和美ちゃんスクールライフ
和美ちゃん 33話
作:kagerou6
「暑くなってきたねぇ」
佳子は箒を持ちながらそんな事を呟いていた。
「もう12時だからねぇ」ぼくはそう答えながらゴミを袋に入れていく。
「ホントに暑いわねぇ!」
「今日はもう30度近いっていうからねぇ」と、手にしたビンを違う袋に入れるぼく。
「和美なにいらついてんの?」
「ぼく達が神社の掃除!しているのって・・・どうしてなんでしょうねぇ!!」
ゴミ袋を握り締めたまま、ぜいぜい息をしながらぼくが佳子に叫んだ。
「え・・・えぇと、ほ、ほら、千枝が困ってたからねぇ」目をそらしながら”惚けた”口調で答える佳子。
「・・・”少しはお母さんにやる気を見せておくんだ”とか言ってたのに夏休み早々に約束破るなんて・・・」
「や、約束?・・・な、なんだっけかなぁ♪」
「はぁもう・・・先が思いやられるよ」
「それに・・・なんで巫女さんの衣装なんかぼくが・・・」とため息を付きながら着ている衣装に目を落とす。
「そりゃここが神社だからでしょ?」とあっけらかんと佳子が呟いた。
「”巫女さんの衣装、せっかくだから着てみたいよねぇ”とか言って千枝より早く着替えたくせに・・・そゆ事いうかなぁ」
「な、なんのことかなぁ♪」そう言ってあくまで惚ける佳子だった。
「まぁまぁ」志乃はゴミを片付けながらぼくに話しかけながらジュースをぼくに差し出した。
「ありがと」そう言いながらジュースに口をつけると奥から少女が走ってきた。
「ごめん遅くなって・・・うわぁ全部終わったんだぁ!」開口一番にそう言う少女・・・千枝。
「まあね、和美とあたしが頑張ったからね」
「うわ志乃なんて事を!」話を聞いて怒り出す佳子に
「あたしと和美でゴミ袋4つ・・・さて佳子さんと亜紀さんは?」そう言って佳子を見つめ返す。
「「・・・あぅぅ・・・」」
「不燃ゴミと可燃ゴミ、空き缶とビン・・・仕分け大変よね?」じっと見つめ言い続けるとさすがに佳子は俯いた。
「じゃあ運ぶの位は出来るよね?」志乃はそう言うと不燃ゴミの袋を持って歩き出した。
「あ、ぼくも行くよ」と袋を持ち志乃の後に続く。
「じゃあ残りお願いね」千枝もそう言って袋を持つとぼく達に続く。
亜紀と佳子は残された袋2つを見てため息を付いていた。
なんでぼく達が神社にいるのかというと、それは今朝の事だった。
ぼくは学期末のテスト”まで”惨敗した佳子(のお母さん)との約束で、夏休み中は週に何回か佳子の家で勉強を一緒にする事にしていたのだ。
「最初くらいは一杯しないとまずいよねぇ」としおらしく言う佳子にぼくは感動して、夏休み最初の日である今日朝早く佳子の家を訪ねた。
しか〜〜〜し、ぼくが佳子の家を訪ねてみるとなぜか千枝が佳子の家に来ているではないか!
「千枝、佳子になにか用事かな?」ぼくがそう声を掛けると千枝は驚いてぼくを見つめたではないか!
ぼくの言った言葉をまるで想像もしていなかったといわんばかりに!
