和美ちゃんスクールライフ

和美ちゃん 23話

作:kagerou6

 

 

「せんぱ〜い♪」

教室のドアが開いて茶道部の部員が駆け込んで来る!
ぎく!声を聞いて、逃げ出す事に失敗したと痛感するぼく(爆)
「今日こそはお返事くださいね♪」そう言ってぼくの手を取るとじっと見つめて来る彼女。
「和美・・・いい加減に入部しちゃったら?」佳子はそんなぼく達を見てそう言うと
「そうだよ・・・こんなにも真剣に誘っているんだもん」と、亜紀まで言い出す。
「でも・・・もう3年でしょ・・・受験とか色々あるじゃない・・・」手を握られながらもぼくはそう言い返して彼女を見つめる。
「先輩・・・3年生でもトップクラスって聞きました♪・・・受験なんて問題無いじゃないですか」
「あ・・・あのねぇ・・・そういう問題じゃ・・・」
「先輩・・・あたしの事嫌いなんだ・・・」そう言って彼女はなみだを浮かべてぼくの事を見つめる。
「き、嫌いとかじゃなくて・・・そういうのじゃなくてね・・・」
「だあってさ・・・あたしの名前一度も呼んでくれないし・・・」
「美秀(みほ)ちゃんだっけ?」佳子がそう言うと彼女はパッと顔を明るくして
「ハイ♪・・・一年の山瀬美秀です」と、元気に返事をしているのだ。
「美秀ちゃん・・・和美は今日色々あって疲れているんだから・・・またにしてね」佳子がそう言うと美秀はいきなり顔を変えてしまう。
「そういう強引で我侭だと・・・和美は話も聞いてくれなくなるわよ?」亜紀がそう言いながらぼくの事を見るように彼女に言う。
「そうですか・・・じゃあまだ嫌われてはないんですね・・・」
「そうよ・・・だけどあまり・・・」
「判りました・・・”明日”また来ますから」彼女はそう言って手を振りながら教室から出ていく。
「はぁぁ・・・毎日なんだよ・・・」ぼくはあの日から”毎日”の彼女の訪問に心底疲れていた(泣)

「和美もいい加減に入部しちゃえば?」教室から出て玄関に向かいながら佳子はそう言ってぼくを見ている。
「無責任な事言わないでよね」
「だってあれだけ熱心に誘っているんだもん・・・気の毒じゃない?」佳子はそう言いながら亜紀と志乃に目を向ける。
「そうだね・・・あんなに真剣に誘っているんだもん・・・正式入部じゃなくてもいてあげたら?」
「亜紀のいうとおりね・・・毎日じゃなくても良いんじゃないのかな?」
二人はそう言い、ぼくの事を見ていた。
「でもさ・・・」ぼくは呟きながら、職員室脇にある”茶道部”の部室に目を向けると、姉が部員を前に手本を見せているところが目に入ってくる。
「姉さんはぼくなんかより全然上だから、ぼくとかがいる意味無いと思うけどね」
「でもさ、晶先生若くて良い先生だけど・・・”先生”だもん・・・」
「そうね・・・”先輩”とはちがうものね」
そう言いながら3人はぼくをじっと見ている。
「あの娘、見ている感じだとそう悪くないもん・・・後は慣れだと思うし・・・」ぼくは靴を取り出しながらそう言い
「”あの人”の前でお茶を立てれれば、どこででもちゃんとできると思うよ・・・」靴を履き替えて玄関から出ていくぼく。
「え?・・・”あの人”って?」佳子は靴を履き替えるとぼくの隣に並んでそう聞き返して来る。
「ウチの伯父さん・・・つまり校長先生♪」ぼくがそう言うと3人は苦笑いしていた。

「それよりさ、明日の実習どうする?」佳子はスーパーの前でそう呟いていた。
「好きなもの作っていいって事なんだけどさ・・・皆は何作るか決めているの?」佳子の問いかけに誰も答えられないでいる(笑)
「佳子と違ってある材料でなんでも出来ちゃうわけじゃないから、なにか課題あった方が楽なんだけどなぁ」
「そうだよ、佳子みたいにあり合わせで美味しいの作れれば良いんだけど」
「そうね、佳子みたいに・・・」
「判ったわ、どうせ明日も同じグループなんだから・・・いっそ・・・」佳子はそう言うと自分の考えを披露していた。
「あはは、確かにそれなら」ぼくが佳子の話に答えると皆も頷いている。
「でしょ?・・・こうすればお互いかち合わないし、しかもフルコースが食べられる♪」
「了解しました、佳子隊長♪」亜紀がそう言って手を額に合わせて敬礼のマネをしている(笑)
「じゃあ・・・スーパーに突撃♪」そう言う佳子に続いて皆が続いてスーパーに入っていった。

