和美ちゃんスクールライフ

和美ちゃん 22話

作:kagerou6

 

 

「いい加減に起きなさい!」
姉はそう言ってぼくの布団を剥ぎ取ってしまった!
「もう、後少し寝かせてよ」布団をまた被りながらぼくは姉に抗議している。
「もう、いい加減に起きないと遅刻よ!」
「え?」ぼくは姉の言葉に起きて時計に目を向ける。
「あわわ・・・7時廻っている!・・・」ぼくは布団をそのままに洗面所に向かった(笑)

「ほれほれ♪・・・あと5分したら出ちゃうよ」
「そんなぁ・・・ちょっと待っててよ」制服に着替え、寝癖を直しながらぼくは姉に言う。
「だーめ!・・・電車と違って時間ずれちゃうと渋滞にはまるんだから」
「だって髪の毛、ぼさぼさで落ちつかなくて・・・」
「確かにだらしないわね・・・そんな髪じゃ♪」お義姉さんはそう言ってぼくの髪をさっと三つ編みにしてしまう。
「たまにはこんなのも気分転換で良いでしょ?」
「ふむ・・学生らしくて良いぞ」二人して笑っている。
「遅れちゃうわよ・・・早く出かけなさい」そう言って朝ご飯代わりのサンドイッチとお弁当を出してくれた。
ぼくはそれを受け取ると、姉の車に乗り込んだ。

「和美なにそれは♪」佳子はぼくの頭を見てそう言って笑っていた。
ぼくが三つ編みにしているのが珍しいのか、しげしげ見つめている(笑)
「朝起きられなくて・・・編んでもらったんだよ」
「へぇ・・・晶先生に?」
「あ、お義姉さんに・・・」
「ふーん、手馴れている風だね」そう言ってぼくの前にくると
「やっぱり、三つ編みって言ったら眼鏡よね♪」そう言って黒縁の眼鏡を取り出す佳子(爆)
「和美掛けてみてよ」そう言い、眼鏡をぼくに押し付けてくる。
「こうかな?」眼鏡を受けとって掛けてみるぼく。
「へぇ・・・やっぱり三つ編みには眼鏡ね♪」佳子はそう言って亜紀を呼んでいる。
「あ、和美可愛い♪」亜紀もぼくを見てそんな事を言っている。
「でしょ?・・・新鮮で良いよね、三つ編みってさ」佳子は腕を組んでそう言って笑っている。
「もう・・・佳子眼鏡返すよ」
「だーめ、今日は一日掛けててよ」
「やだよ・・・眼鏡掛けた事無いから、なんだかクラクラきて・・・」眼鏡をずらして佳子を見ながらそう言うと、佳子はじっとぼくを見ているだけだった。
「なに?」
「なんだか色っぽい」
「え?」
「なんだか目が潤んでいて・・・いつもの和美と違う・・・」佳子はそう言ってぼくに鏡を差出した。

「かわんないと思うけどねぇ」鏡を皆がらそう答えると、佳子はぼくの手を握って他の女子の前に引っ張っていく!
「ちょっと佳子・・・」「皆、和美見て♪」
そんな佳子に志乃とかがじっとぼくを見ている。
「なに和美・・・イメチェン?」
「そうじゃないけど・・・かわんないよね?」
「佳子・・・こういうのってあたし達じゃなくて、男子に聞かないと(笑)」
「あ、そっか・・・女に聞いても仕方ないか?」志乃の言葉に佳子は頷いて、田中を呼んだ。
「この娘どう思う?」
「どうって・・・転校生?(笑)」田中はぼくの事を見ながらそんな事を言っている。
「今までに無いタイプでちょっと良いかなぁ」田中はそう言ってぼくの事をじろじろ見ている。
「「え?」」
「でさ、名前は?」
「あんたホントに気付かないの?」佳子はそう言って田中を睨んでいる。
さっきの口ぶりに佳子はカチンと来ている様なのだ(笑)
「この娘は和美なの!」佳子の言葉に田中はしばらく動けなくなっていた。