「ぼくは佳子と勉強(・・・の監視)をする約束で・・・」「あ、あたしは・・・佳子が手伝ってくれるって言うから・・・」
「「えぇなんでぇ?〜〜」」
互いの言葉に驚き会うぼく達!は、「オハヨ♪早いね」と軽い挨拶をしながら出てきた佳子を二人して睨みつける。
しかし佳子はいつものように笑うと
「ゴメン♪・・・あの後急用でさ和美に言うの忘れてた」と一言。
その言葉にさすがにがっくりしていたぼくだったけど、佳子は手をぽんと叩くとぼくを引っ張ってきたのだ。
「佳子のやつ勉強以外だと張り切るんだから」そう愚痴を言うぼくに千枝も同意して頷いている。
「でも和美・・・ホントに良かったの?」
「なにが?」
「ウチの手伝い・・・和美だってなにか用事があったんじゃないの?」
「佳子のお守りの予定だったから・・・まぁ大丈夫だよ」そう答えるぼくに千枝はホッとしたのか胸を押さえていた。
佳子がぼくとの(実はしたくない)勉強より千枝と約束した事を優先したのには訳があるのだ。
今ぼく達がしている”神社の掃除”これがその理由で、予定していたアルバイトが集まらなくて困っていたからだ。
いや、アルバイトは頼んであったけど昨日急に”キャンセル”になってしまったのである。
急なキャンセルではあったものの千枝(の親)はそれを受け入れ、慌てて他のアルバイトを探す事になったわけ。
しかし探すといっても急な事であるからなかなか見つからず、困り果てた千枝は仲の良い志乃に相談したのだ。
志乃はそれから何人かに声をかけ、亜紀と佳子が手伝ってくれる事になったというわけ。
しかしぼくには連絡がなく、今朝佳子の家に行くまで知らなかったというのが今朝に起こった事の真相だった。
その事を志乃に聞くと”佳子のお守りで一緒だと思ってた”と笑う始末!
まぁ事実その通りなのでぼくは”お守り”に千枝の家にやって来たってわけ。
「ったく、これじゃあどっちが頼まれたのか判らないじゃない」ぼくは千枝にゴミ袋を渡しながらつい愚痴をこぼす。
「あは、ホントだよね」千枝は受け取ったゴミ袋を奥に入れながら苦笑いして答えていた。
「でも助かったわ、間に合わないと思っていたから」
「え?・・・終わったから言うんじゃないけどさ、ゴミが多いとか感じなかったし・・・ホントに?」ぼくがそう言うと千枝はゆっくりと頷いた。
「去年ねアルバイト5人来てもらったんだけど4時くらいまで掛かっちゃったんだ」
「なんで?・・・ここって毎日掃除してある感じでゴミなんてなかったけどなぁ?」
「うん・・・だから心配してたの、間に合わなかったらどうしようってさ」千枝はそう言うと笑顔を浮かべていた。
「この後なにかある?」ぼくは遅いお昼ご飯を食べながら千枝に話しかけた。
「う〜ん、もうないとは思うんだけど・・・」ちょっと歯切れの良くない千枝は、なんだかそわそわしている。
「どうかしたの?」隣で冷やし中華を食べながら佳子がそう聞くと
「う〜ん、今の時間だとお札とか準備するはずなんだけど・・・お父さんもお母さんも出かけたきりなんだ」と千枝。
「お札ね・・・ね、佳子。バイト料代わりに受験合格のお守り山のように貰ったら?」志乃は口元をティッシュで拭きながら佳子にそんな事を言う(笑)。
「そうよ!アルバイト代にお守りなんてきっとご利益あるわよ!」とつられて亜紀まで言い出す始末!
「そうね・・・あたしは一つくらいバイト料代わりに貰っておこうかな」ムッとしたのか、低い声で答える佳子。
「でしょでしょ♪」そんな佳子の様子に気付かず、自分の事を棚に上げ亜紀が話し続けた。
「ほんじゃあ亜紀さんはバイト料全部貰うんだねきっと」
「え?」佳子の突然の反撃に亜紀は言い返せないまま佳子を見つめる。
「あたしより悪い成績だったんだモノ・・・一つじゃ足りないから全部にしてもらわないと」
佳子にそう言われても亜紀は”事実”なのだから言い返せず手を握り締めている!
