和美ちゃんスクールライフ

和美ちゃん 29話

作:kagerou6

 

 

「ねぇ、帰りになにか食べてかない?」佳子はそう言うとぼくの前に座った。
「?・・・良いけどいきなりどして?」
「実はさ♪、近所の学校で文化祭あるのを聞きつけたのよ♪」
「文化祭?・・・今頃に?」ぼくが聞き返すとなぜだかポスターを目の前に差し出す彼女は首を大きく振っていた(笑)
「駅の向うだけど・・・そんなに遠くないしさ」
「文化祭って・・・模擬店でしょ?・・・」ポスターを見ながらそう言うと佳子は頷く。
「せいぜいヤキソバとかそんなんだろ?・・・それより駅前のとこのが美味しいんじゃ・・・」
「ダメダメ!・・・佳子にそんな事言っても♪」話をしていたぼく達に亜紀が割り込んできてそう言う。
「なんで?」亜紀の言う事の判らないぼくは彼女にそう聞き返すと
「佳子ってばお祭り女王だもん♪・・・美味しいとか関係無いんだから♪」
「それってどういう意味よ!」佳子は亜紀に言われた事に怒って言い返すと
「だって近所のお祭りとか全部制覇!してるじゃないよぉ♪」
「え!・・・そうなの?」亜紀の言葉にぼくは驚いて佳子に目を向けるとばつの悪そうな顔をしている(笑)

「えーと、あたしの記憶だとね♪・・・まずは小学校の時から夏祭り秋祭り桜祭り・・・その上中学校の・・・」
「わ、わぁ亜紀、ちょっとやめぇ!」
「なんで?・・・事実じゃん♪」
「そ・そんな時効になったの和美に言わなくたって・・・」
「そう?・・・じゃあ1年の時に隣町の屋台を制覇したとか、屋台の人に顔馴染になっているとか・・・」亜紀の口からはマシンガンのように次々と言葉が飛び出しはじめた。
「あ、亜紀・・・そんな事はどうだって・・・」「・・・そいで別なとこで屋台の人に再会してそれで奢ってもらったとか・・・」
さすがにぼくは唖然としてしまい、佳子を力なく見ることしか出来なくなっていた。
「・・・・と、1年だけで20を越すお祭りに出掛けたんだよ・・・和美?どうかした?」
「いや・・・実感無くて・・・でも佳子・・・」ぼくは亜紀にそう答えながら
「な、なにかな?」
「それだけお祭り調べる力、勉強に活かせないのもったいないよ」そう言うぼくに皆がこけた(爆)

「おっきい学校だねぇ〜」

初めて来るその学校を見て、ぼくは校門をくぐりながらそんな事を口にしていた。
「おぉ〜♪、今年も模擬店豊作(笑)だぁ♪」すでに何度か・・・と、いうか毎年・・・・来ているので佳子の口から出た言葉は普通ではなかった(爆)
当然ながらぼくのように学校に驚く様子も無く、すでに目標の模擬店の吟味にかかっていて今にも走りかねない様子(笑)
「ちょっと佳子、文化祭なんだから・・・」さすがに志乃が袖を引っ張りながら小声でそう呟いたけど、そんな言葉は当然聞こえていない佳子。
「だめだよ、子供じゃないんだからさ・・・」ぼくも佳子にそう言うけど、それは興奮していてちっとも騎手の言う事を聞かない競走馬のようであった(爆)
「・・・駄目だこりゃ・・・」志乃の手を振り払い走り出しそうな程になっているのを見て、さすがに彼女も何を言っても無駄ということを知ってしまった!
「もうこうなったら”他人”の振りするしかないね」亜紀も諦めたのかそう言ってため息をついて志乃を見ると、彼女も手を広げて”お手上げ”と言わんばかり!
「ほらほら♪・・・良い匂い・・・さてどっから食べようかなぁ♪」その言葉にぼく達は頭を抱えた(笑)

