「なんであんなのがワタクシより上なのよ!」彼女はそう言いながら持っていたペンを壁に投げつけている!
その先には彼女の参加した”桜祭り”と”交流会”の写真が貼りつけてあるのだ。
ペンはその写真に向かって投げられ狙いたがわず・・・のつもりが外れて自分の所に刺さっている(笑)
彼女はペンを抜くと改めて写真に突き刺した!
「この女がいたからワタクシが!」そう言い何度も突き刺している。
姉の声に驚いてドアの隙間から妹はそれを見ていた。
普段やさしい姉の変わり果てたその姿に、妹は見てはイケナイモノを見た気がしてなにも言えないでいた。
何度も突き刺すその姿に姉の為に何かをしてやりたい妹であったが、同時に相手は妹の憧れの人でもあったのだ!
二つの想いに挟まれながら彼女は小さな胸を痛めていた。
・・・先輩、姉を救ってください・・・そっとドアを閉めると彼女は窓の外の星に向かってそう願いを掛けていた。
若葉が色づいている初夏の事であった・・・
和美ちゃんスクールライフ
和美ちゃん 28話
作:kagerou6
「ふぅ・・・なんだか疲れが取れないなぁ・・・」教科書を置いてそんな事言うぼく。
窓からは気持ち良い風が入ってくるのだけど、目の前の二人がそんなのをキャンセルしてしまっているからだ(笑)
目をギラギラさせながら佳子と亜紀が休憩時間にぼくのノートを写していて、さながらプチ補講をしているためなのだ。
次の授業でテストがあるから・・・赤点は免れなくてはと必死に書き写している。
「ちゃんと範囲は教えていたでしょ?・・・なんで勉強してこないかなぁ・・・」亜紀の間違いを訂正しながらつい愚痴をこぼしてしまう。
「あたしが家でやっても解けないの・・・仕方ないでしょ?」佳子は判らないところを指差しながらぼくの愚痴に答えている。
「昨日言ってくれればなんとか出来たのに・・・」
「寝たら忘れるから♪」「同文♪」
二人のステレオな答えにがっくりと肩を落とし、ため息をつきながら補講を続けた。
「お〜い席につけ〜」始業のチャイムが鳴って佐藤がドアを開けて入ってきた。
「あれ?・・・佐藤君先生は?」意外な事にそう聞くぼく。
「先生は急用らしい・・・・それで自習にしていてくれって・・・」「「「やったぁ♪」」」
佐藤の声に重なるようにクラス中からそんな歓声が上がっている。
「ほいで・・・これをやっとくようにって」そう言って佐藤は持ってきたプリントを手でバンバン叩くといきなり静かになってしまった(爆)
「裏切りものぉ」「我々に自由を!」そう言って抗議を始めて佐藤を睨んでいたりする。
「まぁそう言うなって・・・テストと違って相談しちゃ拙いわけでもないんだから・・・」
佐藤がそう言いきる前にクラス中で移動が始まっていた(笑)
「はぁ・・・結局まるまるプチ補講じゃないか・・・」そう言いながら目の前の4人に愚痴をこぼすぼく。
「「「えへへへへ・・・・」」」亜紀・佳子・志乃・千枝はそう言いながら笑っている。
「いいじゃない・・和美ならそうは時間掛からないでしょ?」そう言いながら早速ぼくのを写し始める佳子(爆)
「自分でやらないと覚えないんだよ?」
「だってこんなの覚えても役に立つとは思えないもん!」そう言ってぼくのを引っ張っていく亜紀。
「はぁ・・・とりあえず判らないところはともかくそれ以外は何とか自分で・・・」
「「「全部♪」ぼくが言い切る前にそう言って自分のプリントを見て笑っていた。
「まったく・・・あいつらは・・・」帰り道今日の事を思い出してそんな風に愚痴をこぼしているぼく。
廻りから見たら変なやつと思われてしまうような事だけど、つい口から出てしまいぶつぶつと言い続けていたのだ(爆)
・・・ちょっと拙いかなぁ・・・段々と集中してきた視線に慌てて電車を降り、反対側の電車に乗り込む。
「ふぅ・・・ちょっと拙かったかなぁ・・・」ぼくの事を見ている人のいないことを確認してため息を吐いた。
・・・まぁ”いつもの事”だし今更言っても・・・なんとなく落ち着いたぼくは、動き出した電車から外を見てそんな事を思っていた。
「お姉ちゃん♪」「斉藤さん?」次の停車駅でドアが開くと入ってきた人にそう声を掛けられ、そちらに顔を向けると奈美ちゃんと佐藤がぼくを見て微笑んでいた。
「奈美ちゃんこんにちは」