「こ、この間だけじゃない・・・その前はあたしの方が上だったんだから」
「2年の時なんて古いのよ!・・・3年の成績が勝負なんだから」
いつのまにか二人は”本気”で成績の事で言い合いし始めていた!
「亜紀と佳子ってそんなに差があったの?」”不毛”な言い合いを聞きながらぼくが志乃に聞くと
「激しい250台争いってしか聞いてないけどね」と軽い志乃。
「そ、それって?」
「そう・・・50歩51歩って差なんだなぁ♪」
「す、少ない表現だね」と千枝がどう言って良いのか困りながらも、その口元は緩んでいる。
「まぁ・・・最下位よりましってとこだからね」と言う志乃の言葉に、さすがにカチンと来たのか二人は目を剥いて睨んできた。
「なぁに?言い返せるのかな君達は♪」立ちあがって桂子達を見つめる志乃!
「「うぅぅぅぅぅ・・・」」佳子と亜紀は言いたい事は山ほどあったが、現実は志乃の言う通りなんだから言い返しようがなかったのだ!
「お〜〜ほっほっほ♪」志乃は勝利の笑い声を響かせ佳子と亜紀は地面に沈んでいた(笑)。
「・・・ただいま・・・」暫くして玄関が開き千枝の両親が帰ってきた。
「お帰りなさい・・・」障子から顔を出し声を掛けたもののなんとなく暗い雰囲気の両親。
「ふぅ」とため息を付いたまま二人は玄関先に座り込んでしまい、じっとして動く気配が見えないでいた。
「なに?・・・どうかしたの」余りに異常な状況に千枝が障子を開け玄関迄出ていくが、両親はふぅとため息をつくばかりであった。
「実はな、千枝・・・」心配している千枝に答えようとして振り向いた時、ぼく達がいる事に気付いて一瞬表情を変えた。
しかしまた首を振ると大きくため息を付き俯いてしまっている。
余りの表情の変化に驚いてぼく達はずっとご両親を見詰めていると、千枝が寄り添い言葉をいくつか掛けるとぼく達に向き直り口を開いた。
「実はお札配布の役割をお願いしていた娘が・・・急な事で来れなくなりまして・・・」千枝の両親はまた口を閉じると少し俯いてしまった。
だけど、そんな風になってしまうのも無理がないと二人を見ていてぼくは感じていた。
来てもらうはずの巫女さん”までもが”これなくなったという・・・祭りの段取りではなくメインな方のキャンセルだったからなのだ!
詳しい事には一人は昨日の晩から体調を悪くし、もう一人は両親が事故と、まさに”不運”としか言いようのない現実だったからだ。
「その”巫女”・・・あたし達が代わりでは無理でしょうか?・・・ねぇ千枝、あたし達じゃダメ?」佳子の言葉に千枝の両親も仏を見たようなそんな顔でぼく達を見返している。
「あたしも和美も志乃も亜紀も・・・巫女さんの衣装着ているわけだし・・・」佳子の笑顔に千枝の両親も頷き、いや、頷かされた(爆)。
「ほら、和美もそんな顔しないで・・・人助けなんだから」
「う、うん・・・千枝の為ならぼくだって・・・」
「ほんとうに?」そう言う両親はぼく達の手を握りながら顔をほころばせ、さっきまでの事が嘘のように笑顔に変わっていた。
「ちょっとまったぁぁぁぁぁ・・・」
急にそんな声がしてぼくの手が引っ張られた。
振り向くと志乃が思案顔でぼくの手を握っているのだ。
「志乃?・・・なにかおかしいかな?」突然の事にぼくが声を掛けると、考えが纏まったのか口を開いた。
「・・・こちらでお配りするお守りはどのような?・・・」意外な言葉に驚きながらも、考えていた志乃の話に両親が口を開け答えた。
「ウチは学業の神様を奉ってあるんですよ」
「なんでも・・・有名塾でここを参拝コースにしているって話もあるんだって」と千枝が答える。
「ほぅほぅ」頷きながら答える志乃は腕を組み、更に何かを考えている様子。
「そうすると・・・これは和美が適役ですね」と志乃は思案顔で呟いた。
「ちょっとまったぁぁぁぁ!!!!」
佳子はそう叫ぶと息をハァハァさせながら志乃の事を睨みつけている!
