもりだよ。これから良平君と別れることになっても、自分の気持ちだけは伝えたいから・・・

 

 公園で良平君は待っててくれた。私は自分の身体ほどの大きさがある、チョコを身体にくくりつけながら飛んでいたので、かなり遅れてしまったのでした。

「ごめん、遅れちゃった。」

「そんなに待ってないよ。」

「あのね・・・良平君、私ね妖精になっちゃったけど、これで良平君と終わりになってもね、私、良平君のことが好きだ・・か・ら。」

 最後のほうが涙声になっちゃった。

「俺、望月さんのことが好きだから、最初は望月さんが妖精になったことに戸惑ったけど、それだけは絶対変わらないから。」

 え?うそじゃないよね…妖精と付き合うの?それでいいの、良平君。

「私は妖精だよ、良平君。」

「妖精だろうが、人間だろうが望月さんは望月さんだろ、関係ないよ。」

 あ・・うっ・・・私、前が見えないよ。私が泣いて良平君が困ってるみたい。早く泣きやまなくちゃ。

 やっと、私が泣きやんだ後、良平君が照れくさそうにしてた。はあ〜私、恥ずかしいところばっかり見られているような気がするな。

「それでさ、チョコくれるのかな。」

「あ・・うん。はい、チョコ。」

「ありがとう。」

 良平君が真っ赤になってる。なんか可愛いな。ふう、多分私も真っ赤だろうな。なんか体温あがってるのがわかるもん。

「あのさ・・・」

「うん?」

「これから、映画でも見に行かない。」

 これってデートの誘いだよね。もちろん私の答えはただひとつ。

「うん、一緒に行こう。」

「じゃあ行こう、花ちゃん・・・・

 あっ今、花ちゃんって言ってくれたよね。

 こうやって、少しずつ少しずつ良平君との距離が近づいていけたらいいな。

 そして、この人が好きだっていう気持ちを、ずっと大事にしていきたいな。

 それが私のハートの形、妖精のハートはちっちゃいけど、想いの強さは誰にも負けないよ♪

 

 

おしまい♪


 あああ・・・なんつー恥ずかしい物語を書いてしまったんだろう。これははっきり言って少女漫画のノリで書いてしまいました。地駆鴉さん、こんなんでどうでしょうか?これは地駆鴉さんのイラストに完璧に負けてますな・・・精進しますです。 技術的なことを言えば、一人称(しかも女の子の口調)は初めて書いたので、変なところがあるかもしれません。批判、感想、その他、どんなことでもエニシング・オーケー♪待ってます。


どうも。mk8426です。この作品、バレンタインの贈り物(ノインさん談)としてメールで送られてきたものですが、「読み終わって、はいさようなら」というのはあまりにももったいないと思ったので、作者のノインさんに了解をとりつけて(無理矢理?)、掲載いたしました。
いやー、お約束ですけど、それがいいんですよ。ベタベタですけどね(笑)。mkは好きです(爆)。

2002.02.17  mk8426

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