和美ちゃんスクールライフ
和美ちゃん19話
作:kagerou6
「このままどこか映画でも行く?」佐藤はそうぼくを誘い、二人で駅に向かって歩いていた。
「なにがあるのかな?」最近はレンタルばかりだったせいか、その辺りが良く判らなくて佐藤に聞き返しているぼく。
「コンビニでガイドとか買ってみて、それで決めようよ・・・僕も詳しくは無いからさ」佐藤はそう言って駅前のコンビニに目を向けた。
「あまり流行りのものとか知らないか・・・」佐藤はそう言いかけ、急に話す事を止めていた。
さっきまでの顔とは違う、学校でのきりりとした表情の佐藤になっているのだ!
・・・なんだいったい?・・・余りに突然の事に話掛けるタイミングを失ってしまったぼく。
「あ、あのさ・・・なにか・・・」ぼくがそう話かけた時、佐藤も口を開けた。
「あれ、エリーさんじゃないのか?」そう言って1本の街路樹を指差している。
「え?」言われるままに見ると、樹に寄りかかっているクラスメイト・・・エリーがいた。
「エリー・・・」そう声をかけようとしてぼくは思いとどまると佐藤と同じようにじっと彼女を見つめた。
・・・いつもの元気が無い?・・・不意にそう感じたからだ。
「佐藤君・・・彼女・・・」ぼくがそう口にすると佐藤も頷き
「普段の彼女じゃ考えられないな」
「そうだね」ぼくはそう答えながら、エリーがクラスに入ってきた時のことを思い出していた。
あっさりクラスに受け入れられた彼女はいつでも明るかったことを。
男女の差が無く、誰とでも仲良くなれたことを。
文化祭では意外な器用さを見せたことを。
そして誰よりも頑張り屋なことを。
ぼくの脳裏にはそんなことが思い出されていた。
「どうしたのかな?」佐藤の声にふっと現実に戻りまた彼女に目が向いた。
「あんな顔初めて見たよ」佐藤はそう言ってじっと見ていたが、ぼくはなんだか引っ掛かるものがあった。
・・・前に一度だけ見た覚えが・・・そんな気がして見つめていると
「夏に来てから一度もあんな顔は・・・」そう考えながら佐藤の呟いた。
・・・あ、あの時の・・・ぼくは佐藤の言葉に思い出したのだった。
エリーが言ったあの言葉を!
ぼくは佐藤を置いて、静かにエリーに向かって歩いていった。
「和美」エリーはぼくに気付くと、”いつものように”笑顔を向けようとしていた。
「いいよ・・・無理しないで」ぼくがそう言うと、エリーは言いたいことが判ったのか俯いてしまった。
「あの時言ったでしょ・・・ぼく達は友達だって」
「そう・・だね・・・」彼女はそう呟いて顔を上げると、目一杯に涙を溜めてぼくの事を見つめていた。
「パパとママは・・・」エリーはぼく達と一緒に駅のベンチに座り、ぽつりぽつり話始めた。
エリー自身がずっと秘めていた想いを・・・
・・・家族のことを・・・
そして、日本に、この街に来たその理由を・・・
「ママはパパと幸せだったって、そう伝えたくて・・・」小さな貝のペンダントをいじりながら、彼女は少し震えながら話を続けていた。
「ママは・・・最後までグランマに会いたがっていて・・・」
「そうだったんだ」ぼくは話を聞いてついしんみりしてしまっていた。
「せめて・・・ママの事だけでも言いたいの・・・」震えながら呟いているエリーを見ていると、ぼくはいても立ってもいられなくなった。
「お祖母さん探そう」そう言うとエリーは驚いてぼくの事を見つめ返してくる。
「会いたいんでしょう?」そう聞くと小さくコクンと頷いた。
「でも、どうやって探したら良いのか・・・」
「大丈夫・・・エリーが会いたいのならきっと見つかるわ」
「そうだな・・・きっと大丈夫さ」佐藤もそう言ってエリーの手を握った。
「和美、委員長・・・ありがとう・・・」エリーはそう言ったままじっと俯いていた。
「晶先生デートなんで・・・あれ、和美?」
不意にそう言われ、声のほうに目を向けると佳子と亜紀がじっとこっちを見ていた。
「スーツなんか着て、デート・・・あれ、佐藤君?」
