和美ちゃんスクールライフ

和美ちゃん18話

作:kagerou6

 

「明日が楽しみだねぇ」学校の帰り道、佳子はそう言いながら手帳を見つめている。
「明日?・・・なにかあったかな?」
「もう、明日はホワイトデーでしょう?・・・それを忘れるなんて和美はぁ♪」佳子はそう言ってお店のアクセサリーとかをメモしている(笑)
「おいおい・・・田中にそんなに奢らせるつもりなのか?」佐藤はため息をつきながら佳子に話し掛けた。
「佐藤君が一杯お返しくれたら考えても良いわ♪」そう言って悪魔のよう微笑を見せる佳子。
「そ、それはそれなりに・・・」どもりながら答える佐藤に
「いいよ、あたしの事より和美の方を気にしてね」と答えて笑った。
「な、なんで・・・斉藤さん・・・・」「な、なに言って」
ぼく達二人して佳子に言い返そうとすると
「あはは・・・顔に出ているからよ♪」そう言うとぼく達を置いて、佳子は走っていってしまった。

「あは、気にしないでね」力なくぼくは佐藤にそう言うと
「あはは・・・ありがと・・・」佐藤も力なく答えた。
「でも、佳子って・・・田中君になにねだるのかな?」
「え!」驚いた顔で佐藤がぼくの事を見つめた!
「あ、ぼくはそんな事言わないからさ」手を振ってぼくが答えると、佐藤はホッとした顔になって
「なんだろうね・・・アクセサリーかなにかだと思うけどね」そう言ってお店の中を見ていた。
「あんなのとかじゃないかな?」
「ふーん・・・ああいうのか」ぼくは気になって佐藤の見ているお店をじっと見つめていた。
「斉藤さんも・・・あんなのが欲しい?」ぽつりと呟く佐藤。
「うーん、ぼくには似合わな・・・え?なに???・・・」
「あ・・・だから・・・」慌てているぼくに、佐藤は何を言ってしまったのか気付いたようだった。
「あまり考えた事ないから・・・」照れながら答える佐藤。
「そう?・・・佐藤君一杯貰っていそうなんだけどなぁ♪」
「ぼ、ぼくなんか全然だよ・・・高木とかのが一杯貰うだろうけどさ」
「ふーん、そうなんだぁ」

「お兄ちゃ〜ん」

そんな声がして佐藤はいきなり立ち止まって、廻りをキョロキョロしている。
「どしたの?」
「あぁ、今聞き覚えのある声が・・・」
「そうなの?・・・佐藤君を呼んでいた声なんて聞こえなかったけど・・・あれ、そういえばぼくも聞いたような声が?」
「斉藤さんも?・・・誰かが呼んだ気がしたんだけどなぁ・・・」
「最近聞いた気がするんだけど・・・誰だったかなぁ」腕を組みながら考えていると

「お兄ちゃん、奈美ちゃんのどかわいたの〜」

今度ははっきりとそう言う声がした。
「「あれ?」」声のしたほうに目を向けると、佐藤の制服を引っ張っている少女・・・奈美ちゃんがいた。
「奈美ちゃん・・・のどかわいたの〜」そう言いながらじっと佐藤を見上げている奈美ちゃん。
「奈美ちゃん・・・元気だった?」ぼくはしゃがんで少女に話しかけると、奈美ちゃんはコクンと頷いた。
「ほら、お兄ちゃん・・・奈美ちゃんが喉かわいたってさ♪」抱えあげて佐藤の顔に近付けるぼく。
「しょうのないお兄ちゃんですねぇ」
「あ、奈美・・・お義姉さん・・・ママも一緒なのか?」
「ママお仕事なの」指をくわえながら答える奈美ちゃん。
「ふぅ、そっか・・・じゃあジュースでも買ってくるかな」佐藤はそう言い奈美ちゃんのほっぺをつんつんしている。
「奈美、オレンジジュース♪」
「はいはい・・・オレンジだね」佐藤はそう言うと近くのお店に入っていった。
「奈美ちゃん・・・誰と来たのかな?」ぼくは奈美ちゃんを椅子に座らせながら話掛けた。
「うーんとね、奈美、ばばちゃんと来たの♪」そう答える奈美ちゃん。
「そっかぁ・・・ばばちゃんとかぁ」話を聞いてあいずちを打ったものの暗い記憶が蘇ってくる(爆)
・・・まさかあの人じゃあ・・・奈美ちゃんの言葉に、ぼくの顔に汗が流れはじめていた。
「でね、ばばちゃん・・・奈美のお洋服、お店で買い物なの」そう言って一つの店を指差していた。
「そう、お買い物なんだぁ」
「あーあ、またお義姉さんが怒るぞ」佐藤は話を聞いていたのか、ため息を付きながらぼく達にジュースを差し出している。
「どして?」
「甘やかせ過ぎだって言っているもの」
「あぁ、なるほどね」ぼくも頷いてお店を見つめていた。