「こんにちはお姉ちゃん♪」そう言いながらぼくに纏わりついてくる奈美ちゃん(笑)
「・・・あれ斉藤さん、こっちじゃあ・・・???」そう佐藤は紙袋をいくつか抱えながら聞いてきた。
「えぇーと・・・色々あって・・・」笑いながら誤魔化すぼく。
「そう?・・・じゃあ聞かないほうがいいかな・・・」そう言うと佐藤はぼくの前にきてつり革につかまった。
「佐藤君はどうして奈美ちゃんと?」そう言いながらぼくは奈美ちゃんの手を取って遊んでいたりする(笑)
「あ・・・義姉さんが色々と忙しいらしくてね・・・」
「そうなの?・・・奈美ちゃんも寂しいよね?・・・」
「ううん・・・お兄ちゃんいるもん」そう言って奈美ちゃんは佐藤の方を見て微笑んでいる。
そうは言っているもののその手はぎゅっと佐藤の制服を握っていて離そうとはしていない。
「まあとりあえず僕が送り迎えしているんだけどね・・・そうでもしないと奈美が可哀想だしさ・・・」そう言う佐藤は奈美ちゃんの気持ちを判ってそのままでいるのだ。
「仕事大変なんだ?」ぼくがそう言うと佐藤はなにも言わないで頷いた。
奈美ちゃんをマンションまで送っていく途中、手ぶらもなにかなとぼくはケーキ屋に立ち寄った。
「そんな・・・気にしなくても・・・」お店でショーケースを見ているぼくに佐藤はそう言いながらどう言うべきなのか困っているようなのだ。
「奈美ちゃんとお話するの久しぶりでしょ?・・・だからこれくらいは無いとね♪」シュークリームをいくつかを箱に入れて貰うと奈美ちゃんもそれが気になって仕方が無いのかじっと箱を見ているのだ(笑)
「・・・奈美、はしたないぞ♪」佐藤君はそう言って叱っているものの、奈美ちゃんの笑顔が嬉しいのか顔がほころんでいる。
「・・・ありがとう斉藤さん・・・」佐藤は奈美ちゃんを抱いたままそう呟いている。
ぼくはそんな二人をなんとなく羨ましく思っていた。
「ただいまぁ」「おじゃまします〜」奈美ちゃんに隠れるように小さく言うぼく(笑)
さすがに他人の家だし、お義姉さんに見つかると何をされるか判らないからだ(爆)
「なにか飲み物あったほうが良いよね・・・」ぼくは佐藤と一緒に奥の部屋まで行ってその事に気付きキッチンに足を向けた。
「奈美ちゃん・・・ジュースはなにがああああ〜〜〜?」キッチンを開けながらそう言っていた言葉は最後まで言えなかった。
そこには山のようにそびえているお弁当の空き箱が積んであり、流し台は食器が乱雑に置いたままになっていたからだ!
いくらなんでも凄すぎなその状況にぼくは意を決して制服の袖をまくり戦いを挑む事にしたのだった(爆)
「ふぅ・・・とりあえずこんなもんか・・・」テーブルと流しをきれいにして汗を拭い改めてコップにジュースをいれ、二人のところに持っていく。
「お待たせ・・・奈美ちゃん」奈美ちゃんは佐藤の膝の上に座ってすでに食べていたらしく、クリームを口の廻りに付けていた(笑)
「あらら、奈美ちゃんおくちクリームだらけだね」脇のティッシュを取って口の廻りを拭ってあげると一旦ぼくにニコっとして、そのままコップに口を付け飲み始めている。
「でも、随分時間掛かったみたいだね?」佐藤は奈美ちゃんを軽くなでながらそんな事を聞いてきてぼくはちょっと躊躇いながら
「ちょっと洗い物・・・あっちが凄い事になっていて・・・」と、苦笑しながら答えるぼくに、さすがの佐藤も同じように苦笑いしていた。
「・・・忙しくてお弁当ばかりなのかなぁ・・・」さっきの事を思い出してそんな事を呟くぼく。
「それは無いと思うよ・・・子供もいるんだし・・・」
「でもさ、あの空は昨日今日じゃないよ・・・10個以上はあったから、どう考えても一週間は・・・」ぼくの言う事に佐藤もうなって考え込んでいた。
和美はこの時になぜお弁当の空がテーブルの上に載っている事に気付くべきだったのだ。
いくら毎日お弁当だったとしても・・・まぁ普通はありえないけどね・・・食べる時には前の”ゴミ”が邪魔になってしまうという事を(笑)
こんな事は消費した人がそのまま置かない限り起きるはずもなく、それはつまり人数分のお弁当が一気に空になって置かれたと考えるべきなのだから。
つまりは、和美達が来るまでこの部屋には人がいたという事なのだ。
荒れていた流しが和美の冷静さをこの時は無くしてしまったといえよう。