同じようにスーツを着ている佐藤にも驚いているようだった。
「あーそうだったのか♪」
「これはスクープですよね、佳子さん♪」
「そうですね亜紀さん・・・学校できっと話題に・・・」そう言って二人がじっとぼく達の事を見つめる(爆)
「チガウ!・・・そうじゃないのヨ」エリーがぼく達の前に出ると、二人に向かって話掛けた。
「え、エリー?・・・貴女がどうして?」
「エリー・・・この二人なら良いでしょう?」ぼくがそう言うとエリーは頷いて、二人に話し始めた。
「エリーが日本に来たのってそう言う事だったんだ」亜紀はしんみりと呟き
「そうだね・・・田舎だもんこの辺りは、なぜって不思議だったんだ」佳子もそう言う。
「さっきぼく達も聞いてさ・・・初めて知ったのね」
「何とか探してあげられないかなぁ」
「そだね・・・探してあげたいね」佳子がそう言って亜紀がじっとエリーを見つめた。
「エリー・・・きっと私達がお祖母さん探してあげるからさ」
「亜紀・・・」
「今までの分まで甘えちゃいなさいね♪」
「佳子・・・」そう呟くエリーの目には光るものが溢れていた。
「あら、晶先生・・・あら?・・・」
突然話しかけられ目を向けると、どこかで見た人がじっとぼく達の事を見つめていた。
・・・あれ、この人・・・思い出そうと見つめ返していると
「ごめんなさい・・・人違いみたいだわ」そう言って相手の人は謝っていた。
「いえ・・・そんなに謝られても」
「どこかで会った気がしたものですから・・・」そう言ってじっとぼく達の事を見つめている。
・・・ホントにどこかで見ている気がするんだよなぁ・・・相手の言葉にそう思って見つめていると
「理事長!・・・あけましておめでとうございます」佐藤がいきなりそう言って挨拶をしていた。
「「「あ!」」」つい口にするぼく達(笑)
「ウチの理事長先生だ」そう言いながら頭を下げるぼく。
「ごめんなさい」
「こんにち・・・」いきなりの事に驚いて変なことを言い出していた。
そんなぼく達に理事長は笑っていた。
「学校終わったばかりで、もう遊んでいるなんて感心しませんね♪」理事長はそう言ってぼく達を見ている。
「そういう訳でもないんですけど」
「それよりどうでしょう?・・・家に来ませんこと?」
「「「え?」」」
ふいにそう言われ、どう答えて良いのか判らないぼく達。
「大丈夫よ・・・私の家には誰もいないわ♪」そう言って歩き始めている。
「でも、お邪魔では・・・」ぼくがそう聞くと笑っている。
「まだ先生は学校にいらっしゃるわ・・・だから、他の先生に見つかる事なんて無いから安心してくださいね」
そう言って路地に入ると小さな家のドアを開けた。
「「「おじゃましまーす」」」
そう言いながら一緒に入っていくと理事長は笑っている。
「変なこと言いました?」
「いえ、そうじゃなくてね」
理事長は座布団を出して、テーブルにお茶の用意を始めながら
「初めてのお客様が、ウチの生徒だからよ」そういってぼく達を見つめていた。
「え?・・・ウソでしょ?」驚いて見つめる佳子!
「いいえ」理事長は静かに首を振って答えた。
「2学期の途中からなのよ、理事長を引き受けたのは」
「そうだったんですか」頷いて答える佳子。
「でも途中だなんて変ですよね」
「え?・・あぁ、そうかしら?」
「だいたい新入生とかその頃でしょ?」
「普通はそうね・・・でも、色々頼まれると断りきれないのよ」理事長はそう言って笑っている。
「大人も大変ですねぇ」腕を組んでしんみり言う佳子。
「「「あははは、らしくないよ♪」」」と、それを聞いて廻りが笑い出してしまった。
「なんで、らしくないのよ?」怒っている佳子を見て更に笑い続けていた。
そんなぼく達を見ながら、理事長もずっと笑っていた。
「ママもこんな風に皆と笑っていたのかな」そう言うとエリーの笑顔が曇っていた。
「エリー、きっとお母さんだって友達と笑っていたよ」