「奈美・・・どこに行ったのぉ」

暫くして一人の老婦人が慌ててお店から出てきた。
持っている買い物袋は、どれも膨らんではちきれそうだ(笑)
・・・あれは、違うおばあさんなんだね・・・その老婦人を見てぼくは笑いそうになっていた。
「奈美・・・ばばちゃん来たよ」佐藤はそう言って奈美ちゃんの手を取って立ちあがると
「斉藤さんゴメンね・・・結局出てくるまでつき合わせちゃって」といって謝っている。
「そんな事いいよ、一人じゃ奈美ちゃんがかわいそうだもん」ぼくは答えながら奈美ちゃんに目を向けるときょとんとしている。
「じゃあ奈美ちゃんバイバイね」座って奈美ちゃんに手を振ると、同じように手を振って答えている。
「奈美ちゃん可愛い」そんな仕草についぼくは奈美ちゃんを抱えあげてしまった。

「奈美をどうする気だ!」

奈美ちゃんを抱いているぼくに気付いたのか、おばあさんは大声を出しながらぼくの頬を叩いていた!

「ごめんなさい!」老婦人は深く頭を下げて平謝りしている。
「斉藤さんゴメン・・・ぼくが連れて行けば良かったんだ」佐藤もそう言って同じように謝っている。
「いいよ・・・済んだ事だし」ぼくは頬を押さえ、軽く手を振りながら返事をした。
「「でも」」
「いいよ・・・気持ち判らなくもないし・・・」奈美ちゃんを見ていると、なんとなく婦人の気持ちが判って来るからだ。
「可愛いものね・・・誰だって心配するもの」
「そうだけど・・・やっぱり・・・」
佐藤はぼくが何を言っても、身内がクラスメイトに暴力を行ったという気持ちが大きいようだった。
いつまでもずっと済まなそうな目でぼくを見ている。
「それよりもさ・・・移動したほうが良くない?」なんとか話題を変えようと話掛けるぼく。
「「?」」
「二人にずっとこんな事されていると、廻りが変に思うよ・・・それにもう遅いでしょ?」
ぼくが廻りに目を向けると、佐藤も言いたい事が判ったのか頷いていた。
夕方の時間、買い物の多い商店街でする事ではない事に。
「奈美ちゃんのほうを気にするべきだしね」
「そ、そうね・・・おそくなるとまた・・・」老婦人は慌てていた。
どうやら佐藤の言っていたお義姉さん・・・たぶん娘さん、が気になるのだろう。
「だからさ・・・早く帰ったほうが良いよ」ぼくは奈美ちゃんの手を取ってそう言った。
「そ、そうよね」そう言いながら、老婦人はずっとぼくの事を見たままだった。

 

「はぁ・・・昨日はとんでもない人にまた会っちゃったなぁ」校門で佐藤に会ってそう言うと、佐藤の顔に縦線が入っている(笑)
「なんだって佐藤君の関係者はああも、個性的なのかなぁ?」
「し、知らないよ・・・あのお祖母さんは奈美だけ溺愛しているんであって・・・」
「佐藤君のお祖母さんは”雅彦ちゃま”だけ溺愛だし♪」
「それは言うなって」そんな話をしていると、突然佐藤の携帯が鳴り出した。
「なんだろう?」佐藤は携帯を取り出し話し出すとなんだか顔色が変わってくる。
・・・なにかあったのかな?・・・その変化にじっと見ていると
「ゴメン急用できた、先に行っていて」佐藤はそう言うと職員室のほうに走り始めていた。
「あ、うん・・・」ぼくはそんな佐藤を見送るしかできなかった。
佐藤はそのまま教室には来なかった・・・

