「妖精的日常生活シリーズ」
2人の『敬』
keyswitch
*「妖精的日常生活」シリーズは、ジャージレッドさんの同名作品から生まれたシェアワールドです。
*この作品の設定は『妖精的日常生活』に準じておりますが、本編とは一切関係ありませんのでご了承ください。
なお、『妖精的日常生活』本編は、http://www.keddy.ne.jp/~jersey-r/ をご覧ください
*「妖精的日常生活」の公式設定等は http://www.keddy.ne.jp/~jersey-r/fairy_life_top.html
または ジャージレッドさん までお願いいたします。
ここは誰で俺はどこぉ!?
・・・えっと・・・反対でした。
ふと気がついたら、辺り一面何も無いところにいたら、大体はこんな反応すると思うんだけど、間違ってますか?皆さん。(同意を求める視線)
「で・・・なんで、あんたがここにいるわけ?」
後ろから声がかかる。ふり向くとそこには、俺・敬一の恋人(別名・俺の部屋の居候とも言う)の敬子がいた。
「おまえこそ。って、ここは一体どこなんだ?」
「どこって・・・解らないでここにいる訳!?」
「解るも解らないも、いきなり気がついたらこんな所にいたんだぞ。 何が何だかさっぱり・・・」
「・・・ここは、私の夢の中よ・・・」
「・・・・・・・・・うそつけ・・・・・・・・・」
「うそじゃないもん!某テレビ局でやってた『200Y』ってので、明晰夢(めいせきむ)ってのをやってて、ついに先日マスターしたところなんだから」
「先日かい。あれやってたのって確か数ヶ月前だったよな。おまけにすでに『200Y』II(セカンド)なんて名前に変わってるし」
「血のにじむような数ヶ月だったわ」
「夢の中で血は出ないと思うが・・・」
「そこでちゃちゃをいれない!。まったく、最終目的の為にどれだけ苦労したと思ってるのよ」
『あのー』
「寝てる間の事を『苦労』っていうのか?」
『あのー』
「いうのよ!!」
『あのー』
「「なに!?」」
あ、ついハモってしまった。
『ひっ、ごめんなさいです。私が悪かったんですぅ』
・・・そこまで下手に出られると・・・こっちとしてもやりずらいんだけど。
「で、声だけしか聞こえない君は一体誰なんだ?」
『私・・・レミーって言いますぅ』
「どうやら小さい子供みたいだから、あんたが話すといじめにしか見えないから、バトンタッチね」
「・・・おう」
「で、レミーちゃんはなにをしたいの?」
『ええっとですねぇ・・・あなたを召喚をしたいんですぅ♪』
「召喚って・・・」「もしかして妖精のあれか?」
噂には聞いた事がある。夢の中で妖精に話しかけられると妖精にされてしまうって事を。
『ということで、解っているみたいなので、是非とも是非とも名前を教えてもらえませんか?』
俺と敬子はひそひそ話を始めた。あいつに聞こえないくらいの声で。
(どうするんだ、敬子・・・名前言ったら妖精にされちまうんだろう?)
(そうらしいけど・・・名前さえ言わなかったらいい訳でしょう、敬一)
『敬一様ですね、ご協力感謝しまーす♪』
「ちょっと待てー!!何で名前が解ったんだぁ!?つーか敬子の夢なのに何で俺が召喚されなきゃならんのだぁ!?」
『この中では口に出さなくても、考えるだけで相手に伝わるんで〜す♪
それに・・・この夢は、敬一様の夢ですよぉ♪』
それを聞いた瞬間、俺は敬子の方をキッとにらむ。と、敬子はあさっての方を向いて・・・こいつ、今まで堂々とのたまってたのは嘘だったか。
『とにもかくにもありがとうございますぅ♪ では♪
我、妖精族のレミーおよび人間族の敬一は、その互いの肉体を交換し、心を移し替えることに同意せり♪ この同意のもと我は召喚術を行うものなり♪ 異世界の壁を越え、生きとし生けるすべての存在の親であると同時に子である創造者よ♪ 我に力を♪ 敬一に祝福を♪ いざ来たれ♪ いざ行け♪ 命の入れ物、魂が纏いし衣服たる肉体よ♪ 新しい命、新しい魂に仕えよ♪
相互換身用召喚魔法陣展開♪ 次元通路確保♪ 召〜喚〜♪』
「ちょっとまってぇー!」
そういって、光の中に取りこまれようとしている俺に敬子は抱きついて来た。
「馬鹿!お前は関係無いんだぞ。これは俺のミスだ。あっちいいってろ!」
「そんな事ないよ。私だって悪いんだから・・・それに・・・敬一を失ったら・・・私・・・私・・・・・・・・・」
涙を流して俺の方を向く・・・俺の方が馬鹿だったのかもしれない。ケンカしていようが恋人なんだもんな。その相手がいなくなるとなったら・・・
もし逆に、敬子が召喚されそうだったら、俺も同じ態度に出るかもしれないな。
「敬子・・・」
「敬一・・・」
「もう・・・いいよ」
「よくない!敬一が妖精になっちゃったら・・・」
「敬子・・・」
「あたしの住むところが無くなっちゃうじゃないのーーーー!!」
・・・・・・・・・
「俺の心配より、自分の生活が心配なのかい!!」
「敬一も大事だけど、私が生きてく事だって大切なんだから。
私は路頭に迷うのだけは嫌だからね!!」
『どうでもいいけど・・・早く召喚させてくれないかなぁ♪』
そして、フェードアウト
「う・・・うーん・・・ん・・・・・・・・・んん・・・んんん!!」
妖精に召喚された・・・はず。なのにこの声は一体・・・・・・・・・。
がばっ!