佳子が豊作と言うくらい多くの模擬店を出しているこの学校は当然ながら近所でも一番大きい学校で・・・学園というべきか・・・中に幼稚園から大学まであるマンモス校なのである。
その上、多くの人が有名大学に合格している”進学校”として地元では知られていたりする。
しかし生徒の85%以上は極々普通の生徒なのであるが・・・まぁ極一部は普通よりも更に○○○なのであるが・・・それでも進学校として有名なのだ(笑)
なぜなら大きい学校という事は生徒が多いという事であり、生徒が多いということは優秀な生徒も多く、当然その中には極めて優秀な生徒もいるという事なのだ!・・・この事は当然反対の方向にも言えるのだけど(^^;;
生徒数の絶対数の多さが有名大学の進学者を抱えている要因となり、その進学者が”進学校”というイメージを維持しているのだ。
そして(付属の)大学までの(エスカレーター教育なので当然)進学率が高いということも”進学校”として地域にイメージされている・・・そんな理由なのだ(笑)

「ふ〜ん・・・大学行くのも大丈夫そうだね」ぼくが志乃からの話にそう答えていると、佳子は目を吊り上げて”あたしの事なのか”といわんばかりに睨んでいる。
「な、なにかなぁ(汗)・・・でもさ佳子はかなり頑張らないとウチからは・・・」
「そうそう・・・100億倍くらい勉強しなきゃ無理だもんね」と亜紀。
「お前が言うか!」と、言ってきた亜紀をにらみつける佳子。
「でもここなら100倍くらいで佳子でも大学行けるね♪」
「和美ぃ・・・そんな風に見ていたのぉ・・・」佳子はハンカチを取り出すと口にくわえそう言い返してきた。
「あはは、でもさ・・・佳子は大学行くよりお料理学校行ってレストランとかそっちが合ってるね♪」
「そうだよ、食い気一杯だし♪」
「あでも、お店のもの全部食べそうねぇ・・・佳子だと・・・」志乃はぼくらの話を聞きながら呟くようにそんな事を言う。
「「「え?!」」」いきなりの志乃の言葉に皆が振りかえったけど、それがあまりに的確過ぎて口元が緩みつい笑ってしまったのだ(笑)
「「「あははは、志乃それ凄くない?」」」「しぃのぉ〜〜〜(怒)」笑っているぼくらの横で佳子は志乃を睨んでいる!
「えぇぇホントの事じゃないよぉ♪」笑いながらも手をかざしている志乃。
「和美も皆も随分だよね!・・・あたしの事そんな風に思ってたんだぁ?」首をギシギシと言わせながら振りかえる佳子(爆)
「じょ、冗談だってばぁ〜♪」余りの迫力に手を振りながらそう言い訳?を言うぼく。
「ホントかぁ?」そう言いながら睨んでくる佳子に頷いて答えると、佳子はまた首をギシギシ言わせながら亜紀達に振り向いた。
「あんたらはぁ?」そう言って迫力満点の佳子に何も言わないで頷く二人。
「まぁ今一つ気になるけど・・・・?・・・」そう言い見渡しながら視線をぼくに向けるとじっと観察するかのようにぼくの事を見つめ出した!

「な、なんだよ?・・・まだ信じてくれないの?」つい視線を避けながら言い訳を言っていると、佳子はぼくを見つめながら近付いてくるじゃないか!
・・・な、なにか拙い事言ったかな?・・・ついそんな事を考えてしまうぼく。
「佳子?・・・和美謝っているじゃないよ?」見ていた志乃も余りの形相に佳子にそう言って止めようとしているとけど、そんな事聞こえてないのかとうとう佳子はぼくの肩に手を掛けた!
余りの形相に殴られるのかとぎゅっと目を閉じ顔をそむけるぼく。

「和美邪魔!」

と言ってぼくを押しのけ

「・・・やっぱり♪・・・特製オムレツだって♪」

と言って顔を崩していた(爆)
その豹変振りにぼく達は頭を抱えた(笑)