・・・佐藤どうしたんだろう?・・・駅に向かいながら、ぼくは今朝の事が気になって仕方なかった。
・・・急用ってまさかねぇ・・・今朝の言葉を思い出していると、不意に佐藤の家族の事が浮かんでくる。
・・・あっちのお祖母さんなら問題無いな、こっちのお祖母さんは普通だったからこっちかな・・・そんな事を考えていると
「貴女・・・斉藤和美さん・・・ですよね?」そう言って呼びとめられた。
「はい?」声のするほうに振り向くと、老婦人がぼくを見つめている。
・・・あれ、この人は?・・・どこかで見た感じがして、ぼくもじっとその人を見てしまった。
「昨日は失礼しましたね、斉藤さん」
「佐藤君のお祖母さん!」老婦人の言葉にぼくはやっと思い出し声にしていた。
婦人は優しく微笑むと、ぼくをおいてあった車に乗るように告げた。

「なんでしょう?」走り出した車でぼくが聞くと
「貴女にお願いがあって・・・」すこし言いにくそうな顔でぼくの事を見ていた。
「お願いですか?・・・あたしに?」
「えぇ、貴女で無いとたぶん・・・」
「あの・・・あたしじゃないとってどう言う事なんでしょう?」
「雅彦さんのお見合いのことでなの・・・」婦人は話す事が恥かしいのか、小さな声でそう言った。
「お見合い・・・佐藤君が?」
「えぇ、あちらのお祖母様が段取りを進めていて・・・」そう言って小さなため息をしている婦人。
ぼくは佐藤が今朝急用でいなくなった理由が今やっと判った。

「お見合いを否定はしないのよ・・・私達はそれが当たり前だったから・・・」そう言って婦人はぼくの事をじっと見ている。
「でも、今は違うわ・・・雅彦さんが乗り気ならともかく・・・」
「佐藤君・・相手の人って、お正月の?」
「貴女見た事あったのですね・・・そうなの・・・」婦人は少し考える仕草で
「貴女から見てどうでしたか?」そう言ってぼくに聞いてきた。
「普通の高校生だったと思いますけど・・・ちょっと化粧が濃かったかと・・・」ぼくは思い出しながら答え、婦人は頷いた。
「雅彦さんはそれを見てなんだと?」何かを期待するようにそう言ってじっとぼくを見つめる婦人。
「佐藤君は・・・断ってましたけど・・・ぼくの事を引き合いに出して・・・」説明していると、なんだか恥かしくなって俯いてしまうぼく。
「だからなの・・・あのこは優しいこだから、ちゃんとした相手を見つけて欲しいのよ」婦人はそう言って微笑んでいた。

「それであたしにって一体?」
「貴女にお見合いして欲しいの」
「え?」突然の言葉にぼくは驚いて声を出していた!
「言い方が悪かったようですね・・・お見合いの席を壊して欲しいのよ」
「え・・・でも、いくらなんでのそれは失礼ですよ・・・ダメですって」話を聞いて言い返すぼくの婦人は微笑みながら頷いた。
「あれ?」その行為にあっけに取られてしまったぼく。
「そうですね、失礼ですね・・・”お見合いの席”でそんな事をするのはね♪・・・でもね・・・」楽しそうに婦人は言いながら
「別なお見合いをしていたらどうなのかしらね?」
「え?」
「お見合いで時間が長くなる事は良くある事でしょ?・・・それで”遅れてしまうのは”仕方の無い事ですもの」
婦人はあっさりと大胆な事を言っていた。
つまり、あちら側のお見合いの前に”別なお見合い”をさせて遅刻させるというのである。
「そんな無茶な・・・」
「最初に無茶をしたのはあちらですもの・・・問題ありませんわ」そう言って楚々と笑う婦人。
「確かに・・・そうかも知れないですね」そう言ってぼくは頷いた。
暫くして、目的の場所・・・駅前のホテルに着いた。

「和美!」車から降りると、ぼくをそう呼んでいる声があった。
「え?」こんな場所に縁の無いぼくは、驚いて顔を向けると伯父さんと姉さんがぼくの事を見ている。
「な、なんで二人して・・・・」
「バカだなぁ・・・家族の対面が無いとおかしいだろう?」伯父さんはそう言って笑っている。
「そうよ・・・だって、お見合いですものね」姉はそう言って嬉しそうにぼくのことを見ている。
「じゃあ・・・もしかして?」声を震わせながら言うぼくに
「「だって生徒の一大事だから♪」」二人はそう言って笑っていた(爆)

