映画

 

作:逃げ馬

 

 

 晶子と光代は、同じ高校の2年生。中学生の頃から仲良しで、いわゆる優等生タイプの晶子と、しっかり者の光代は対照的なタイプだったが、一緒に遊びに行ったりする事が多かった。

 晶子には秀和というボーイフレンドがいた。やはり学年トップの優等生だった。光代にはボーイフレンドはいなかった。

 「しっかりし過ぎて近寄りにくいのかなあ・・・。」

 晶子が心配していた。しかし、光代にも気になる男の子がいた。同じクラスの孝雄だった。長身の身長と、ビジュアル系の顔。クラスの女子のアイドル的な存在だった。

 

 「よし!じゃあ、孝雄君とデートする機会を作ってあげる!」

 晶子が言うと、光代は、

 「でも、いきなりそんな・・・。」

 「大丈夫だよ・・・心配なら、秀和君も誘ってダブル・デートってことにしたら?」

 「それなら・・・いいかもね!」

 「じゃあ、私が誘ってあげるから、明日の帰りに映画でも見に行こうか?今、ちょうど話題作もやってるみたいだし・・・。」

 「うん!お願い!」

 光代は、晶子に向かって手を合わせた。二人とも笑い出す・・・。

 

 

 翌日の放課後、授業が終わると4人は校門の前に集まった。

 「みっちょん!よかったね!!」

 歩きながら、晶子が光代に囁いた。

 「うん・・・ありがと・・・。」

 光代が、頬を赤く染めて言った。

 「おい・・・どこに行くんだ?」

 秀和が後から晶子に聞いた。

 「とりあえずは、ご飯を食べに行こうよ!そのあと映画を見に行こう!!」

 「そうだな・・・孝雄、それでいいか?」

 「ああ・・・いいよ!」

 4人は、ファミレスに行くと雑談をしながら夕食を食べた。最初は、なかなか孝雄と話す事が出来なかった光代だが、晶子や秀和のフォローもあってしだいにうちとけてきた。食事が終わって店を出る時には、自分で仕切って支払いを済ませ、いつものしっかり屋の一面も見せていた。

 「光代ってしっかりしているんだなあ・・・。」

 孝雄に言われて頬を赤く染める光代。

 

 

 4人は、新しくできた複合映画館にきた。この日は、たくさんの客でごった返していた。どうやら、女性のグループが多いようだが・・・。

 「じゃあ、私がチケットを買ってくるね!!」

 光代は、みんなからお金を集めるとチケット売り場に走っていった。

 「元気のいい娘だなあ・・・。」

 孝雄が言うと、晶子が、

 「そうでしょ!お勧めだよ!」

 笑って言った。苦笑する孝雄。

やがて人ごみの中を光代が両手にポップコーンやコーラを抱えて帰ってきた。

 「どうしたの?それ・・・。」

 秀和が驚いて尋ねた。

 「いいのいいの、予算が余ったから、ハイ!」

 光代は、みんなにコーラと、ポップコーンを配っていく。

 「予算・・・余るの・・・?」

 首を傾げる秀和・・・たしか、ピッタリの額しか渡さなかったはずだが・・・。

 「さあ、見に行こう!」

 4人は、映画館に入ろうとした。劇場の係員は、秀和と孝雄を見て変な顔をしたが、特に何も言わなかった。

 映画が始まった・・・“ノンストップ・アクションムービー”という謳い文句だけに、始まると4人とも映画にはまって周りのことは気にならなかった。孝雄と、秀和は体がくすぐったかった・・・時々体を座席から、ずらす・・・映画を見てると体が辛いんだよなあ・・・そんな事を考えながら見ていた。

 

 映画が終わった・・・エンド・ロールが終わると照明がついた。場内が明るくなる。

 「うう〜ん・・・。」

 伸びをする孝雄。

 「・・・。」

 一瞬思考が止まった・・・いつもとは違うものを見た気がした・・・自分の胸に手を持っていく。

 『ムニュッ』

 柔らかい感触・・・そして、脳細胞には、掴まれているという信号が胸から伝わる・・・。

 孝雄の視界には、ブレザーを着た自分の体が写る・・・しかし、それは光代や晶子が着ているのと同じ・・・女子の制服だ。何よりもチェックのプリーツスカートを履いて、そこから伸びる足は細く無駄毛が一本もないツルツルの女の子の足だ。紺色のハイソックスまで履いている。

 「ウワーーッ!僕はいったい!」

 そう言って横を見ると、同じ制服に身を包んだ、さらさらのロングヘアーの美少女が驚いた表情をしている。

 「あれ・・・秀和は?」

 孝雄だった女の子が呟くと、

 「おまえ・・・孝雄なのか?」

 「そうだけど・・・。」

 「俺達はいったい・・・。」

 「おまえ・・・秀和・・・なのか・・・?」

 ショートカットと、ロングヘアーの美少女が見つめ合う・・・晶子と光代も驚いて固まっている。周りの客は、首を傾げながら出て行った。

 

 やがて、場内を整理するため係員が入ってきた。4人にかまわずゴミなどを集めている。

 「お客さんたち、チケットをちゃんと見なかったんですねえ・・・。」

 係員は、ごみを集めながら言った。

 4人は、自分の持っているチケットを改めて見た。

 

 『レディース・デイ割引 1000円』と書かれていた。

 

 

 

 

 

 

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 こんにちは、逃げ馬です。

 長編を書いたあとなので、久しぶりにSSを書きたくなって書いてみました。

 “女性専用シリーズ”(いつシリーズになったか知りませんが)ですね。

 シネコンでは、よくやってますね。この日に映画を見に行かれる女性は多いのではないでしょうか()。残念ながら、男の子には割引がありません。ちょっと残念です(苦笑)

 ではでは、最後までお付き合いいただいてありがとうございました。

 

 2001年5月5日   逃げ馬

 

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