「なによ志乃?・・・あたしじゃ不満って言うの?」いきなりの志乃の爆弾発言に佳子はさすがに怒り睨んでいる!
「客観的に考えて・・・佳子は止した方が無難ね」
「どうしてよ!・・・ちゃんと言いなさいよ!」感情的な佳子の言葉に志乃が冷静な言葉を向ける。
「良い?・・・”お守り”って役割を考えて言っているよね?」そう言う志乃に佳子は苦笑いしている。
「あーと、じゃあね・・・学業成就のお守りってことはさ、神社に奉ってある神様に肖る(あやかる)って事だよね?」志乃にそう言われ佳子は頷いて答える。
「それとはべつに・・・よく”あの人に肖りたいからなにか持ち物を”とかとも言うでしょ?」判りやすく言いかえる志乃に佳子もなんとなく頷く。
「言うまでもなく、和美は学校はもちろん地区でもトップクラス、有名私立は勿論、国立も現役間違いなしって才媛よね」志乃の言葉にしぶしぶ佳子が頷く。
「てことは、触った物に”肖れる”とご利益も大きいと・・・一方で・・・」そう言ってじっと佳子を見つめる志乃。
さすがにそこまで言われると佳子はなにも言えずに小さくなっていく(笑)
「で・でもぉ・・・あたしが触ってどうなると決まったわけでも・・・」佳子は巫女がやりたいのかちょっと諦めが悪くしつこく食い下がってまだそんな事を言っている。
「そう?・・・言うわよ、言ってもいいのね?文句言わないでね!」志乃が更に冷静な言葉を佳子に向け、じっと見つめる。
「うぅぅぅぅぅぅ・・・・・」そこまでされてとうとう見えなくなってしまう佳子であった(爆)。
「あの・・・合格祈願のを・・・」おそらくは同年代であろう男の子がそう言って青いお守りを指差しお金をぼくの前に出した。
「こちらですね?」ぼくは言われた”お守り”を手にして相手に確認させてから袋に入れ手渡す。
「ど、どうも・・・」相手の男の子はぼくの手からサッと受け取ると参拝客の人ごみに消えていく。
「お・・・わ、わたしはそっちのを・・・」並んでいた”男子”が自分の番になると、すでに決めていたのか目的のモノを指差してお金を差し出す。
「こちらですか?」ぼくは指差された物を手にして確認してもらい、同じように袋に入れ手渡す。
「あ、ども」ぼくの手からそれを受け取ると俯きがちに人ごみに消えていく。
「あ・・・あの、そのお守りとお札を・・・」次々にお守りとお札を求められ、とうとうぼくの所に準備されていたお札が全て消えていた。
「ふぅ、お守りとかこんなに出るんだ・・・知らなかったよ」追加のお守りとお札を出しに行きながらついぼやくぼく。
「ううん・・・こんな事初めてよ」千枝もなくなった事が異常だったのかそう答えている。
「すると・・・一杯受験生が来ているって事なのかなぁ」
「それなんだけどね、和美・・・あたしね、さっきから同じ人が何度も来てる気がして・・・」千枝は襖を開け追加のお守りとお札を出しながら小声でそう言っている。
「さぁ?・・・人までは覚えてないけど、でも同じのは買わないでしょ?」
「そう・・・なんだけど・・・」千枝はそう言いながら歯切れが悪く答える。
和美の言う事が”もっとも”であるからであり、しかし自分の見た事も間違ってないと考えが揺らいでいたからである。
そして真実は・・・千枝の言う事が正しかったりする(笑)。
「俺、全色揃えたぜ!」神社の階段を下りた所で男子学生らしい人だかりが出来ていて、なにやら袋を見せ合い話をしている。
「え?・・・すると8個買ったのか!」驚く相手に頷いて自慢げに頷く。
「あれ?・・・お前参考書買って帰るとか言ってなかったか?」いくつもの袋を持っている男子が思い出したように聞き返すと、相手は笑いながら頷く。