「・・・ふぅ〜ん、”レストランの味をぜひ”かぁ・・・」さっきの事を忘れそんな事を口にしながらお店に向かって歩き始める佳子。
「ちょっと佳子?・・・」ぼくは佳子の袖を引っ張りながらそう言うと
「あたしの美味しいものセンサーに反応しているの♪」そう言ってじっとお店を見つめ、口元にうっすらよだれまで浮かべているではないか!
「はぁ・・・食欲魔人なんだからぁ・・・」
「魔人てなによ・・・だって”レストランの味”だよ、気になるでしょ?」
「まぁたしかに・・・気にはなるけど・・・」
「でしょ?・・・だからそれを確かめなくちゃ♪」佳子はそう言ってじっとぼくを見ている。
「判った・・・ここだけだよ?」そう言うと彼女の顔に笑顔が浮かび、ぼくの袖を引っ張り始めた。

「おぉ、さすがに言うだけあっていい匂い♪」佳子はドアから入りながらそんな事を口にしていた。
廻りの人はそれを聞いてクスクス笑っているのがぼくの耳に聞こえてくる。
「あ、あのさ・・・そんな事言わなくてもさ・・・」
「なんでさ?・・・美味しいものは美味しいと言わないと失礼でしょ?」
「そうかもしれないけど・・・そんなに大きい声じゃなくても・・・」
「大きい?・・・変ねぇ、あたし声小さいっていわれているんだけどなぁ・・・」
「それは授業の時だけでしょ!」
「そうだっけ?」
完全に漫才になってしまっている会話に笑いを堪えるのが苦しそうにしている人達。
「も、もう・・・早く座ろう・・・」顔が火照ってくるのを感じたぼくはそんな皆の背中を押して入り口から一番遠い席に座った。

「さ〜て何にしようかな」早速メニューを広げる佳子。
「そうねぇ、あたしはチーズオムレツかな?」隣からメニューを覗き込んでいた亜紀がそう言う。
「あ、それあたしが頼もうと思ったのに・・・」口を尖らせながら文句を言う佳子(笑)
「あ、ぼくは普通のオムレツね」「あ、あたしも」ぼくに続いて志乃もメニューを決めると、更に佳子の口が尖ってくる!
「あたしがメニュー広げたのにさぁ・・・」
「まぁまぁ・・・あたしと同じチーズで良いじゃない?」亜紀はそう言って佳子をなだめていると
「・・・自分のが食欲間人じゃないよ・・・」と、呟くように言う。
「あんだって!?」それを聞いた亜紀の手が伸び佳子の頬を引っ張り出した。
「はひふんほほぉ?(なにすんのよぉ?)」
「悪い事言っている口はこれかぁ!〜」と、更に引っ張る亜紀。
「亜紀もいい加減に止めなよぉ」志乃がそう言って止め、亜紀は佳子から手を離す。
「仲が良いんだかなんだか・・・」長い事二人を見ている志乃はそう言ってため息をつき、ぼくはそれを聞いて苦笑するしかなかった。

「「「美味しそう!」」」

暫くして運ばれてきたオムレツを前にして皆がそう言っている。
「良い匂い!・・・まさにオムレツって感じだね」「きれいに焼けてる・・・ホントにレストランみたいだね」とか(笑)言いながら亜紀と佳子は早速口に運んでいる。
「あはは・・・じゃあぼくも・・・」オムレツを切り分け口に運ぶと、独特のふわっとした感触と甘い卵の香りが口中に広がっていく。
「「「美味しいねぇ」」」桂子達はそう言いながら休まずにオムレツにフォークを入れているけど、ぼくはその半分も食べていなかった。
一口目を食べた時に不思議な感じがしたからだ。
それは調理実習の時と同じ、自分で作ったものを食べているようなそんな感じなのだ。
・・・でもぼくより美味しいかなぁ・・・等と思いながら和美はゆっくりと口に運んでいた(笑)