「それじゃあ30分後に」佐藤のお兄さん夫婦はそう言うと、着替えのために用意してあった部屋から出ていく。
「うーん、お兄さんてやり手なのかしらね?」姉は部屋を眺めながらそう呟いた。
「なんで?」
「だってこのホテルでこの部屋を急に準備できるなんて・・・しかもこれって凄い衣装じゃない?」姉は20畳はありそうな部屋を眺め、”着替えの為”にと置いてあった振袖を見て教えてくれた。
「お金持ちってこと?」
「それだけじゃないと思うけどね」
「普通のお兄さんだったけどなぁ」昨日の事を思い出しながら答えると
「バカねぇ、普段とは違うっていう事よ・・・それよりも着替えないと時間ないわよ?」姉はそう言って振袖に手にしていた。

お見合いの席の為に、最上階のラウンジを借り切っていた!
要所に活け花が飾られ春らしい雰囲気を装い、琴の調べが穏やかな空間を醸し出している。
「・・・ここでやるんですか?・・・」ぼくは案内され、ラウンジの入り口でため息混じりに呟いてしまった。
「えぇ・・・佐藤様の為にご用意させていただきました」案内した人は丁寧に答えてくれる。
「そうですか」ぼくはその人に頭を下げて、ラウンジに中に入っていく。
「・・・はぁ〜・・・」
ぼくを出迎えたのは、佐藤のお兄さん夫婦のため息だった。

「・・・ステキなお嬢様ですわね・・・」そう言ってぼくの事を見つめている佐藤とその兄夫婦(爆)
なんだか夫婦でボーとしていて、先日のような切れが無い(笑)
「ありがとうございますわ・・・自慢の妹ですから・・・」姉はそう言いながら微笑み、ぼくは準備してあった椅子に座った。
「まったく・・・自慢できますわね・・・」ため息を付いているお義姉さん。
「制服であんなにキレイだったからまさかと思ったけど・・・」そう言ってじっとぼくの事を見つめる。
「はぁ〜・・・このまま家に持って帰りたいくらい・・・」うっとりしているお義姉さん。
「義姉さん・・・何を言っているんだ?」そんなお義姉さんに佐藤は冷静に答えている。
「だって、こんな義妹できたら自慢できるじゃないの!」
「斉藤さんはモノとかじゃないって」
「あら、貴方は和美さんの事嫌いなの?」お義姉さんがそう言って佐藤は返事が出来ないでいた。
(佐藤は学校で一緒なせいか、和美に対して免疫が出来ているだ(^^;;;)

時間がきてお決まりの話が始める。
互いの紹介?が済んでぼくと佐藤はラウンジから追い出されてしまった。
「「なんで?」」
「だってここにいたって、佐藤君のお祖母さんに見せらんないでしょ」姉さんはそう言って笑っている。
「そうよ、和美さん見せたほうが相手が勝手に引き下がってくれると思うのよ」とお義姉さん。
「あっちのお見合い場所って、ロビー脇の広間だから・・・その辺りを廻っていてね」
「「頑張ってねぇ」」二人はそう言ってドアを閉めた。

「もう、無責任なんだから」ぼくはドアを蹴りつけたい気分になっていた。
「ゴメンね・・・義姉さんだってああはいうけどさ、普段はもっと常識のある人なんだよ」
「そう思うけど・・・でもねぇ」
「ゴメン・・・無理やり変な事を頼んじゃって・・・」佐藤はそういってぼくの頭を下げる。
「あ、ぼくもいやだったら断ったもん・・・気にしないでいいから」慌てて否定すると、佐藤はホッとしたのか笑顔を見せている。
「相手の人に迷惑かけちゃうね」
「そうだね・・・ウソを言っているんだもんね」佐藤は少しだけ苦笑していた。
常識のある佐藤にとって、非常事態とはいえ相手の迷惑をまず考えてしまうのだ。
そんな佐藤だから、お祖母さんとかお義姉さんが気を揉んでいるのかもしれない。
ぼくはなんとなくそんな気がしていた。