「でも、ママはいつもニッポンの事辛そうに言ってた」そう言いながらエリーの目には、涙が溢れてくる。
「そう・・・なんだ・・・」エリーの話を聞いていると、元気付ける事が出来なくなっていた。
「エリーさん・・・心配しなくても、きっと笑顔でいたと思うわ」理事長は優しく微笑みながらエリーに話掛けていた。
「貴女を見れば判るわ・・・お母様が笑顔で貴女を育てていた事が」
「ママン」エリーは優しい理事長の声を聞いて、さっきとは比べ物にならないくらいに涙を浮かべていた。
「エリーさん」そう言って優しくエリーを抱きしめると、自分の子供のように優しく触れている。
エリーはそれが心地良いのか、目を閉じてされるままでいた。
それはとても自然で、ぼくには仲の良い家族にしか見えなかった。
「スミマセンでした・・・理事長」エリーはそう言いながら涙に溢れている目でじっと理事長を見つめていた。
「いいのよ、貴女はあたしの学校の生徒なんだもの・・・家族も同様よ」優しくそう言い、エリーまたをそっと抱きしめている。
エリーもそんな理事長に抱かれたまま笑顔を浮かべていた。
「それでは気をつけて帰るのよ」理事長は駅の近くまでぼくらを送ってくれた。
「遊んでばかりいないでね?」そう言う理事長に笑って答えるぼく達。
「それでは来週学校で会いましょうね」
「はーい、ご馳走様でした」ぼく達は駅から手を振って理事長を見送った。
「驚いたぁ理事長がいるんだもん」亜紀はそう言いながら見えなくなった理事長を目で追いかけていた。
「近所なんだね・・・さっきの様子じゃあ」
「そうみたいね・・・でも怒鳴られなくて良かったわ」そう言って佳子はため息をついた。
「どうして?」変な事を言う佳子を見つめると
「だって私の成績知っていたら・・・ああは言わないでしょう?」
「あはは・・・そうかもね」
「でしょ」そういって笑う佳子につられ皆も笑っていた。
「エリーのお祖母さん・・・理事長みたいな人だったら良いわね」佳子はそう言って皆を見つめている。
「エリーのそっくりのお祖母さんて凄くない?」
「そうだな・・・近所でも美人で通っているかもな」佐藤も佳子の言葉に乗っていたのかそう言ってエリーを見ている。
「すぐに判るさ」佐藤はそう言うと
「この近所に図書館あったろう・・・そこに明日集まらないか?」と、エリーを見ながら提案をしていた。
「そうだね・・・ここならエリーも近いし」
「じゃあ明日図書館でね」皆で集まる場所を約束して、その日は家に帰ることにした。
「委員長、和美・・・」翌日、駅に行くともう彼女は来て待っていた。
「ごめん待った?」佐藤はそう声をかけるとエリーは笑いながら首を振っていた。
「今来た所・・・」エリーはそう言いながらバックに目を向けて
「役立つかは判らないけど・・・ママの思い出のものをチョット・・・」そう言ってバックに手を添えた。
「じゃあ・・・行こうか」
ぼく達は佳子に聞いていた駅の近くの図書館に向かった。
「なかなか手懸りってないもんだねぇ」佐藤はそう言いながらエリーの持ってきた手帳なんかを見つめている。
「住所とか書いてあったらいいんだけどね」ぼくも別なノートを見ながら答える。
「ゴメンネ・・・これしか無いのよ・・・」エリーは残念そうに言う。
「エリーが悪いわけじゃないもん・・・大丈夫、きっと判るよ」エリーの様子にぼくはそう宥めながら別なノートに手をかけた。
「なにか・・・思い出とかないの・・・」
「え?」驚いて聞き返してくる彼女に
「友達と遊んだ事とか運動会とかさ・・・」
「ゴメン、ワタシわかんない・・・」
エリーとそんな会話をしていると、ぼくの携帯が震えた。
「誰からかな?」ポケットに手をいれ取り出してみると佳子からだった。
「もう・・・佳子だ、時間過ぎているんだから・・・」つないで話しかけると
「和美!ウチに来て!!」
鼓膜を破らんばかりの声が聞こえた。
「もう・・・いったい・・・」耳から離し聞き返すと