「あぁ・・・だけど、参考書なんていつでも買えるが・・・」そう言うとお守りを大事そうな目で見つめ
「このお守りがあればどんな所でも勉強できるからさ!」と言い切る。
「まぁ・・・気持ちは判るが・・・」
「そして俺は・・・大学を合格したあかつきには彼女に”お礼”を言いに行くのさ」
「お、お前まさか・・・」さすがにそんな考えを聞いて廻りが段々落ち着かなくなっている。
「”君のお守りのおかげで受かったよ”とデートになんか誘って♪・・・いや、今日終わってから誘うか・・・」そう言うとまた階段を上り始める。
「くそ、抜け駆けなんかさせるか!!・・・俺もあいつより多く買って誘うぞ」話を聞いていた他の男子がそう吐き出すように言うとまた階段を駆け上がり始めた。
それを合図にするかのように、周り中の男子が我先にと階段を駆け上る。
全てのお守りがなくなったのは・・・それから一時間後の事であった!
「「「疲れたぁ」」」千枝の家に戻ったぼく達は着替えるのさえ億劫になりぐったりしていた。
「ご苦労様でしたね」千枝の母親がジュースをトレイに載せ運んできて、ぼく達の前に置いていく。
「いただきまーす」佳子はそう言った次の瞬間にはもうジュースを飲み干し、千枝のそれに目を向けている(笑)。
「はいはい・・・お母さん、お代わりね」千枝は自分の分を佳子に差し出すと母親にそう言って笑った。
「はいはい♪」そんな様子を楽しそうにしながら母親は奥に消えていく。
「こんなにハードだなんて想像もしてなかったよ」ついさっきまでの事を思い出し愚痴を言うぼく。
「もしかしたら今まで来ていた人も・・・こうなるのが嫌だったのかなぁ」ぼくの言葉に志乃も頷いてそう呟く。
「どうでしょう?・・・でもここに来てくれた人皆が願い通りに受かると良いですね」千枝はそう言って笑った。
「さて・・・そろそろ帰るとしますか」ぼくはそう呟き立ち上がると、不意に玄関の扉が開き人が入ってきた!
「「「おぉぉぉぉ!!!!」」」
相手はなぜかそう叫ぶと玄関の入り口で動かなくなっている。
・・・あれ?この声・・・ぼくはどこかで聞いた事のある声に相手をよく見るといつもの3人・・・佐藤・田中・高木がぼく達をじっと見つめていたのだ!
「な、なんで?」
「そ、そんな事より斉藤さんこそどうして・・・」意外な相手に互いにそう言い合うぼく達。
「随分早かったのね」千枝はそう言ってぼくの方に目を向けた。
「千枝が・・・どして?」
「暗いと物騒だからボディガードの代わりにと思って・・・」千枝はそう言いながらも、不意になにかを思いついたのかポンと手を打つと奥の部屋に入ってお守りを持ってきた。
「どうせだから、最後の仕事ね」と言ってぼくと佳子・志乃にお守りを差し出す。
「え?・・仕事って?」
「どうせお参りとか関係ない人達でしょ?・・・でもせっかく来たんだからさ」千枝の言葉に佳子が直に理解して田中にお守りを手渡す。
「お。おう!」巫女の衣装を着た恋人からお守りを手渡され一杯一杯な田中(笑)。
「・・・どうぞ・・・」それにつられ志乃が高木に差出しそれを受け取る高木。
そして・・・5人の視線がぼくと佐藤に集まってきた。
何かを期待する目でじっと見つめる視線!がぼくに集中しているのが判る。
・・・うぅぅ、そんな目で見ないでくれ!・・・つい言いそうになったものの、佐藤のことを考えるとそうも言えないのがきつかった。
・・・どう渡しても誤解されそうだよねぇ・・・佐藤を見ながらそんな事を考えていると突然妙案が浮かんだ!