和美がそんな事を思うのは当然だったりする。
実はこのオムレツは以前和美が佐藤のお義姉さんとこで作ったのを食べた人が作っているのだからだ。
そう!これを作っているのはあの女子高生たちなのだ。
あの後、和美のオムレツを超えるべく日々精進を重ね、山野を歩き滝に打たれ・・・もとい、朝からオムレツを作り続けたのだ!
使われた卵の殻が校庭を覆い尽くし、ゴミ回収車が連なって・・・は来なかったものの、殻はゴミ箱から溢れた事はあったのだ。
その精進の結果は納得のいく出来であり、試食の生徒からは”レストラン並だ”という声が上がった程に腕前を上げていたのだ!
このオムレツにはこういった女子の愛と希望の・・・もとい、努力の結晶なのであった(爆)

「美味しいねぇ」和美の口からそんな言葉が漏れると、気になって奥から見ていた女子達がガッツポーズをしていた(笑)
「そだね・・・和美にちょっと負けるけど美味しいと言えるわね」もう全部食べ終わった佳子がぼくのをじっと見ながらそんな事を言っている。
「そう?・・・ぼくより美味しいと思うけどなぁ」
「そう?・・・あたしの”チーズ!”だったからかなぁ♪」佳子はそう言うとぼくのを取って食べ始めた!
「あ!」一瞬の事に唖然とするぼくの前で、佳子はオムレツを見る々々うちに平らげていく(笑)
「佳子!・・・ぼくのなんで・・・」
「あ、ごめ〜ん♪・・・ちゃんと味見しないと評価できないでしょ♪」あっさり言い返す笑顔の佳子にぼくはもうなにも言えなかった。

「オムレツ2つねぇ♪」食べ終わった佳子はそう言って追加を頼んだ。
「まだ2つも食べるの?」驚いて聞くぼくに
「一つは和美のよ♪・・・さっき食べちゃったからね」
「え?・・・でもぼくだったもうそんなには・・・」
「あまったらあたしが食べるから♪」そう言ってにっこり笑う佳子にぼくは頭を抱えた(笑)

「お待たせしました」そう言ってエプロンを着た女子がぼく達の前に新しいオムレツを置いていく。
「美味しそうねぇ」佳子はこれを初めて食べるかのように呟くとフォークを握り締めマシンガンのごとくお皿に突き刺していく。
攻撃を受けたオムレツ(笑)はフォークに乗り佳子のお腹に滑り込んでいく。
「あぁ〜ん、美味しいよぉ♪」そう呟いた時にはもうオムレツは消え去っていた!
余りの早業に唖然としているぼくに向かい、佳子の手が伸びてきてあっという間にお皿を入れ替えてしまった!
「え?」早業に驚くぼくの尻目に佳子の攻撃が再開され、入れ替わったオムレツが形を変えていく。
「ご馳走さまぁ♪」満点の笑顔とともにオムレツは消え去っていた。

「美味しかったね♪」笑顔の佳子はフォークを置きながらそう言った。
「そうだね」亜紀も志乃も当然ぼくも佳子の言葉に頷く。
「で、明日は何時にする?」
「えぇ〜、明日も来るの?」さすがに思いもよらない言葉にぼくがそう言い返すと
「美味しいものを食べる機会って少ないじゃない・・・活かさなきゃ♪」そう言って見つめ返す佳子。
「佳子が作ればいつでも美味しいもの出来るじゃないよぉ」
「作るのと作ってもらうのは違うの・・・当然でしょ♪」
「あぁ・・・魔人はこれだからなぁ」佳子の話を聞いて亜紀はため息をつきながらそう言った。
「何を言われても怒らないもん♪」佳子はそう言いながら立ち上がろうとすると

「甘ったるいわねぇこれ」

と言う声が聞こえてきた。

突然の事にぼく達は声のする方に顔を向けると、お客らしい娘がオムレツをフォークで突つきながら文句を言っているらしかった。
「こんなの食べてたらしまりの無い女になっちゃうわねぇ」そう言ってせっかくのオムレツをぐちゃぐちゃにしてしまっている。
「やっぱ、卵は醤油で卵焼きにしないと」と、お店の娘に聞こえるように言っているのだ。
・・・これ美味しいのに、なんだかケンカ吹っかけてるみたい・・・そんな事を思いながらその娘を良く見ると、何かの道着を着ていて脇にはカバーの掛かった長い物を持っていた。
「あぁ〜・・・子供の食べ物だよねぇ〜」わざとらしくそう言いお店で食べている他の人にふれ回っている。
奥ではそれを聞いて悔しそうな顔でその娘を睨んでいる。
しかし、睨んでいるだけで何かあるのか出ていこうとしていない。
・・・我慢しているんだあの娘達・・・その悔しそうな顔を見ているとそんな感じがしてならなかった。