エレベーターで下に降り、目的の広間に向かうぼく達。
「「「はぁ〜」」」
廻り中で小さくため息が聞こえていた。
「ほら、あの二人は・・・」「彼氏がきっと彼女に・・・」
「いや、彼女だってあの彼なら・・・」
色んなささやき声が飛び交っている。
「あ、あのさ・・・」ぼくは歩きながら佐藤のスーツを少し引っ張った。
「なに?」
「もう戻ろう?・・・なんだか雰囲気が・・・」
廻り中から視線を感じて、ぼくは佐藤の後ろに隠れたくなっていた。
なんだか刺すような視線を感じていたから。
「そうだね・・・なんだか僕も雰囲気がね・・・」佐藤もそう言っている。

客観的に見て二人はお似合いのカップルにしか見えていないのである!
ただ、彼(彼女)の相手を妬むのが世の常だし(^^;;;
和美はスーツを着ている佐藤を男らしいと思い、佐藤は今更・・・なのである。
つまり、二人は視線を”自分への非難”としかとっていなかったのである(笑)
ぼく達はエレベーターで戻っていくと、既にお見合いの断りがあったとお姉さんが告げた。
「和美さんごめんなさいね」ラウンジに戻ると、お兄さんがそう言って頭を下げていた。
「いくらお祖母さんが無茶したとはいえ、貴女にも相手の娘に失礼だったはずだからね」
その話をしている隣でお義姉さんも辛そうな笑顔を見せていた。
いくら佐藤の為とはいえ、常識はずれな行為だった事を認めていたからだろう。
ぼくにはそんな二人の気持ちが伝わってきて、答える言葉が見つからなかった。

「ウソだったら拙いけどね」姉はそう言ってじっとぼく達を見ている。
「どういう事?」
「だから二人が付合っちゃえばウソで無いって事でしょ」
「あ、そうよね!」姉の言葉にお義姉さんまで手を叩いて喜んでいる。
「ウソじゃなきゃ問題無いんだよね」
「な、なにをいきなり・・・」ぼくは二人の言葉についていけなかった。
「じゃあ、これからデートね」姉はそう言ってぼくを隣の部屋に押し込む。
「なななんんでそうなるんだよ」ぼくを着せかえしながら
「だってお見合いが上手くいったら、その次はデートでしょ?」姉はそう言って制服じゃなく明るい色のスーツをぼくに着せている。
「こんなのどうしたの?」
「あんた制服で帰る気だったの?」
「そうじゃないけど・・・でもこれって・・・」
春らしい色合いのスーツを鏡に映しながら、ぼくは少し恥かしい感じがしていた。
少女が初めて着るようなそんな感じのスーツだったからだ。
「初々しくていいわねぇ」姉はそう言って、ぼくをもとの部屋に連れていく。
「「「ほぉ〜」」」
佐藤君はもちろん、伯父さんからお兄さん夫婦までじっとぼくを見てため息を付いている。
部屋中から視線を浴びて、さすがに恥かしくなってきた。
「さ、佐藤君・・・」ぼくは視線を浴びながら佐藤に近付いて話掛けた。
「な、なに・・・斉藤さん・・・」赤い顔で答える佐藤。
「と、とりあえず・・・ここ出ましょ?・・・なんだかあまり・・・」そんな佐藤を見ていると、自分まで恥かしく感じて俯いてしまうぼく。
「そ、そうだね・・・」佐藤はそう言いながらぼくの手を握った。
「じゃ・・・ちょっと行ってくるから・・・」
「余り遅くなるんじゃないよ♪」
「そうね、学生なんだから♪」
「「ば、バカ!」」ぼく達二人はお互いの姉から声援を受けてホテルから飛び出した!

「「まったく・・・姉さんたら」」ホテルから十分離れた場所で立ち止まり、ついそんな事を言ってしまうぼく達。
「「あ〜あ、一人でも大変なのになぁ」」
また同じ事言い、お互いに笑ってしまった。
「あの時以来だね・・・スーツなんて」佐藤はそう言ってぼくを見ている。
「あの時は伯父さんとこに行くのだったから・・・」
「でも、今着ているほうが似合っているよ・・・」
「え?」
「あ、なんとなくそう思ったからつい・・・」
「・・・ありがとう・・・」佐藤の言葉にぼくは素直に答えていた。

 

19話に続く


どうも、mk8426です。おまちかねの「和美ちゃん」をお届けします。
またまたまたパワフルな方が登場しました(笑)。しかも今度は家族(?)まで巻き込んでます。もう止められないのか?

2004.06.30  mk8426

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