和美ちゃんスクールライフ
和美ちゃん 15話
作:kagerou6
うう、スカートきつい;;;
何とかホックをとめ制服を着て鏡を見ると、幾分顔が丸くなっている気がした。
・・・やっぱり太ったかな・・・頬に手を当てそう考えていると、着替えていた姉が「太った〜」と騒いでいる(笑)
・・・同じように食べてばかりだったしなぁ・・・コートを羽織ってドアノブに手をかけ、姉を置いて電車で学校に向かう。
いつもは姉と車で行くのだが、少しダイエット(泣)を兼ねて歩くことにしたのだ。
・・・電車で通学なんてしてないものなぁ・・・新しい定期を改札にいれホームで電車を待っていると、同じような制服を着た集団が固まっている。
・・・今日は気持ちの良い朝だなぁ・・・校門をくぐって校舎に向かいながら、頬に風が当たっていく。
まだ寒い風だけど、日差しが暖かだったせいか気持ち良かった。
・・・おみくじ良くなかったけど、良いことありそうかな?・・・
そんな事を考えていると、段々お正月のことが思い出されてくる。
佐藤に会ったことやお参りの事。
そして、佐藤のお祖母さんの事(爆)
・・・あのときの佐藤ときたら♪・・・
不意に思い出し笑いしそうになってしまう!
・・・やばい、こんなとこ佳子とかに見られたら・・・心配になって廻りに目を向けると、幸い誰もいない。
・・・ふぅ、大丈夫か・・・ぼくはため息をひとつ付いて、玄関を開けた。
靴箱から上履きを取り出していると、廻りでひそひそ話をしているのが耳に入った。
「・・・あの娘よ・・・」
「・・・可愛い娘だけど・・・進んでるのね」
・・・またか・・・耳に入ってくる言葉に”また誰かの噂話かよ”と、気にしないでいるぼく。
実は彼女達が噂しているのは和美の事なのだが、本人はまるで気付かなかったのだ。
「みんな、明けましておめでとう」ぼくは教室のドアを開けながら、そう言い入っていく。
「「「和美・・・あんたって・・・」」」待っていたかのように、クラスの女子がぼくのことを一瞬で囲んでしまった!
「え?」なんの事か判らずに、ぼくは廻りに目を見渡しながら聞き返すと
「「「なに惚けてんのよ!」」」そう言いつつぼくを睨みつけてくる!
そのまま有無を言わさぬ勢いで、教室の真ん中まで連れていかれた(爆)
「ちょちょ、ちょっとまって・・・いったいなんなの?!」ぼくは訳がわからず囲んでいる皆を見渡したけど、ただ睨み返されるしかなかった!
それは、佳子が一枚の紙を持って教室に入って来るまで続いていた。
「これだよ!」佳子はそう言って廻りの人を掻き分け、紙をぼくに差し出した。
「なにこれ?」紙を受け取りながら佳子に聞き返すぼく。
「これが皆の言っている”原因”なんだよ!」
「なんだって?」
ぼくは受け取った紙に目を落とした。
【スクープ、学校のアイドルに子供が?】
「え?」大きな文字と写真がぼくの目に飛び込んでくる!
「朝来たら、玄関とかに貼ってあったの」そう言って数人の女子が同じポスターを差し出した。
「和美・・・これあんたでしょ!」そう言ってじっとぼくを睨みつけてくる。
「たたたたただ、あああか赤ちゃんをだだだ抱いている女の人がいるだけじゃないいいい?」
そう言いながらも、背中に汗をかいているぼく。
”姉”にとっても良く似た女性が赤ちゃんを抱いていたのだから(爆)
・・・これは伯父さんと、でも誰が見てたんだ?・・・そう考えると汗がどんどん流れてくる!
「そう言うけどさ・・・こんなにも”晶先生”に似ているのってそういないのよ?」相手はそう言って写真を指差し、じっとぼくを見つめる!
廻りの女子も頷いてぼくを睨みつけている!
「たた他人のそそ空似だだだってば」
「ふーん・・・そういうの?」
コクコクぼくが頷くと
「男子は化粧しないから・・・誤魔化せないのよ?」そう言って隣に映っている佐藤を指差した!
「・・・・・」
「なにか言える?」一人がそう言いながら手を伸ばし、ぼくの肩を掴んだ!
