和美ちゃんスクールライフ

和美ちゃん 30話

作:kagerou6

 

 

「しかし、今朝は驚いたわねぇ」志乃はバッグからエプロンを取り出しながら佳子に向かい小さく苦笑いをしている。
「そだね・・・さすがに佳子、女の子には!モテるのねぇ♪」亜紀も同じようにバッグからエプロンを取り出すと、こっちは志乃とは違って完全に笑顔だったりする(笑)
「どういうことかな?亜紀ちゃん???」佳子は研いでいた包丁をゆっくり亜紀に向けながら、変な返事ならすまないぞ!と言わんばかりに睨みつけてくる!
「佳子、それシャレになんないから・・・」亜紀は手を振りながら佳子を牽制し、さすがに佳子も包丁をおいた。
今朝、突然女の子に抱きつかれた佳子の事で話題一杯な調理室での一幕であった(笑)

「でもあの娘、朝から佳子に会いに来て・・・どういうつもりなのかな?」
「麗しのオネエ様に会いに来たんだよねぇ♪」ぼくがそんなことを言うと亜紀が笑いながら答えた。
「じゃなくて・・・あの娘ってこの前行ったあの”文化祭”の学校の生徒でしょ?」
「そだよ?・・・それが?」
「あの時間からだと学校大丈夫なのかなぁ?」ぼくがそんな事を口にすると皆が笑い出した。
「もぅ・・・和美ったら・・・」亜紀なんかお腹を抱えて笑い、志乃も涙を浮かべている。
「文化祭の代休よ・・・あそこは日曜まで文化祭だったから」そう言う志乃にぼくは頷く。
「そっかぁ・・・学校サボって来てたんじゃないんだぁ」
「「「!!!」」」そんなぼくを皆が目を丸くして見つめた!

「あいかわらず・・・ずれてんのね和美は・・・・」亜紀はため息をつきながらぼくを見つめると肩に手を置いて
「いいこと?・・・和美・・・」と、真剣な目でじっとぼくを見つめる彼女。
「今は時間を守るとかじゃないの!・・・判る?」
「えぇーと・・・それは・・・」
「そう!・・・凛々しい佳子のことなのよん♪」そう自分でも言いながら笑い出してしまった。

「そうよ、和美・・・女の子を胸で泣かせるなんて普通は無理なんだから♪」そう言って脇から志乃が見つめ、佳子はさすがに”事実”だったために言い返すことができない。
「志乃もそう思うよね?」亜紀はそう言って笑うと、今度はぼくに目を向け仲間を増やそうとしたりして困らせる(笑)
「え・・・えーとぉ・・・」さすがにどう答えていいのか判らないぼくは亜紀と佳子の顔を交互に見ながら口を開くのを躊躇っていた(笑)
「それは・・・そのぅ・・・」ただでさえ普通の恋愛感情すら怪しい和美のこと、どう答えたらいいのか困ってしまうのは当然だったのだ!(笑)
ただじっと見つめられ流石になにか答えないとまずいと思い、開きたくない口をあけた・・・
「えーと・・・佳子は女に走ったのか!!(怒)・・・だと思・・・あれ???」思っていない声が重なって佳子はぼくを睨んでいるではないか!
「和美・・・アンタってあたしの事そんな風に・・・」佳子はそう言いじっとぼくを睨みながら近付いてくる!
「ぼぼぼぼく・・・そんなの言わないってばさ!」
「じゃあ誰が言ったっていうのよ?」佳子は亜紀と志乃に目を向けると、二人は首をフルフル振って否定している。
「アンタしかいないのよ・・・さぁ和美は女に走ったのか!!(怒)って・・・あれれ?」自分が言おうと思った事を先に言われやっと佳子もその声の”主”に気が付く。
「何度も聞いているんですがねぇ”佳子さん?”(怒)」そう言って田中は佳子の肩に手を置いて静かに口を開けた。
「そ、それはぁ・・・・」さすがにいきなり受けになると弱気になるもので、田中の質問には答えられていない。
「ほぉ・・・答えられんのか?」じっと見ながら言う田中に佳子は口をパクパク動かしているだけなのだ(笑)
「ちゃんと理由を教えてくれますか?け、い、こさん???」静かに言う田中の目はいつもと違って笑ってはいない。
さすがに佳子も顔を引きつらせて頷いているだけであった。

「いつまで痴話ゲンカしとるんじゃぁ〜〜〜〜!どっご〜〜ん!