「成績下がったのに・・・遊びに行くのは何事かって母さんに捕まっちゃって・・・」
「えぇ〜・・・まだ引きずって・・・」
「説明したんだけど信じてくれないんだよ」泣き声になりながらそう言う佳子。
「・・・それでぼくに?・・・」
「うん・・・和美と佐藤君来てくれたら、判ってもらえるじゃない・・・」
「判った、でも佳子の家行った事無いんだけど?」
「いまから言うね・・・」佳子は道順を話ながら、早く来てねと呟いていた。
「これ?・・・かなぁ」説明された通りに来ると、先が見えないほどの壁が続いている。
「間違い・・・ないよね・・・」来た道を思い出しながら地図と確認すると、間違いではないらしかった。
「佳子ってお嬢様なの?」ぼくが壁を見ながら佐藤に聞くと、佐藤も考え込んでいる。
「聞いた事無いんだよなぁ・・・田中もそんな事は・・・」
「そうだよね・・・家事とかずっとやっていたって・・・」そんな事を話していると、壁の扉が開き佳子が顔を出した。
「佳子んちおっきいね」庭を通りながら廻りに目を向けると、木々が適度に配置されている。
それは初夏には彩りを添えてくれる様にキレイに手入れをされている。
「家と同じかもなぁ」ついそんな事を口にしてしまった。
家元の実家はそれなりに伝統ある庭になっているから、その事を思い出してのことなのだ。
「家?・・・斉藤さんちもこれくらいあるの?」隣の佐藤が気になったらしくそう聞いてきた。
「あ、あの・・・お祖父さんちのことなの」そう言って誤魔化しながら
「佳子お嬢さんなんだ?」と、案内している佳子に声をかけた。
「なにバカな事言っているのさ・・・そんなわけ無いでしょ」と、一笑にふされてしまった。
「さ、着いたわよ」と、佳子は家のドアを開けた。
「良く来てくださいましたね」客間に案内されると、年上らしい女性が紅茶を持ってきて椅子をすすめてくれた。
「すみません、急に押しかけてしまって・・・」ぼくがそう言うと微笑みながら
「とんでもない・・・こちらから誘った事ですもの」そう言いながらぼく達の前に紅茶を置いていく。
・・・キレイな人だなぁ・・・楚々と佇む仕草と若々しさに
「佳子、お姉さんいたの?」とつい言ってしまった。
「何バカな事言って・・・」佳子はそう言って笑うと
「母さん、もうこっちあたしがするからと」そう言って母親を追い出してしまった。
「ウチの姉さんと同じ位にしか見えないんだけど」出ていった母親の事を思い出しながらそう言うと
「そんな事無いって・・・もういい歳だもん」
「そう見えないよ」
「それじゃあ証拠見せたげる」佳子はそう言ってどこからか写真を持ってきて
「これがあたしが幼稚園の写真なのね・・・」指でなぞりながら
「ほら、母さんでしょ?」そう言って隣に立っている女性を指差した。
「そうだね」じっと写真を見つめそう呟くと
「若すぎて困るわ」佳子はそう言って笑っていた。
「手がかりってないの?」佳子は紅茶を飲みながらエリーに話し掛けると
「手紙持ってきたんだけど・・・」そう言って日に焼けた手紙を置いた。
「住所書いてあるんでしょう?」
「ワタシ、聞いて行ったの、家無かった・・・」エリーは残念そうに呟くと
「もうこの街にグランマいないのかも・・・」そんな事を言っている。
「そんな事・・・」ぼくはどう言って言って良いのか判らなかった。
何を言っても慰めにならないと思ったからだ。
「この住所・・・どっかで見た気があるんだけどなぁ」佳子は手紙を見てそう呟くと
「ここに居て、ちょっと気になる事があるの」そう言って居間から出ていってしまった。
「佳子、なんだか乗ってない?」出されていた紅茶を口にしながらそう言うぼく。
「親切なのかただの興味本位なのか・・・」佐藤もそう言いながらエリーの持っていた手紙を見つめていた。
「だから私が居ないとだめなんでしょう?」そう言って佳子の母親が彼女と一緒に入ってきた。
「だから、あたしだって判って・・・」そう言いながらなぜか言い合いしている二人?