「あー重い」はちきれんばかりの買い物袋をもって、スーパーから出てきたぼくはそんな事を言っていると
「和美、随分買ったのね?」と亜紀が同じように袋を持ち上げながら言っている。
「そうそう、それって多くない?」と、志乃まで同じように袋を持ち上げて言っている。
「え?・・・だって”あれ”作るのは色々いるでしょ?」
「そういえば・・・お肉に野菜・・・一番いるのね・・・」自分のと比較し指を折りながら亜紀はそう言っていた。
「あたしは・・・あれとあれにいくつかのだから・・・そうねぇ」
「もしかしてぼくのが一番量が多いのかな?」
「あ、あたし少し持ってあげるからさ」亜紀はぼくの事を見ながら、慌ててそんな事を言いだす。
「大丈夫・・・だけど、佳子に嵌められたのかなって気がして・・・」
「そういえば佳子遅いね?」志乃がそう言っていると、佳子が小さめの袋でスーパーから出てきた。
「あれ?・・・そんなもの?」ぼくは余りに小さい買い物袋に佳子にそう言うと
「これで十分なのよ」と、楽しそうに佳子は言っていた。
「だって佳子は・・・」
「あたしを信じなさい♪」
「まあ、料理は信じられるけど」
「ちょっと・・・料理だけなの?」佳子は笑いながらそう突っ込んでくる。
「もちろん♪」ぼくはそう相槌を打ちながらスーパーを後にした。

「じゃあ始めてくださいね」翌日の調理実習の時間、先生の言葉にぼくは昨日買っていたものをテーブルの上に置いた。
亜紀も志乃も佳子も、買ってきた色々なものを料理しやすい様に置いていく。
他のグループの皆は、ぼく達のグループの買ってきたものを見て悔しそうな目で見ていた。
ぼくは肉じゃが、亜紀は魚の焼き物、志乃はお味噌汁と和風サラダ、佳子はデザートと役割を分担していた事に気付いたからなのだ。
一人々々は同じ一品料理でも、4人だと立派にフルコースになるから。
「予定通り♪」
「ホント、良い気分ね♪」
「じゃあ始めましょ」
志乃がそう言ってお鍋を取り出すと、ぼく達は予定通り調理を始めた。

「考えたわね♪」各グループを見ながらアドバイスしていた先生がぼく達の所に来て笑いながらそんな事を言っていた。
「”一品”ならなんでもいいんだものね♪」
「そうよね、だったら色々あった方が良いもの♪」
そういうぼく達になにも言わないまま先生は他の所に行ってしまう。
「さて、仕上げしないと・・・」佳子がそう言って大きな蒸し器を取り出した。
佳子はデザートとして準備していたものを手早く蒸し器に入れ蒸かしていく。
蒸気と一緒に良い香りが調理室に漂い始め、他のグループもこっちが気になってちらちらみているのだ。
「でも、佳子・・・数多くない?」蒸し器に入れていた”もの”の数を思い出しながらそう言うと
「ちょっとズルっぽいでしょ・・・だから皆にも配ろうと思ってさ」
「うーん、食べ物の恨みは怖いもんね」ぼくが佳子にそう言うと皆がつられて笑っていた。

出来あがった料理を先生が試食しながら色々採点をしていた。
いくつかのグループが終わってぼく達の所に来ると
「これは・・・なかなかですねえ」そう言って先生は笑っていた。
その言葉にぼく達はお互いに頷いて、小皿に料理を取り分けて差し出す。
肉じゃが、お魚、和風サラダにお味噌汁、そしてデザートのおまんじゅう(笑)とお茶。
一口ずつ食べ、最後にお茶とおまんじゅうを口にする先生。
「ど、どうでしょ?」なんとなく無言で食べている事が気になってそう聞くと
「美味しかったわよ」と、言って先生は微笑んでいた。

全員の採点が終わって食事になると。”予定通り”におまんじゅうを廻りに配るぼく達。
「考えたわねぇ」そう言いながらおまんじゅうを受け取っている皆は笑っている。
「次はあたし達が配るからね♪」そう言って、早くもリベンジを宣言している娘もいたりする。
「あはは、お手柔らかに・・・」ぼく達はそう言いながらおまんじゅうを各グループに配り終え席に戻る。
「じゃあ、いただきまーす♪」そう言ってお箸を持った時に
「先輩!・・・大変です!」そう言って茶道部の美秀ちゃんが駆け込んできた!