「えぇ、その娘、和美?」話を聞いていたのか千枝が驚いた顔でぼくの事を見ている。
そんな千枝の声に皆が寄ってきてぼくの事をじろじろ見ている。
特に男子は、意外なものでも見つけたかのようにずっとぼくの事を見つめていた。
「恥ずかしいんだけど・・・余り見ないでよ・・・」いつもと違う状況にぼくが俯きがちに言うと、男子はなにも言わないで離れ教室の片隅に集まっていた。
「そんなに違う?」そんな男子をぼくは見ながら佳子に聞くと
「いつもとは正反対ね・・・俯きがちな文学少女って感じで♪」
「そうそう・・・漫画とかに出てくるじゃない?・・・眼鏡をかけたまじめな委員長♪」亜紀までそんな事を言って笑っている。
「そんなに固いイメージになるかなぁ」鏡を見ながらそう言うと二人は頷いている。
「次の授業が楽しみだね」
「そうね・・・どんな顔するのかね」二人はなにやら想像しているらしく笑っていた。

次の授業が始まって先生が入ってきて、いつもの様にクラスを見渡すと不思議そうな顔をしている。
授業の最中も首を傾げていて、いつもの半分も生徒に質問をしてこない。
特にいつもは佐藤と同じ位に当てられる和美なのに、終わるまで一回も当てられなかったのだ!
その次の授業でも同じ事が続いていた。
「次は晶先生だけど・・・どうかなぁ♪」
「まさか、姉さんは知っているから変わらないよ」
「わかんないよ・・・もしかしたらって事もあるんだから」佳子と亜紀はなにかを期待するようにぼくを見つめていた。
科学の授業になって姉は教室に入ってくると、他の先生と同じようにクラスを見渡した。
「あら♪・・・和美はサボりなの♪」姉はぼくを見るとそんな事を言い出した。
「「「あははは」」」流石に他の皆はそれを聞いて笑うしかなかった。
「困った妹ね・・・私の立場って判っているのかしら?」その言葉に更にクラス中が笑いに包まれてしまった。
「こうなったらお仕置きね♪・・・あの娘”だけ”に宿題だしちゃおうかしら♪」
「姉さん!」ぼくは立ちあがってそう叫ぶと、姉は微笑んで見つめ返している。
「あら、私の事”姉さん”だなんて・・・面白い娘がいるのね♪」姉はそう言って笑っている。
「そこの貴女・・・あとで用事があるから職員室に来てね♪」姉はそう言って授業を続けた。

「失礼します」ぼくはそう言って職員室のドアを開けた。
「えーと、姉さんの机は確か・・・」中に入って姉の机を探していると、ふと視線を感じたぼく。
「え?」廻りをキョロキョロして相手を探しても誰か判らなかった。
「気のせい?」考えながら姉の机に向かうと、奥のドアが開いて姉と伯父さんが出てきた。
「姉さん・・・いったい何の用なの?」ぼくがそう聞いたけど、姉はじっとぼくを見ている。
「用事無いならぼく帰るけど?」
「ね!・・・校長、言った通りだったでしょ?」
「あぁ・・・まさかとは思ったけど確かにな」二人はそう言ってぼくをずっと見ていた。

「・・・もう一回言って貰える姉さん・・・」ぼくは落ちそうになったカップを慌てて押さえながら、姉に聞き返した。
ぼくは校長室に連れていかれると、そこで姉の言っていた用事を聞かされたのだ。
その内容はぼくを驚かせるには十分で、持っていたカップを落としそうになってしまったのだ。
「良く判んなかった?・・・もう一度言うね」
「うん」ぼくは頷いて身体を姉に寄せた。
「明日、教育委員会の人が来るから、ウチの茶道部を代表してお茶を立てて欲しいのよ」
「なんでそんなのにぼくが出なきゃ拙いの?」ぼくはそう言って立ち上がった!
「まぁそれには色々訳があってな」伯父さんはそう言いながら話し始めた。

