「華代ちゃんシリーズ」
レディースシート
南文堂(原案:mk8426)
*「華代ちゃん」の公式設定については
http://geocities.co.jp/Playtown/7073/kayo_chan00.html を参照して下さい
こんにちは。初めまして。私の名前は……え?名前なんてどうでもいい?そうですわね。
それにしても、最近は本当に心の寂しい事ばかり。そんな世の中のために私は活動しています。まだまだ未熟ですけれども、たまたま私が居合わせましたら、心の内を何なりと仰ってください。私に出来うる範囲で、そんな曇ったお心を晴れ晴れにして差し上げましょう。
料金ですか?いえ、お金として報酬は頂いておりません。お客様の満足が何よりの報酬でございます。どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。
さて、今回のお客様は…。
「すいません、今夜の『ドリームつばめ』の指定席、1人ありますか?」
俺は窓口氏に訊ねた。愛想笑いを浮かべながら、マルスを叩く窓口氏。その表情がちょっと曇ったのを、俺は見逃さなかった。
(ないんだな、席。しょうがない、自由席の通路ですごすか)そう思ったとき、窓口氏が口を開いた。
「いやー、すいませんねぇ、指定席、満席です」
口ではそう言いながら、表情はちっともすまなさそうではない。
「じゃあ、自由席で・・・」
そう俺が言いかけた時、窓口氏がニヤリと笑い、言った。
「女性専用席なら、空きがあるんだけどね。女装する?」
・・・・・・
「ふざけるな」
俺はそう吐き捨てると、「みどりの窓口」を出た。
券売機で自由席特急券と乗車券を買い改札を抜けようとしたが、その前にトイレに行きたくなり、コンコースの隅にあるトイレへ向かった。
・・・・・・
「ふう〜」
用を足し、洗面台で手を洗う。
(はぁ、今夜は休めんなぁ。いっそのこと窓口氏が言うように女装でもするかぁ?)
そんなことを考えながら手を洗っているといきなり小学生くらいの女の子に声をかけられた。
「おじさん、どうしたの?」
「おいおい、おじさんはひどいなぁ。それにここは男性用だぜ。あっちで話そうか」
なぜか俺は、「つばめレディ」(JR九州の特急列車の女性乗務員)の制服を着ていたその子を不審に思うこともなく、一緒に待合室へと場所を移した。
「ふ〜ん、特急の指定席が満席だったのね」
「そうなんだ。明日も朝から仕事だから、できたらゆっくり休んで行きたかったんだけどな」
「いいわ、私にまかせておいて。あ、そうそう、これ」
そういって彼女は立ち上がると、乗務鞄から名刺を取り出し、俺に手渡すと、どこへともなく歩いていった。
『ココロとカラダの悩み、お受け致します。 真城 華代』
名刺には、それだけが記されていた。
一体あの子は何だったんだろうと思いつつ、立ち上がろうとしたその時、
<バサッ!>
短髪だった俺の髪が、背中の真ん中に届くくらいのロングヘアになっていた。
(な、なんだ!これは!!)
いきなりのことに訳が分からず混乱していると、今度は胸がムズムズしてきた。次の瞬間
<モコッ!>
胸に2つの突起ができた。幻覚でない証拠に、確かに重さを感じる。思わず両手を胸にやり、揉む。
<むにゅっ>
(あっ・・・!な、何だ、この感覚・・・)
確かに感じる、胸を揉まれた感覚。もう少しで声が出そうになり、あわてて胸から手を離す。すると・・・
<・・・・・・>
今度は股間に違和感を感じ、あわてて手をやる。
(な、な、な・・・・)
さっきまで確かにあったはずの、俺の分身は影も形もなくなっていた。
「・・・・・・・・・・・・!」
あまりのことに、俺は叫び声を上げようとするが、声にならない。と、その時、胸が何かに押さえられる感覚が・・・。
(こ。これは、もしかして・・・ブラジャー?)
そのもしかしてが、俺の胸を包み、形を整える。同時に下半身のトランクスの感触が瞬間的に消え、なにかぴったりした布が下半身を包んだ。
さらに、薄いブルーのカッターシャツが溶けるように形と色を変え見る間に白いシルクのブラウスになる。ネクタイもリボンになってしまった。
(一体、なんなんだ、これは・・・。悪い夢でも見ているのか、俺は・・・)
その間にも、スラックスの2つの筒が合わさって1つになり、膝上丈のタイトスカートになっていく。綿のソックスも伸びながら足、いや、下半身全体を覆いながら、肌色の、薄い合成繊維に変わる。
(何で、俺が、女に・・・)
薄れゆく意識を必死で保とうとする俺。しかし、次の瞬間、顔全体が撫でられるような、くすぐられるような感覚が走ると同時に、意識を失ってしまった。
・・・・・・
(!)
わたしは意識を取り戻すと、ベンチに座り直し、傍らのハンドバッグからコンパクトを取り出すと、自分の顔を見た。
(化粧は崩れてないわね。髪が少し乱れてるかしら)
バッグからブラシを出し、髪を整える。右腕の内側にある時計を見ると、発車の10分前。
(きっぷ、買わなくちゃ)
わたしは手荷物をまとめると、「みどりの窓口」へ向かった。
きゅっ。
私は手帳に黒いマジックを走らせて、そこに書かれた名前を塗りつぶしました。
ふう、あの方で最後ですわね。今回の仕事は全国を飛び回ったのでさすがに疲れましたわ。久々の大仕事でした・・・。ですけど、いくらリストラすると世間体が悪いからといって、女性にしても、思惑通りに寿退社してくれるとは限りませんのに・・・。でも、そこまで頼まれてはいませんし、後は会社がお見合いなどを斡旋して努力されるのですね。それぐらいの企業努力をしなくてはこの不況はやっていけませんものね。
でも、本当に疲れましたわ。さて、私も帰りましょう。
え?今の方でレディースシートは満席ですか?それは困りましたわ。自由席の通路で一夜を過ごすのは、ちょっと・・・・・・はあ、どうしましょう。
「お困りですか?」
振り返ると私と同じぐらいの背格好の少女が立っておりました。何処となく雰囲気が私に似ていますわ。
え、ええ、ちょっと。
「よろしければ聞かせていただけます?私、こう言うものですの」
少女は名刺を差し出したました。名刺には・・・・・・。
どーも、mk8426です。「少年少女文庫」の「感想掲示板」上にて南文堂さんが書き込まれた導入部と結末部分を折り込んでみました。
見事に、「ミイラ取りがミイラに」と(なりそうに)なっております。いかがでしょうか。
こうやっていろいろと発展していくというのも面白いですねぇ。
2001.08.01 mk8426