「お義姉さん忙しくてご飯作れないんじゃ・・・お祖母さんか誰かに来てもらったら良いんじゃないの?」ぼくがそう言うと佐藤は首を振っている。
「義姉さんはあまり人の世話になるのが好きじゃないんだよ」
「そんな事言ってもこんなの拙いよ?」そう言うぼくに佐藤は静かに首を振っているままだ。
「奈美ちゃんの事考えたらそんなのへんだって・・・」ぼくは佐藤の膝で遊んでいる奈美ちゃんを見ていると気持ちが高まってきてそんな事を言ってしまった。
「ねぇ奈美ちゃん」ぼくは奈美ちゃんの頬に手を添えそう言うと大きな目をぼくに向けてくる。
「今晩食べたいのはなにかな?」
「えっとねぇ・・・オムレツ♪」目をくりくりさせながらそう言う奈美ちゃん。
「じゃあお姉ちゃんがご飯作ってあげる」ぼくはそう言いながら奈美ちゃんを見つめると顔がぱっと明るく変わってコクンと頷く。
「え、そんなの拙いよ・・・」佐藤は慌ててそう言い断ろうとしたけど、奈美ちゃんのことを考えるとぼくはそれを気にしないつもりだった(前作参照(^^;;)
「奈美ちゃんが喜んでくれれば良いじゃない」ぼくがそう言うと、笑顔でいる奈美ちゃんを見てさすがに佐藤は頷くしかなかった。
「遅くなったなぁ・・・」その時このマンションの主人である佐藤のお義姉さんは女子高校生を引きつれたまま足早にマンションに向かっている途中だった。
なぜお義姉さんが女子高生を引きつれているのかというと、仕事が思いの外早く終わり一旦家に帰った彼女を高校の後輩が訪ねてきたためだ。
お義姉さんは高校を卒業して随分経つのだが、面倒見が良いせいか今でも相談を持ちかけられる事が多く、今回は彼女達の高校で迫っている文化祭での”部の催し”についての相談に来たのだった。
その部とは家庭科部(笑)で、仕事バリバリのお義姉さんはそのOGだったりする。
彼女は高校の文化祭で凄い売上を出した伝説的存在で、その料理の腕は当時プロ級と言われ後輩はそれを期待してのことなのだ(爆)
彼女達は自分達で作るつもりのオムレツ・・・の美味しいと評判のお店のお弁当(笑)を持参して、その味を掴むべくお義姉さんのところに来たと言うわけ。
お弁当の空はその残骸だったのである。
もっとも彼女達は”別な”事も期待していたのだけど・・・
「遅くなったなぁ」お義姉さんはエレベーターのボタンを押しながらそう呟いた。
「すみませんです先輩」後輩はそう言って頭を下げた。
「良いのよ役に立てれば私だって嬉しいし・・・」そう言いながらも時計を気にしている。
・・・これから掃除してご飯作ると何時になるかなぁ・・・と、出かける前に片付けなかった事を心配しているのだ。
・・・奈美、お腹を空かしているかなぁ・・・と、娘の事を心配してもいる。
慌てている彼女はカギを開け中に入ると荷物をそこに置くように彼女達に言い、帰るように言った。
「そんな、さっきなにもしてないから掃除はしていきますよ」そう言い家に入って来る後輩。
実は彼女達、ここに来たのは相談だけではないのである!
以前に来た時に子供と遊んでいる男子・・・けっこう良い男♪・・・を見かけたからである(爆)
優しい声で子供と遊んでいる彼にヒトメボレした彼女達は・・・お約束のごとく佐藤君だったり(^^;;;・・・今回の相談で再会できないかと期待していたのだから!
幸い?入った玄関に置いてある学生らしき靴!を見つけた彼女達は、女らしいところを見せようとしていたのだった(爆)
「遅いから良いわよ・・・まだ、帰ってきてないし・・・」そう言っているとドアを開けると良い匂いが漂い、ご飯を美味しそうに食べている奈美ちゃんを膝で抱えている和美に全員が固まってしまった。
「和美さん」予想外の人を見てそう呟くしないお義姉さんであったけど、ほかの娘にとって衝撃はそんな比ではなかった(爆)
先輩の娘と一緒にいる女?・・・しかも膝の上でご飯を食べているという隙の無い状態!
お目当ての彼もそれを見てにこにこしているという事実!に彼女達に顔からは血が音を立てて引いていく。
「「「あ・・・あぁぁぁぁなぁぁぁたぁぁぁはぁぁぁ・・・」」」「「お義姉さんそちらの人たちは?」」彼女達は震える声でそう言いかけ、ぼく達の声を聞いて不意に顔色が良くなっていた(笑)
「「「お義姉さんだって・・・」」」ホッとした顔でひそひそ言い合いじっとぼくを見る彼女達!