「エリーさんを待たせておいて、そう言う気?」
「それは・・・そうかも・・・」
「貴女っていつも肝心なときにミスするのね」
「母さんそんな事言わないでも・・・」
完全に佳子の敗北で口論は終わった(合掌)
「これよ・・・さっきの住所は・・・」お母さんはそう言って街の地図を開くと
「ここがこの家ね・・・少し行ってこの空き地の隣・・・」
「ここって近所なんだ」ぼくがそう聞くとお母さんは頷いた。
「この娘の友達の家がここなのよ」そう言って佳子の事を見つめると
「小学生の頃からの友達の家、住所忘れるんだもの」
「だから・・・亜紀の家って気付いたじゃない!」佳子が怒りながら反論している。
「亜紀の家?」
「そう・・・今言った住所は亜紀さんの家の隣なのよ」そうお母さんは言って笑った。
「あたしに用って?」ぼくらが亜紀に電話をかけると、なぜかノート?を抱えて亜紀がやって来た。
「なんて良いところに♪・・・和美はこれ、委員長はこれお願いね」そう言ってぼく達にノートを推しつける亜紀(笑)
「なにこれ?」受け取りながら聞くと
「たいした事ないって・・・ただの宿題よ♪」
「「おいおい!」」ぼくと佐藤はそう言って亜紀につっこむ(笑)
「いいじゃないの、か弱い?友人の願い聞いてよぉ♪」目をきらきらさせながらそう言う亜紀(爆)
「これ、あたしのなの♪(はーと)・・・」そう言って佳子もなぜかノートを差し出す(爆)
「君の小遣い・・・この二人に渡して良いのね?」そう佳子のお母さんは言いながら
「あ、そうそう・・・7○ー64○2に電話しないと・・・」と言って笑った。
「あ、あとで・・・一緒に勉強しようね亜紀ちゃん(泣)」そう言ってノートを仕舞いこみ(爆)
「もちろん、宿題は自分でしないとね(泣)」亜紀もそう言って俯いた。
「そうでしょうとも」一人お茶を飲んでいる佳子の母であった(笑)
「エリーさんて・・・悦子にそっくりね」お母さんはそう言うと、アルバムをテーブルの上に置いた。
「母さん、エリーのお母さん知っているの?」佳子は驚いて聞くと
「昔、同じクラスだったのよ」そう言ってアルバムを追いかけ始めた。
セピア色の写真をゆっくりなぞりながら指は進んでいく。
「悦子は物静かな娘でいつも本を読んでいたのよ・・・」思い出をなぞるかのように一枚一枚の写真の上で進んでいく。
「・・・この娘がそうなのよ・・・」と言って指は止まった。
セーラー服を着て微笑んでいる彼女は、清楚な感じでとてもキレイだった。
「エリ−にそっくりだね」佐藤がそう言うと見ている皆が頷き
「ホントに・・・」と、佳子のお母さんもエリーを見つめながらそう言った。
「お祖母様を探す手がかりとは違うかもしれないけど・・・」佳子のお母さんはそう言って思い出話を始めた。
それを聞いてエリーは驚き楽しそうに聞いている。
・・・きっとこんな事って無いんだろうなぁ・・・彼女を顔を見ながらそんな事を思っていた。
「そういえば、悦子はね・・・」そう言って写真に指を置くと
「このペンダントを大事にしていたのよ」そう言って胸元に揺れている小さなペンダントを指差した。
「なんなのかなぁ?」佳子がじっと見ながらそう聞くと
「大事なものって言ってきた気がするのよ」
「なんだか変ってるかな?この形?」
「良く判らないけど・・・」そう言って考え込んでしまった。
「ごめんなさいね」佳子のお母さんはそう言いながら、ぼく達を見送ってくれた。
「ワタシも余りママの事お話できないで・・・」エリーはそう言って頭を下げた。
「そう言って、相手を気遣うところなんてホントに悦子に似ているのね」懐かしそうな顔つきでエリーを見つめながらそう言い
「貴女に会えて、私も古い友人を思い出せて嬉しかったわ」
「オバサマ・・・」たどたどしい言葉ながら、エリーは佳子の母の言葉にしっかりと答えていた。
「ママもオバサマのようなフレンドがいて、きっと同じ事を言っていたと・・・」
「エリー、貴女って・・・」そう言いながら、静かにでも力強くエリーの手を握っていた。
「現在の友人としては、母さんになんか負けられないんだわ!」駅につく間中、佳子はそんな事を言っている。
「佳子、そこまで力入れなくたって・・・」その言い様に、つい笑いがこみ上げてきてしまうぼく。
「少しだけだけど、はっきりした事判ったんだもん・・・」ぼくはそう言って、エリーに目を向け
「きっとお祖母さん見つかるよ」そう言って笑った。
「ここまででいいよ」駅について、切符を買いながら佳子たちに言うと
「冬休み中に見つかるといいね」佳子はそう言ってエリーの手を握ると
「今まで甘えられなかったぶん、思いきり甘えちゃったら」そう言ってウインクをして家に戻っていく。
「あたしも・・・でも、エリーのお祖母さんとかがウチの近所だなんて、意外だったわ」亜紀もそう言い
「あたしもお母さんとかから聞いてみるから」そう言って、亜紀も家に帰っていく。
「じゃあまたね」ぼく達は二人に声を掛けて、電車に乗りこんだ。
20話に続く
どうも、mk8426です。「和美ちゃん」をお届けします。別に20万ヒット企画というわけではありません(念のため)。
エリーちゃん来日の理由が明かされました。そして、級友たちのパワーと人の縁のすばらしさを実感。さあ、これからどうなっていくんでしょう。
2004.07.14 mk8426