「今度私がこの地区の教育委員長になってな」伯父さんはそう言ってカップに口をつけた。
「この辺りでもウチの高校進学率上がっていて、それが理由らしいのよ」姉はそう言って伯父さんの話をフォローしている。
「それがこの話を関係あるわけ?」ぼくが聞き返すと伯父さんは頷いた。
「昔から始めの会合は委員長の学校で行うというものがあってな」
「良いじゃないの・・・委員会の会議とかでしょう?そんな会合ならなにもお茶とかじゃなくても・・・」
「ところが”あいつ”は!」伯父さんはカップを叩き着けるように置き、大きい音を立てていた!
「な、なに?・・・びっくりさせないでよ?」
「すまん、少し力が入った・・・」伯父さんはそう言って汗を拭いていた。
「実はな・・・ウチの校風を快く思わないやつらがいてな・・・」
「割とウチって規則はゆるいし、自由な雰囲気じゃない?・・・それなのに進学率良いから、古いとこが良く思っていないのよ」
「古いとこ?・・・さっきの”あいつ”っていうのと?」ぼくの言葉に二人は頷いた。
「そうなんだ、去年まで委員長をしていたところで・・・”昔から伝統的にお茶なんだから継続すべきだ”と、言ってきた」
「それってまさか・・・伯父さんが委員長になった事を妬んでいるって事なんじゃあ?」
「そうかもしれん」伯父さんはため息を付きながらそう言った。
「判ったよ・・・お茶を立てればいいんだろう?」ぼくの返事に二人は頷いた。

翌日、ぼくは校庭の一画に植えてある芝生に作った場所で座って待っていた。
当然の様に着物を着せられ、髪は三つ編みで眼鏡まで掛けさせられていた。
「寝癖無いし、普通で良いじゃないの?」そう言うぼくに姉は首を振って答えた。
「学生らしい娘が立てないと、意味が無いらしいのよ」
「学生って・・・今時三つ編みの娘なんていないんじゃないの?」ぼくは義姉さんにまた髪をいじられながらそう言う。
「そうだけどね・・・相手が相手だしね」姉はそう言ってため息を付いた。
ぼくはなんで姉があんな事を言ったのか、目の前に座った人を見て頷くしかなかった。
目の前にいるのは地区の役員達で、伯父さんと同等以上の役職か地域の名士と呼ばれている人ばかりだったからだ。
・・・確かにこの人達じゃ三つ編みっていうかもね・・・
・・・それに”これ”がぼくを選んだわけか・・・眼鏡越しに隣に座っている茶道部員を見てぼくはそう思った。
目の前の人を見て部員達は落ちつかない様子なのだ。
普段から慣れているはずなのに、落ちついて座っている事すら出来ていない。
・・・人前でお茶を立ててないからなんだろうなぁ・・・ぼくはそう思いながら、お茶碗を手にした。

「どうぞ」ぼくは立て終わったお茶をそっと差し出すと、礼をしてお茶碗を口に運ぶ。
・・・さすがに風格あるなぁ・・・どっしりと構えた姿勢が揺らぎもしないで、お茶を飲んでいるのだ。
後の人も同様にキレイというしかないほど鮮やかだ。
遠巻きに見ている教師達もその風格に違いを感じているのか、なにも言わないでただ見つめているだけだった。
・・・お祖母さんと同じ位の迫力かもね・・・ぼくはそんな風に感じていた。
そんな風景をあの人達の連れてきたカメラマンが写真に収めていた。

「うーん、緊張したなぁ」片付けが終わってぼくがそう言うと、廻りに茶道部の部員が集まっている。
「あの・・・なにか用?」そう言うぼくに目を輝かせながら
「先輩!・・・明日から一緒にお茶しましょう」と言って迫ってきた(爆)
「なななんで・・ぼ・・あたしは3年でもう部活なんて・・・」
「そんな事関係ないです!・・・あの凛とした態度にあたし惚れちゃいました♪」
「ほ、惚れちゃったっていっても・・・」
「一緒にお茶しましょ」そう言って全員が迫ってきてしまう(笑)
ぼくは慌ててそこから逃げ出した。
同じ頃伯父さんも頭を抱えていた。
あの人達がぼくの事に興味を持ったらしく、色々と聞いていたからである。
さすがに生徒の事を言えないと断ったものの、どうなるのか予想も出来ない様だった。
「三つ編みなんかにさせるんじゃなかったかな」伯父さんはそう独り言を言うとため息を付いていた。

 

23話に続く


どうも、mk8426です。「和美ちゃん」新展開です。
また近隣で噂になりそうなことをやらされてますが、さて・・・(笑)。
まあ、近隣以前に自校内でも追いかけられてるようですけどね。さあ、どうなるんでしょうね?

2004.08.25  mk8426

感想はこちらへ

戻る