「佐藤君・・・ちょっと・・・」ぼくは”これなら”と思いついた妙案に佐藤の手を取り神社に向かう。
「「「「「お!」」」」」ぼくの行動に5人はなにかを期待したのか、”続きを見よう”と同じように神社に向・・・後を付ける。
「佐藤君はそこにいて・・・」ぼくは佐藤にそう言って神社の扉を開け中に入り、窓をあけ佐藤の前に向き直り座った。
「佐藤”様”よくお参りくださいました・・・これをどうぞ」ぼくはそう言って軽く挨拶をして佐藤にお守りを差し出す。
「あ、ありがとう・・・」佐藤はそう言ってじっとぼくを見つめ返し、やがて笑みを浮かべるとお守りを受け取った。
「”様”だって・・・他人行儀な!」それを見ていた佳子はそう言いながら舌打ちをしている。
「あれじゃ他の参拝客と同じじゃない」と亜紀。
まぁ期待していた事が起きなかったのだから仕方のない事ではあるが・・・和美はほら男の子だし期待に答えるのが無理なんだけどねぇ(笑)。
「まぁまぁ・・・あの二人じゃあれでも仕方ないよ」
「でも千枝、今時中学生とかより・・・鈍いかあの二人は・・・」と佳子の言葉に皆が頷いた。
「じゃあ次に期待するとして・・・今日はこれで勘弁するか」佳子は諦めたのかそう言う。
「じゃあ・・・和美、佐藤君帰るよ」志乃はぼく達にそう言って手を振り出した。
「「「うぅぅぅぅ〜〜〜〜」」」
ぼく達が神社を後にした後、木々の影で泣き崩れる集団の姿があった。
「お、俺には・・・あんな事言ってくれなかった・・・」
「名前までよんで、”様”まで・・・そう言って笑っていたなぁ・・・」
「わざわざ神社に入ってまで・・・たった一人の為になぁ・・・あはははは・・・」
うつろな表情で呟き泣く集団・・・それは想像通りあのお守りを買い占めた男子であったのだ!
和美を誘うために木々に隠れていた彼らは、偶然佐藤にお守りを手渡すところを目撃してしまった。
わざわざ神社を開けてまでお守りを渡す和美の姿・・・だけしか見ていないからの勘違い・・・に、”特別な相手”がいると衝撃を受けてしまったのだ。
「・・・望みが消えたなぁ・・・」虚ろう声でそう呟くと、甲○園の砂よろしく神社の土を集め始めていた(笑)
「・・・幸せになぁ・・・」とあちこちで砂を集めると買ったばかりのお守りを木に括り付けてとぼとぼと階段を下り帰っていく。
翌日、木に括り付けてあるお守りに千枝の両親は驚き腰を抜かしていた・・・・。
そしてその年、多くの若者が入信した事が大きくニュースに取り上げられたのであった(爆)。
34話へ続く
またもや最初にお詫びです。実は、この33話と次の34話は「できれば8月中にもう2話アップしたいと思いますので」などと前回言っていた分です・・・。
どう見ても間に合いません。本当にあ(ry
しかも、その間に更にもう2話分頂いています(爆)。
何やってんだろ本当に・・・。
えー、気を取り直して。巫女さん、いいですねぇ(ぉ)。なんかこう、破壊力当社比150%増し?みたいな感じ。
ついでに、書き出しが前回とそっくりだったのに笑いました(何)。
(編集作業で頭の部分の改行間隔を揃えるために毎回、前回の分と見比べていますので…)
2006.08.28 mk8426