「そこの彼女・・・こんなもの食べてたらおバカになっちゃうよ♪」その娘はお店の娘が何もしない・・・出来ない事を知っているのかぼく達に向かってそんな事を言い始めた。
・・・せっかく美味しいの食べて良い気持ちだったのに・・・声を聞いているとむかむかしてくる!

「これじゃあ子供の「味音痴がうるさいわねぇ!」おやつがいいとこ・・」

持っていたフォークをテーブルに叩きつけながら佳子がそう言った!
突然の事に何も言えない娘に
「美味しいものが判らないんだったら家で卵焼き食べてれば良いのよ(怒)」
「ま、不味い物を不味いって言って何が悪いのよ!」その娘は佳子に言われた事が癪に障ったのかそう言い返している。
「ほう?・・・それじゃあアナタはこれより美味しいものを食べていると?」そう言ってじっと相手を見つめる佳子。
「・・・・・・・」実はこの娘も”美味しい”と思っていたから佳子に何も言えないのだ
「そんなのあんたには関係・・・」
「無くないわ・・・あたし達の事味音痴って言ったんだもの・・・」突き刺すような目でじっと相手を見つめる佳子!
その時お店の中が氷点下にまで下がった気がした・・・・

「あ、あんたが味音痴じゃないって・・・証明できるの?」その娘は佳子にそう言ってきた。
「そ、そうだよ!・・・あんたが味音痴じゃないって証明して見せろよ!」「これより美味しいのをつくって見せろよ!」とっさに思いついた事が妙案だと思ったのだろう・・・さっき食べていたオムレツのレベルの高さにそう言ってきたのだ。
「ちょ・・・ちょっと、お客さんにそんな事させられないわよ」奥でオムレツを作っていた娘が出てきた佳子の前に立つと庇いながらそう言う。
「あれの味付けは皆で時間が掛かって作り上げたんだから・・・簡単には・・・」そう言うと相手はもう勝ったような顔になっていた。
「じゃあ”不味い物を食べさせてました”って言ってみろよ」
「この場所を”ウチ”から奪ってすみませんでしたとな」
どうやらこの娘達は文化祭の模擬店の割り当てで彼女達に場所を取られた嫌がらせをしに来たらしかった。
・・・あいつら身勝手な事ばかり言いやがって・・・ぼくが前に出て言い返そうとした時、佳子の手がぼくを遮った。

「・・・佳子・・・」ぼくが佳子を見ながら声を掛けると
「あたしちょっと頭に来たからさ」そう言って軽く笑った。
「大丈夫だってばさ、和美だって佳子の事知っているでしょ?」亜紀もそう言って佳子を見つめ返す。
「あの娘達に自分のした事判らせてあげないとさ♪」
「そうかもしれないけど・・・」
「大丈夫だって・・・手加減するからさ♪」佳子はそう言うと相手に向き直った。
「それじゃあ、あたしの作ったものを食べてもらおうかしら?」そう言うとお店の娘にエプロンを借りて着ける。
「さっきより不味い物だと判ってんだろうな?」
「えぇもちろん♪・・・まぁ皆さんにはダイエットして貰うつもりだから♪」意味不明のことを言って佳子は奥に消えた。