実は佐藤と和美が”お義姉さん”と言った事で彼女達は”親戚”とかと勘違いしていたのだ・・・普通”お義姉さん”とかいうのはそうだもんねぇ(^^;;;
彼女達は落ち着きを取り戻したようで何かを聞きたいのかぼくに近付いてきていきなり途中で止まってしまった。
そのおかしな行動に彼女達を見つめると、彼女達の目はぼくではなく違うものを見ているようなのだ。
・・・おや?・・・彼女達の視線を追いかけていくとそこにはラップに包まれたオムレツがあったりする(笑)
彼女達はぼくを見ているうちにオムレツの匂いに視線を移動させてしまったのだった(爆)
「それって?」お義姉さんも彼女達が止まった事にテーブルを見て、そこにあったオムレツにぼくにそう聞いてきたのだ。
「お義姉さん達の食べる分にと作っておいたんですけど・・・」と、3人分のオムレツのラップをはずした。
卵の匂いが立ち上り彼女達の鼻をくすぐる。
その匂いに顔つきの緩んでしまった彼女達を見て、お義姉さんは割り箸を取り出すと彼女達に差し出した。
「「「いただきまーす!」」」彼女達は一口ずつ食べ満点の笑顔を見せると、一転して顔に筋を浮かべた。
「口に合わなかった?」そんな彼女達を見てぼくがそう言うと首を振っている。
「?」訳の判らないぼくはじっと彼女達を見ると
「こんなにお料理の上手な娘がいるなんて・・・」「そうね・・・さっきのお弁当よりおいしいかも・・・」等と言っているのだ。
どうやら彼女達は和美のオムレツに自信を失ってしまったらしい。
恨めしそうにオムレツを食べながらぼくを見る彼女達だったが、何かを思いついたのか箸を置くとお義姉さんに顔を向け
「「「先輩!”妹さん”に文化祭の手伝いを頼んでください!」」」彼女達はそう言ってお義姉さんを見つめていた(爆)
「「「え?」」」彼女達の言葉に驚いて叫んでしまったお義姉さんとぼく達。
その予想外な様子に彼女達も驚いてしまった。
「先輩、今までも色々と手伝ってくれたって・・・」「そうよね、去年とかはOGに声をかけて集めてくれたし」ひそひそ言っている彼女達は、不意に驚いていたところが違うのじゃないかと思いはじめていた。
「「「他に変な事なんて・・・」」」そうぼそぼそ言っていると”まさか”の想いが浮かび上がり、顔をゆっくりゾンビのごとく回転させていた。
「「「せ、先輩・・・そちらの方は?・・・」」」ぎしぎしという音が聞こえそうなくらいにゆっくり呟く彼女達。
そう言う彼女達の頭の中を”妹で無い娘”というキーワードが駆け巡っていたのだ。
同じ年頃で”妹”でなく子供と遊んでいる存在!・・・それはもしかして・・・彼女達は浮かんだ答えを否定したかった、して欲しかったのだ!
彼女達は僅かな期待をお義姉さんに求めていた。
「あ、紹介がまだだったわね?・・・義弟の雅彦さん・・・と・・・」お義姉さんはちょっと間を取って
「その彼女の斉藤さん・・・・」とにこやかな顔で小さく呟いた。
それを聞いて彼女達は顔に筋を増量させ(爆)部屋から出ていってしまった。
「そっかぁあの娘達雅彦さんの事気になっていたのね」そう言いながら残っていたオムレツを口に運ぶ。
「どおりでウチに来たがるはずね♪」そう言いながら今度は佐藤に目を向け笑っていた。
「しかし、あんな事言わなくても」
「そうですよお義姉さん、あれって冗談でもきつすぎですよ・・・」佐藤に合わせてそんな事を言うと
「だって”お義姉さん”て私の事言えるのは雅彦さんの彼女でしょ♪」楽しそうに言う彼女にぼくは反論できなかった。
「「「またねぇ・・・」」」深度1000mを越えそうな重い声でそう言うと彼女達は別れて自分の家へと向かっていった。
一人の少女がとぼとぼと暗い夜道を家に向かっていた。
「また”あいつ”が・・・今度は先輩まで!」彼女はそう言いながら歯をぎしぎし言わせているのだ!
風に乗って流れてくるその声と音に、近くでイタズラしようとしていたチカンが怖くなって立ち去ったと言う(爆)
彼女はそのまま暗闇に消えていった・・・
さて4敗目の彼女・・・それはいったい誰でしょう(^^;;;
29話に続く
すんません、mk8426です。27話と一緒に頂いていたのに出し忘れておりました(爆)。
さてさて、それにしても、佐藤くんとはもうのっぴきならない仲になってしまっているような気がするのですがさて・・・(笑)。
お義姉さん公認でもあるようですし(爆)。
さあ、今回もまたまた敗北してしまった彼女は・・・(汗)。
2004.12.22 mk8426