布団からはね起きる。・・・って事は、俺は元の人間のままなのか!?しかし、さっきのあの声は・・・
まっさきに向かうは、浴室。そして、鏡の前。
そこに写ったのは・・・・・・・・・
「俺?・・・・・・これは・・・・・・・・・敬子・・・だよなぁ。
まさか・・・俺が敬子ぉ!」
鏡には紛れもなく敬子の顔が写っていた。俺の顔は・・・・・・・・・敬子になってた。
って事は。
胸・・・ある・・・あうぅ
あそこ・・・ない・・・はうぅ
完全に女性の敬子になっちゃってるよぉ。そのまま・・・床にへたり込む。
とりあえず、2人とも普通の会社員じゃなかった事はよかったかな。
俺の仕事は漫画家・・・まぁ、まだ駆け出しでそんな一流雑誌に乗った経験はほとんどない、いわば漫画家の卵状態。だから、会社とか行く必要はまったくないわけで・・・となると、これから持ちこみの時どうしよう・・・。
ちなみに敬子は同じ漫画家・・・だけど、俺と違って小さな出版社の本ながらも連載を持ってる本当の漫画家。もっとも、本当に小さい所なので収入なんて雀の涙程度。知名度もほとんどなし。
はぁ・・・
・・・ん〜、なーんか忘れているような・・・
!!思い出した。この身体の本当の持ち主・敬子!
もう一回寝室(兼洋間兼リビング兼・・・つまり1Kなのだ)に戻って、隣で寝ているはずの敬子を探す。
「おーい、敬子、いるのか?」
「だれよぉ。私は女王様よ・・・呼び捨てに出来るのは敬一だけなんだからね」
よし、正常に寝ぼけてる。と言う事は、この布団の中にいると言う事だな。
思い切って掛けぶとんをのける。と、
「裸で大の字になって寝る女の子がどこにいるー!」
・・・そうなのだ。敬子・・・いや妖精になった敬子は何も身につけない状態で大の字になってぐっすりと寝ていたのだった。大物と言うかなんと言うか・・・
「おい・・・おきろよ、敬子」
「なによ・・・私は朝に弱いって知って・・・・・・・・・って、なんで私がそこにいるの?」
「自分の姿をよく見てみな」
そういって、手鏡を見せる。
「・・・・・・・・・!!妖精になってる!!なんで!?召喚されたのって敬一の方じゃなかったの!?」
「俺もそう思ってた。でも目がさめたら、敬子になってた」
「はいぃ・・・・・・?」
それから2時間、
(ちなみにその間に、敬子はハンカチを身体にまきつけて止めて、服の代わりにした。対して俺は・・・寝巻き代わりの服のまま)
結局の結論・・・間違えられた・・・と言うのはありえそうにないから、次のような結論に達した。
まず、妖精の精神が俺の身体へと入って来た、本来ならここで、俺が妖精の身体に入って終わりなのだがそこに敬子がいた。で、妖精の身体に引っ張られて敬子の精神が妖精の身体へと入っていった。最後に、行き場の無くなった俺の精神は余った敬子の身体の中へ入って一見落着・・・と。
「どこも一見落着してない気がするんだけど」
「そういわれても・・・そう結論づけるしかないんじゃないかな。大体が、俺が敬子の身体の中にいるってだけでもすでに普通の召喚からして異常な事なんだろう?」
「たしかに・・・はぁ、あきらめるしかないのかなぁ・・・」
なにか・・・いつも強気な敬子が、弱気を見せると・・・
「お前・・・落ちこんでるのか?」
「・・・落ちこみたくもなるわよ。どう見てもこの身体、子供の身体じゃない・・・それに・・・・・・・・・今までみたいに自由に動けない」
「でも・・・妖精って羽があるから飛べるって聞くだろ。敬子だって、飛べれば自由に動きまわれるんじゃないか?」
俺が言うのもなんだけど・・・かわいげのない敬子も嫌いだけど、そんなにしょげた敬子はもっと嫌いになりそう。いつものように、太陽のように明るくいて欲しい。
「そう・・・だよね。しょげててもなーんにもならないね。
よし、じゃあ、いっちょ羽でも出してみせますか・・・って、どうやって出せばいいの?」
「流石に妖精じゃないから知らない。でも、飛ぶんだから、飛ぶイメージを浮かべればいいんじゃないか?」
「飛ぶイメージ・・・ねぇ・・・うーん・・・・・・・・・」
それから彼女の格闘が始まった。
5分・・・10分・・・15分・・・・・・30分・・・
「出ない・・・
それよりも大きな問題が・・・・・・・・・・・・」
「ん、なに?」
「・・・・・・・・・お手洗いに行きたい・・・・・・・・・」
「そっか、そのサイズじゃあドアも開けられないっか。じゃあ、手に乗って」
「うん」
そう言うと敬子は俺の手に乗る。そして、トイレへと向かう。良かった、バス・トイレ付きの部屋を借りてて。
トイレのドアを開けて・・・
「そういえば、妖精なんて小さい身体で人間用のトイレなんて使えるのか?」
「そんな事聞かないでよ!私に解るわけないじゃないの。
とにかくレディが入るんだからすぐにでてってよ」
「はぃはぃ、女王様」
そう言って敬子を残してドアを閉める。
まぁ、これだけ怒鳴れれば大丈夫かな?