教室の壁が揺れるような声と共に盛大な音が響き、佳子と田中は頭を抱え座り込んだ!
良く見ると二人の頭の一部はきれいに隆起していて(笑)、先ほどの音がなんだったのかを証明をしている(爆)
「(痛ッ・・・フゥー・・・)ほらほら、席に着きなさい!(怒)・・・田中君は技術室でしょ? 担当の先生もう行っているわよ」姉はコブシに息を吹きかけながらドアを開けると田中を調理室から追い出した。
「まったくもう・・・ところで山本さん?」姉は田中が技術室に向かったことを確認してドアを閉めると佳子に向き直りじっと見つめる。
「なんでしょう?」
「実際のところどうなのよ♪」そう言って目を輝かせる姉に佳子は頭を抱えたまま立ちあがろうともしない。
「あの・・・姉さん・・・」姉と佳子のやり取りに頭を抱えながらぼくは時計を指差し姉にそっと話しかけた。
「姉さんも授業あるんでしょ?・・・もう時間だけどいいの?」
「え!・・・・あ、ホントだぁ!」さすがに時計を見てヤバいと感じたのか、ドアを開けると勢い良く階段を駆け登っていく!
「まったく」さすがに呆れてそう言うしかないぼくの隣で「晶先生までぇ〜」と佳子もぼやいた(笑)

 

「さて・・・今日はどこに寄って帰ろうかな」佳子は靴箱から靴を取り出し履きながら呟く。
「今日は20日よ?・・・いつもの買いに行くんじゃないの?」亜紀はもう履き終えたのか腕時計を見ながらそう言って答える。
「あ・・・じゃあ駅前の本屋を廻ってからね・・・」佳子はそう言いながら亜紀の隣に並ぶと後ろの方を見て立ち止まった。
「あれ?・・・佳子どうしたの?」動かなくなった佳子に不思議に思ってそう言うと、佳子はじっと視線を固定したままだ。
「どうかしたの?」
「和美・・・あれって美秀ちゃんじゃないの・・・」同じように見ていた亜紀はそう言って今降りてきた階段を指差す。
「え?」亜紀の言葉にぼくは振り返って階段に目を向けると、そこにはこっちに向かって走ってくる彼女の姿があった。
・・・なんだろう?・・・いつもなら走ったりしない美秀ちゃんを不思議に思っていると彼女はぼくの前に来て止まった!
「どうかしたの美秀ちゃん?・・・急なお客様でもあったの?」
「いえそうでは・・・実は鈴木先輩に用事があるんですけど?・・・」
「「「え!」」」余りにも意外な美秀ちゃんの言葉にぼくたちは一斉に佳子を見つめた!

「あ・・・あたしになの?」佳子は自分を指差しながら美秀ちゃんを見つめ返している。
「えぇ・・・鈴木先輩にですけど・・・」美秀ちゃんが改めてそう言うと佳子は目を閉じ何かを考えているようだ!
「実はお姉ちゃん、鈴木先輩にすばらしいお料理を教えて欲しいって・・・」美秀ちゃんはそう言って佳子を見つめる。
「”ぶしつけなのはわかっているけど、どうしても”って言って・・・先輩?」そう言いながら様子のおかしい佳子に美秀ちゃんは首を傾げた。
「・・・・」佳子は微動だにせず話を聞いているのかどうかも判らないほどだったからだ!
「す・・・鈴木先輩?」さすがに不安になって再度恐る々々声をかける美秀ちゃん。
・・・もう一度・・・言って・・・」蚊の泣く様な声を出してボソボソ言う佳子。
「え?・・・鈴木先輩なんです?」手を取りながら声をかける美秀ちゃん。
「もう一度言ってよ」
「ですから鈴木先輩にですね・・・」
「よっしゃぁ!なんでも聞くぞ!〜〜〜〜」そう言いながら佳子は美秀ちゃんに抱きついていた(笑)