「お待たせ♪」佳子はそう言って彼女達の前にオムレツを置いていく。
「さて不味いかどうか判断してもらいましょうねぇ♪」楽しそうに言う佳子が気に入らないのかその娘達は何も言わないままオムレツにフォークを入れ口に運ぶ。
「「「!」」」一口口に運ぶと彼女達の動きが止まってしまった。
「どうしたのかなぁ♪・・・何も言わないのぉ♪」にこやかに言う佳子の言葉に何も言えない彼女達。
”不味い”と言いたいのだけどこのまま食べたい気持ちが大きくて、そのギャップが無言という事になっているのだ!
「まぁ評価は食べ終わってからで良いから♪」その様子に勝ち誇った佳子がそう言うと、怒涛のごとく彼女達は食べ始めた(笑)
カチャカチャというフォークの音が響きオムレツが段々小さくなっていく。
「「「ふぅー・・・」」」食べ終わって一息ついた彼女達の前に新しいオムレツが置かれていく。
「「「え?」」」驚いて佳子を見る彼女達。
「おかわり作ったんだけど・・・いらなかったかなぁ?」そう言ってオムレツを下げようとすると慌てて食べ始める彼女達。
そして空のお皿が山になっていた(爆)

「さてと判定はどうかな?」楽しそうに聞く佳子に何も言えない彼女達。
「まぁ味が判らない子に何を言っても無理かな?」
「こ、このお店のよりは美味しいかも・・・・」ボソボソ言うのを聞いて満足そうな佳子。
「え?・・・なんだって?」聞こえているのにそう聞き返すと
「この店のより美味しかった!」と怒鳴って言い返してきた。
「おかわりの2皿めも?」そう言って一人の娘を指差し聞くと、その娘は残念そうにしながら頷いた。
「じゃあ3皿めは?」そう言って別な娘に3皿・4皿と確認していった。

「じゃあ全部美味しかったのね?」そう言うと全員が頷く。
「なんだぁ・・・このお店のも美味しいって認めてるんじゃない」佳子がそう言うと唖然としてしまう彼女達!
「あんなに短時間に一人で焼けるわけ無いでしょ?・・・・最初の以外は全部このお店のよ」そう言うと彼女達は口をあけたままになってしまう(爆)
「まぁ男の子の倍食べる子に味が判れっていうのは無理かなぁ♪」と、お皿を指しながら言う佳子に彼女達は俯いて出ていってしまった(爆)

「土曜日凄かったね」月曜の朝、校門の所で桂子達に会ったぼくはそう話しかけた。
「あ、オムレツの事?・・・まぁあんなもんじゃない」と軽く答える佳子。
「そう?・・・でもあんなにも食べさせちゃうんだもん凄いよ佳子は」
「何言ってんの・・・もともと十分美味しいから出来たんだってば」
「え?」驚いて見つめるぼくに
「あたしが作ったのはきっかけだって・・・あの娘達が作ったのが十分美味しいから出来たんだってば・・・ところでさ」そう言ってじっとぼくを見つめる佳子。
「あれ和美の味付けみたいな気がしたんだけど・・・なにかやってない?」
「え?・・・何かって?」
「だからあの娘達にお料理教えてないって事よ」
「教えないってさ、ぼくは佳子達に教わっているんだもんそんな事しないって!」
「同じ気がしたんだけどなぁ」佳子はぼくの言う事を聞いて考え込んでいた。

「やっと見つけたわよ」そんな声がしてぼく達が振り向くとそこに一人の学生が立っていた。
見覚えの無いその娘はじっとぼく達を見ているとツカツカと歩いてきて佳子に抱きついたではないか!
「「「えぇぇぇぇ」」」余りの事に驚くぼく達に
「貴方に会いたくて」と言って佳子を見つめている。
「な、何なのよ?」「誰この人?」面識も無くいきなりの事に戸惑ってしまうぼく達に
「お、お姉ちゃん?」驚いている美秀ちゃんの声が重なった。
それはやっと梅雨の開けたある日の事だった・・・

 

30話に続く


ども、mk8426です。久しぶりの和美ちゃんでございます。
えー、食欲魔神?(爆)
というか、大食い大会でしたね(違)。しかし、見抜かれてますね。さすがは食欲魔(違)。
さて、またしても波乱の予感?

2005.05.06  mk8426

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