そう思いながら俺は、キッチン・・・言い方は良いけど単なる台所・・・へと向かって、とにかく朝食を作り出す。
一応2人で生活している以上、何でも交代でやることになってるからこれでも食事を作るのは得意。まぁ、ご飯は炊飯器任せだし、今日は時間もちょっと遅くなったからお味噌汁もインスタントですまそうかな?あ、もちろんいつもはちゃんと作ってる。
後は、鮭の照り焼きかなぁ・・・・・・・・・面倒くさいなぁ。目玉焼きとベーコンの方が簡単かな?となるとご飯じゃなくてパンの方が合うなぁ。
よし、今日の朝はパン食に決定!即座に変更。
フライパンを2枚出して、片方で自分の分を、もう片方で敬子の分を焼き始める。は?何で別々に作るのかって?
俺はターンオーバー、敬子はサニーサイドアップが好みだからしょうがないんだよね。
ちなみにサニーサイドアップは『片面焼き』の意味――日本で言う目玉焼きは普通これ。ターンオーバーってのは『両面焼き』――まぁ、ひっくり返して黄身側もしっかり焼く作り方。アメリカなんかで焼き方を聞かれた時には便利だよ♪
・・・・・・・・・何を1人でしゃべってるんだろう・・・俺・・・・・・・・・
そして、魚焼きグリルでトーストを焼いて、その間にサラダを用意してっと。
10分とかからずに完成っと。
お皿に乗っけて、テーブル(別名ちゃぶ台とも言う)の上に並べて、朝ご飯の用意は完了。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・遅い。
すでにトイレに入って10分以上経ってると言うのに、敬子から何の反応もない。
イヤーな予感が脳裏を走る。
まさか・・・まさか流されちまったのか!?
「敬子!!」
そう思った瞬間、トイレに向かってダッシュ。(とっても数歩の距離なんだけど)
そしてドアを開ける。
「敬子!、大丈夫・・・・・・・・・か?・・・・・・・・・」
飛び込んだ中には・・・頭を抱えて悩み込んでいる妖精の敬子の姿があった。
「いったい・・・どうしたんだ、敬子・・・」
その声を聞いて振り返った敬子は・・・
「・・・・・・・・・便座のふたを開けられないの・・・それ以前に昇れない・・・・・・・・・」
ぉぃぉぃ・・・・・・・・・
結局俺が付いてやってて(敬子は恥ずかしがっていたけれども、それしか方法がない)・・・お手洗いを済ませた敬子は・・・
人間の時と同じ分量の朝食を『美味しい美味しい』といいながら頬張り続けて・・・その結果、その日1日、トイレを行ったり来たりしていた。
そう言えば噂で聞いたことあったっけ・・・妖精って人間の食事が美味しく感じるって・・・でもお腹を壊すまで食べるかなぁ、普通。
こうして・・・姿の変わった俺と敬子の、変な変な生活が始まった・・・んだよなぁ。
えっと・・・お察しの通り、このお話『玉突き』の妖精さんバージョンなのです。
玉突きを書いてるときからこんな事出来ないかな〜、なんて構想はあったのですが・・・上手くまとめられないうえに、連作にする自信が全くない。
だから、もうこれは1発ネタにするしかない!ということでこんな形になってしまいました。
最後で続くみたいな事を書いてますが・・・・・・・・・続きませんです。はぃ。
2002.05.26 keyswitch
というわけで、keyswitchさんからのいただきものです。
「玉突き」的妖精話だそうで、なかなか面白い展開であります。
ほんと、シリーズモノの第1話といった感じなんですけど、keyswitchさん曰く「続きません」だそうで。
もったいないですねぇ。漫画家妖精と入れ替わり漫画家のおかしな(?)日常生活をもっと読みたいと言う方、感想掲示板に一筆どうぞ。
2002.05.27 mk8426