「あわわわわ・・・」いきなりの事にパニくる美秀ちゃんは廻りに目を向け一番近い亜紀と目があった。
「あ、あのね佳子はね・・・」抱き付かれ懇願する美秀ちゃんの目に、亜紀は”意味”を教え佳子を剥がそうとした時
「や・・・山本先輩、は、早く・・・」という美秀ちゃんの言葉が飛びこんできて固まる!
「先輩・・・・山本先輩ってばぁ〜〜〜」助かると思った瞬間に亜紀が手を止めたので美秀ちゃんは再度声をかけた。
・・・もう一度お願い・・・」さっきの佳子みたいにぼそぼそ言う亜紀。
「え?・・・だから山本先輩?・・・」
「きゃぁぁぁ♪」
そう言いながら亜紀も抱きついた(笑)
「し、志乃・・・いったいどうしたんだろ?」
「思うに・・・”先輩”って言葉に舞いあがっているんじゃないのかなぁ(笑)」口を押さえながら言う志乃。
「そ・・・そういえば・・・そうかなぁ?」
「二人とも部活とかしていないから・・・いつもは和美とかに”頼る”ことはあっても、誰かに”頼られる”ことはないから・・・」
「じゃ・・・じゃあ美秀ちゃんが頼ってきたことで?」
「そ・・・”頼られる先輩”ってね♪」
「あはははは・・・」ぼくは志乃からそう聞いてただ笑うことしかできなかった・・・
そしてぼく達は美秀ちゃんに連れられて先日遊びに行ったあの学校の校門をくぐると、今度は佳子がいきなり抱き付かれた(笑)

唖然としているぼく達の前で彼女は心ゆくまで佳子を抱きしめているのだ。
「なんだぁ?」さすがの事態に驚いてそんなことを言ってしまうと、美秀ちゃんは我に返ったらしく険しい顔で相手を見つめ
「お姉ちゃん恥ずかしいよ・・・先輩から離れてよぉ・・・」懇願しながら姉を剥がしはじめた。
「もう!、お姉ちゃんそんなことのために鈴木先輩をあたしに呼ばせたの?」美秀ちゃんはちょっと怒りながらそう言う。
「お、お姉さんなの?」さすがに驚いて聞くと恥ずかしそうな顔で小さく頷く美秀ちゃん。
「ふ、普段はこんなことは・・・もういい加減に離れてよお姉ちゃん!」美秀ちゃんに言われ彼女はゆっくりと・・・名残惜しそうに佳子を離した。
・・・ちょっと変わった娘だなぁ・・・そんなことを考えながら彼女を見ているとふいに彼女が笑った気がした・・・

「えと・・・美秀ちゃん?」二人のやり取りに佳子は彼女を見ながら美秀ちゃんに声をかけた。
「もしかして・・・あたしに頼みってのは・・・」
「えぇあたしのお姉ちゃんのことなんです」そう言って美秀ちゃんは笑顔を向け、先ほど引き離した姉を紹介した。
「あたしのお姉ちゃんの”美優(みゆ)”です」美秀ちゃんがそう言うと笑顔を向ける彼女。
「・・・は、はじめまして・・・」いきなりの紹介にさすがにちょっとどもっているぼく達。
「そ、それで・・・実はワタクシお願いがありまして・・・」紹介がすんだことで早く”本題”に入りたかったのだろうか彼女の顔は真剣なものに変わり、見つめられた佳子もつられちょっと真剣な顔に変わっている。
「今日来ていただいたのは先日のお料理を教えていただきたいと思いまして・・・その・・・」彼女はそう言いながらなぜかぼくに目線を向けた。
「えぇ・・・・でも貴女のお料理だったらあたしなんかが教えなくても?・・・」佳子はそう言いながら不思議そうな顔を浮かべた。
先日の文化祭で食べたあのオムレツは”かなりのもの”だったのは味わった佳子が良く知っているからだ。
「・・・あのオムレツ、ぼくなんかより美味しいと思ったけどなぁ・・・」
「えぇぇぇぇ・・・当たり前じゃない♪」話を聞いていてそんなことを言うと亜紀が茶々を入れる。
「言ったなぁ亜紀〜!」
「自分で言ったんじゃない♪」とか言いあっていると佳子に睨まれた(笑)

