「姫神奇譚シリーズ 外伝χ話」
レディースシート
mk8426
*「姫神奇譚」の公式設定については、
http://www14.big.or.jp/~yays/library/novel/200103/24194542/hime_settei.html を参照して下さい。
この世には、秘女神とも、姫神とも言われた種族が居たと言う。姿形は、見目麗しく、内には神の力を秘めたりと言う。ただ、性質は残忍と言われ、祟神として恐れられていた。
古都音も、その忘れ去られようとする一族の一人だった。
「すいません、今夜の『ドリームつばめ』の指定席、1人ありますか?」
俺は窓口氏に訊ねた。愛想笑いを浮かべながら、マルスを叩く窓口氏。その表情がちょっと曇ったのを、俺は見逃さなかった。
(ないんだな、席。しょうがない、自由席の通路ですごすか)そう思ったとき、窓口氏が口を開いた。
「いやー、すいませんねぇ、指定席、満席です」
口ではそう言いながら、表情はちっともすまなさそうではない。
「じゃあ、自由席で・・・」
そう俺が言いかけた時、窓口氏がニヤリと笑い、言った。
「女性専用席なら、空きがあるんだけどね。女装する?」
・・・・・・
「ふざけるな」
俺はそう吐き捨てると、「みどりの窓口」を出た。
券売機で自由席特急券と乗車券を買い改札を抜けようとしたが、その前にトイレに行きたくなり、コンコースの隅にあるトイレへ向かった。
・・・・・・
「ふう〜」
用を足し、洗面台で手を洗う。
(はぁ、今夜は休めんなぁ。いっそのこと窓口氏が言うように女装でもするかぁ?)
そんなことを考えながら手を洗っていると鏡からいきなり和服を着たすごい美女が現れた。
「・・・!」
俺がびっくりして言葉を発せないでいると、美女が話しかけてきた。
「お困りのようですね。わたくしは姫神古都音と申します。よろしければ、お困りの理由をお話しくださいな」
「・・・。その前に、場所を変えないか?ここだと他の客が来たら俺には説明できないぜ」
なぜか俺はその美女を不審に思うこともなく、一緒に待合室へと場所を移した。
「なるほど、特急の指定席が満席だったのですね」
「そうなんだ。明日も朝から仕事だから、できたらゆっくり休んで行きたかったんだけどな」
「よろしいですわ。わたくしにおまかせください。それでは、準備がございますので、これにて失礼いたします」
そういって彼女は立ち上がると、どこへともなく歩いていった。
一体あの美女は何だったんだろうと思いつつ、立ち上がろうとしたその時、
<バサッ!>
短髪だった俺の髪が、背中の真ん中に届くくらいのロングヘアになっていた。
(な、なんだ!これは!!)
いきなりのことに訳が分からず混乱していると、今度は胸がムズムズしてきた。次の瞬間
<モコッ!>
胸に2つの突起ができた。幻覚でない証拠に、確かに重さを感じる。思わず両手を胸にやり、揉む。
<むにゅっ>
(あっ・・・!な、何だ、この感覚・・・)
確かに感じる、胸を揉まれた感覚。もう少しで声が出そうになり、あわてて胸から手を離す。すると・・・
<・・・・・・>
今度は股間に違和感を感じ、あわてて手をやる。
(な、な、な・・・・)
さっきまで確かにあったはずの、俺の分身は影も形もなくなっていた。
「・・・・・・・・・・・・!」
あまりのことに、俺は叫び声を上げようとするが、声にならない。と、その時、胸が何かに押さえられる感覚が・・・。
(こ。これは、もしかして・・・ブラジャー?)
そのもしかしてが、俺の胸を包み、形を整える。同時に下半身のトランクスの感触が瞬間的に消え、なにかぴったりした布が下半身を包んだ。
さらに、薄いブルーのカッターシャツが溶けるように形と色を変え見る間に白いシルクのブラウスになる。ネクタイもリボンになってしまった。
(一体、なんなんだ、これは・・・。悪い夢でも見ているのか、俺は・・・)
その間にも、スラックスの2つの筒が合わさって1つになり、膝上丈のタイトスカートになっていく。綿のソックスも伸びながら足、いや、下半身全体を覆いながら、肌色の、薄い合成繊維に変わる。
(何で、俺が、女に・・・)
薄れゆく意識を必死で保とうとする俺。しかし、次の瞬間、顔全体が撫でられるような、くすぐられるような感覚が走ると同時に、意識を失ってしまった。
・・・・・・
(!)
わたしは意識を取り戻すと、ベンチに座り直し、傍らのハンドバッグからコンパクトを取り出すと、自分の顔を見た。
(化粧は崩れてないわね。髪が少し乱れてるかしら)
バッグからブラシを出し、髪を整える。右腕の内側にある時計を見ると、発車の10分前。
(きっぷ、買わなくちゃ)
わたしは手荷物をまとめると、「みどりの窓口」へ向かった。
深夜の駅構内を、場違いとも思える和服の美女が歩いていく。「みどりの窓口」の前でOL風の女性とすれ違い、彼女はつぶやいた。
「今日もまた、よいことをいたしました」
どーも、mk8426です。「例の作品」をかねてから考えていた(!)「姫神奇譚」で構成してみました。いかがでしょうか?
とりあえず30000HIT前祝い作品ということで・・・やっぱ、だめ?(爆)
※この作品の無断転載を禁じます。また著作権はmk8426にあります。なお、個人でのHD等への保存を制限するものではありません。
2001.09.02 mk8426