「どうしたの?」ぼくは彼女を一旦調理室から連れ出して話を聞くと
「いきなり校長先生の所にお客様が来て・・・」彼女はそう言いながらぼくを見ていた。
「伯父・・・校長先生のお客様なの・・・だったらなんの問題も・・・」
「それが・・・先日お越しになれないでいた人らしくて・・・その・・・」
「ま、まさか、お茶を入れろとか?」ぼくがそう聞き返すと彼女は頷いた。
「急な事でお茶うけも何も無くて・・・どうしたらいいんでしょう?」泣き顔になりながら彼女はじっとぼくを見ていた。
「姉さんが・・・晶先生がいるでしょう?」
「先生は・・・少し前に委員会だといわれて出かけたらしいの・・・」
「他の先生はなにか?」
「他にお茶の事が判る人は・・・」
「そうなんだ」ぼくは彼女の話を聞き終え目を閉じた。

「佳子、亜紀、志乃・・・あとでマック奢るから・・・」ぼくがドアを開けながらそう言うと、すでに佳子が目の前に立っていた。
「八つあるわ・・・これでなんとかなるでしょう」
「ありがと」ぼくは美秀ちゃんを連れて校長室に向かった。
「遅くなりました」ぼくは校長室のドアを開けながらそう言った。
中の人達は驚いた顔でぼくの事を見ている。
「茶道部3年斉藤といいます・・・校長先生の依頼で作っていましたお茶うけを持ってまいりました・・・」ぼくがそう言うと、伯父さんを見ていた人の顔色が変わった。
「急な事でしたので・・・ですが、我が校自慢の生徒によるものです・・・」
怪訝そうな顔でぼくを見るその人に
「ご賞味頂ければ判りますので」そう言って隣の和室を勧めた。
ぼくも美秀ちゃんと一緒にそちらに和室に入る。
「先輩・・・着物とかに着替えなくても良いんですか?」小さな声で聞いてくる彼女に
「余り待たせても失礼でしょう・・・だから、このままで」ぼくはそう言うとお茶の道具を取り出した。
彼女も意を決したのか、和紙におまんじゅうを乗せてお客の前に置いていく。
ぼくはそんな彼女を見ながらお茶を入れ始めた。

シュッシュッと、小さな音と共にお茶の香りが広がり始めていく。
相手の人はなにも言わないままぼくをじっと見ている。
・・・制服だと拙いとでもいう気なのかな?・・・ぼくはそんな事を思いながらお茶を立てていると、お客は差出されたおまんじゅうを口にして、不意に動きが止まった気がした。
・・・あれ?・・・相手の様子にぼくはまた見直すと、何事も無かった様にしている。
・・・あれ、勘違いなのかな?・・・出来たお茶を差し出しながらぼくはそんな事を思ってしまう。
さすがに慣れているのか、お茶碗を取るときれいにお茶を口にしていく。
恰幅のいいその身体にあった動作は、まさに貫禄というものなのだろう。
隣の人も気のせいか同じように動きを止めた気がしたが、お茶の席はそのまま静かに進んでいた。
最後に伯父が飲み終わると一緒に席を立って出ていった。

「ふぅ」小さくため息を付いて道具を片付けていると、美秀ちゃんが
「すみませんでした」と言ってきた。
「まあ、姉さんがいないんじゃ仕方ないけど・・・自分で出来る様にならないとね」
「そうですよね」彼女はそう言うと俯いてしまった。
「だ、だけどさ、美秀ちゃん・・・自分で頑張ろうとしたじゃない」
「え?」
「さっきお菓子出すのって良かったわよ」ぼくがそう言うと彼女の顔が輝いた気がした。
ぼくは道具を片付け終わると、そのまま校長室に寄らずに調理室に向かった。
なぜかって?・・・ご飯が途中だったから(爆)

「噂以上でしたな」ぼくが道具を片付けていた頃、伯父さんはお客と話をしていた。
「そうですか」伯父さんも文句を言われない事にホッとしていた。
「えぇ・・・不意な訪問だった事にも動じずに、あの対応・・・いや、なかなかですなぁ」
「いえ、それほどでも・・・」
「いえ、貴方ではなくあの生徒の事ですよ」
その言葉にさすがになにも言い返せない伯父さん。
「あの廻りに対する気配り、お茶の腕、そしてあのお菓子・・・今時の学生とは思えないですよ」
「まあそうでしょうね」
「校長!・・・我々は貴方の味方ですから」いきなり手を取ってそんな事を言い出す相手。
「そ、それはどうも・・・」
「次の時もあの娘のお茶を頼みましたぞ!」余りの迫力に頷くしかない伯父さん(爆)
「あぁ、これでこの学校にくるのが楽しみというものだなぁ」そう言うと校長室から出ていっていた。
「ふぅ・・・何とかなったか・・・」椅子に座りこんでとりあえずの平和を考えていると、さっきの言葉が浮かんで来る。
「和美・・・茶道部に入れないと拙いなこれは・・・」伯父さんは一人そんな事を呟いたまま目を閉じていた。
そんな事を知らない和美は、出る時に約束したマックの事で佳子達を話をしているのであった。
その翌日、伯父さんから呼び出された和美は、長々と説得され茶道部に籍を置く事になったのであった(合掌)

 

24話に続く


どうも、mk8426です。ちょっと間が空きましたが「和美ちゃん」です。
案の定特定の方たちの間で噂になってしまったようですねぇ・・・(笑)。
不可抗力というか、自業自得というか・・・。ご愁傷様です(爆)。

2004.09.30  mk8426

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