「だけど・・・あれほどなら教える必要ないと思うけど?」
「いえ・・・残ったものを味見して判りましたわ」彼女はそう言うと佳子の手を握りながら見つめる。
「あの味付けはプロ級、いえそれ以上ですわ!」彼女に言われ佳子は顔の輪郭が思い切り緩んでしまった(笑)
「・・・あれを覚えられればきっと・・・」
「・・・きっとあいつに勝てるわ!・・・」彼女は目を燃やしながらきっぱりと言った!
「「「・・・・・・・」」」突然のことに言葉を失うぼく達。
「・・・勝てる・・・料理?・・・」余りの返答にオウムのように佳子は口を開けた。
「はい!その通りです」
「じゃ・・・じゃあスポーツか何かしている人のための食事ですよね?」
「違います!・・・勝てる料理です!」と、またぼくの方を見ながら同じことを彼女は言った。

「はぁ・・・”勝てる料理”かぁ」佳子は彼女の目線を見て”意味”を理解したのか、さっきまでとは一転してやる気のなさそうな顔に変わっている。
「あたしの料理に”勝てる”のってないのよねぇ」
「え?」彼女は驚いた顔で佳子を見つめ
「あれほど美味しい料理です、勝てないはずないでしょう・・・」と言い切る! しかし、
「お料理ってそういうもんじゃないと思うからねあたしは・・・」佳子の言葉に驚いた表情に変わり、じっと佳子を見つめる彼女。
「・・・ねぇ和美・・・」そんな視線を無視して佳子はぼくに話しかけてきた。
「和美ってお料理で勝ちたいとか思ったことある?」不意にそんなことを聞いてくる佳子。
「え?・・・そんなことは無いけど?」
「・・・じゃあ和美がお料理努力したのはどうしてだっけ?・・・」
「まぁ・・・皆が”美味しい”と喜んでくれればとかさ・・・」言っていてちょっと恥ずかしくなってくるぼく(笑)
「つまり・・・あたしも同意見なの・・・」佳子はそう言うと校門に向かって歩き出した。

 

「あの娘には驚いたわねぇ」翌日学校に向いながら佳子はそんなことをぼくに言ってきた。
「ぼくは判らないけど・・・人それぞれだから」
「和美、ひょっとして気付いてないの?」隣の亜紀が驚いた顔でぼくのことを見ている。
「え?・・・なにが気付いてないって?」
「あの娘はあんたのこと”ライバル視”してたのよ!」
「え!・・・だってぼく彼女は初めて見たし見覚えなんて無いけど?」そう答えると佳子と亜紀は頭を抱えた。
「時折あんたのこと見てたでしょ、気付かなかった?」
「え?そうだった・・・かなぁ???」
「まぁ〜〜たく・・・あいかわらずボケちゃって♪」佳子はそう言いながら笑っている。
「あ、そういうんだ・・・どうせボケだよぼくは・・・」言い返そうとしたが、視線が校門に向くと言葉が出てこなくなった。
「どしたの和美?」言い返してくることを予想していた亜紀が立ち止まりぼくのことを見つめてくる。
「あれ・・・あの娘は昨日の・・・」ぼくが校門を指差し言いはじめた時、彼女・・・山瀬美優が佳子にまた抱き付いた!

 

31話へ続く


さてさて、なんだかまたしても話が妙な方向へ転がり始めました(笑)。
いったい山瀬姉妹はなにをやらかしてくれるのか、非常に楽しみですね。特に姉(爆)。

2005.10.31  mk8426

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