「さて・・・か・ず・み・ちゃん?・・・」
「な・・・なんでしょう・・・」
「ちゃんと説明してくださいますよね!」
丁寧な言葉使いだけど、逆にそのほうが怖い。
コクコク頷くぼくに、廻りは(目が笑ってない)笑顔が浮かべた時、相手のS君・・・佐藤が入ってきた。
「あははははははは」
佐藤は廻りを男子に囲まれ同じように問い詰められたが、いきなり大声を出し笑っていた。
「”見だし”で引っ掛ける3流雑誌と同じだよ」そう言ってぼくの廻りの女子を呼ぶと
「いいかい?・・・この写真にはぼくと斉藤さんが写っている・・・それは認めるけど・・・」佐藤はそう説明を始め、ポスターの上を指でなぞっていく。
「クラスの”友達と一緒の車”に乗っているのって、そんなに大騒ぎする問題なのか?」佐藤はそう言って廻りを見渡している。
「それだけじゃないでしょ?・・・二人が赤ちゃんを・・・」
「はぁ・・・なんだってまぁ・・・簡単に引っ掛かるかなぁ・・・」佐藤は呆れた顔でその子を見つめる。
「斉藤さんが赤ちゃんを抱いているけど・・・この写真を良く見てよ?」
「え?」
「良いかい?・・・この写真は”車の中”だってこと、それは判るよね?」佐藤がそう説明すると、廻りにいるクラスメイトを見渡す。
「あぁ・・・ドアノブとか見えるからな・・・」男子の一人がそう言って佐藤を見る。
「そこで肝心な事だけどね・・・ぼくらはまだ”免許”を持っていないんだよ?」
「「「あ!」」」男子は何かに気付いたのか、指で写真をなぞりながら良く見始めた。
「なる・・・佐藤が言いたいのはそう言う事か・・・」一人が写真の隅に指を置きながらそういうと
「まあね・・・誰がこんな事言い出したのか判らないけど迷惑極まりないね」
「そうか?・・・俺には喜んでいる風にしか見えないぞ?」
「おいおい・・・でも、それは、ちょっとあるかな?・・・」そう言って佐藤は男子と笑い始める。
「あのさ・・・男子は判ったみたいだけど・・・何がなの?」なんで笑っているのか判らないのか、一人の女子が話し掛けてきた。
「あぁ・・・そうか・・・」佐藤はそう言うと写真に指を置き
「ぼくらは免許がない・・・それは判るよね?」そう言うと廻りの女子が頷く。
「・・・つまり、誰か”他の人!”が運転をしている証拠だろう?」
「「「あ!」」」さすがにここまで言われて女子も理解したらしく、ぼくらの写真の前を調べ始めた。
「あ、ここに男の人がいるよ」
「あれぇ・・・ここにも誰か映っているよ?」
「気付いた?・・・その人がこの赤ちゃんの親なんだよ」
「正月、ぼくが神社に行く時にさ・・・駅を降りたら和美ちゃんに偶然会ってね」
「「「ふむふむ」」」話を聞いていたクラスメイトが頷く。
「自販機でジュースを買っていた時に、隣で彼女も買っていたんだよ」
「「「うんうん」」」
「で、新年の挨拶をするだろ?・・・クラスメイトなんだし・・・そしたらこの人達に誘われたんだよ」
「「「おー、なるほどー」」」
クラス中でため息が始まり、緊張した空気が和らいでいった。
「でもさ・・・ちょっと考えたら判る事なんだけどね・・・」落ちついた頃を見計らって、佐藤が言い始めた。
「考えたらって?・・・佐藤君どう言う事なの?」
「この学校はぼくよりいい男が多いってことさ?」
「え?・・・何がかな?」数人の女子が佐藤を見ながら言っている。
「斉藤さんは男女関係なく人気あるじゃない?・・・それなのにぼくを選ぶわけ・・・」
「「「そんな事無いよ!」」」
それを聞いて数人の女子が佐藤を見つめいきなり力一杯叫んだ!
「え?」突然の事に驚く佐藤。
「佐藤君だっていい男だよ」
「そうよ・・・他の人とは違って優しいし・・・」
そう言って廻りに皆がいるのに気付き、恥ずかしくなったのか俯いてしまった。
どうやらこの娘達は、佐藤の事が好きみたいな感じである!
・・・だから、ぼくの事?・・・俯いている彼女達を見てぼくはそう感じていた。
「しっかし・・・いったい誰がこんな事を?」
なんとかクラスが収まったので、ぼくは佳子にポスターの事を聞いていた。
「あたしは階段の踊り場から持ってきたの・・・でも、皆の話だとあらゆる所に貼ってあったみたいね」
「はぁ・・・なんだかこれって、ぼくの事を狙っているとしか思えないよぉー」
「言われればそうよね」さっきまでぼくの事を”敵”にしていた女子が話掛けて来た。
「あ、千枝・・・もう落ちついた?」
「まあ、落ちついたっていうのかしら・・・さっきはごめんなさい」そう言って彼女・・・伊沢千枝がぼくの頭を下げた。
「もう・・・気にしてないからいいよ」
「ゴメン・・・普段の事考えたらありえないはずなのにね」
「千枝は・・・佐藤君の事好きなんだから仕方ないね♪」
「ば・・ばか!」彼女はそう言うと俯いてしまう。
「和美・・・仕返しなんてしないの?」そう言いながらも佳子は笑っている。
「しかし、いったい誰がこんなのこと考えたのかな?」と、千枝が言い出した。
「二人を知っていても普通なら・・・”若い夫婦”で通るわけでしょ?」写真を指差しながら言う千枝に廻り中が頷く。
「そうだよね?・・・和美は化粧していて子供っぽくないし・・・」
「うん・・・佐藤君だってスーツ着てるから・・・」
「子供を抱いていれば、普通は学生なんて思わないよね?」
「でしょ?・・・そこがおかしいのよ?」
千枝の言葉に聞いていたクラス中が頷いた。
「もしかしたら・・・ぼく達に詳しい人がこれを?」ぼくがそう言うと千枝は”たぶん”と頷く
「普段の事知っている私達だって、ついこれを信じちゃったんだもの」写真を指差しながらそう言うと、廻りにいるクラスメイトが一緒に頷く。
「ストーカーまがいに佐藤君と和美のこと見てないと・・・気付かない事だと思うのよ」
「ストーカー」千枝の言葉にぼくは悪寒を感じていた。
いままで”つきあって”とか言われたけど、こんな事など無かったからだ!
「やだよこんなの」ぼくは得たいの知れない相手に言い知れない恐怖を覚えていた。
「ちょっと男子!・・・」佳子はそんなぼくを見ていきなり机に上がると
「相手にされないからってこんな事するの!」
と、怒鳴り始めた!
「男らしく犯人は・・・」
「佳子・・・クラスメイトを疑うなって」と、田中が机から降ろそうとする。
「なんでさ?・・・友達の事言われて悔しいじゃない?」
「佳子・・・皆じゃないよ」
「え?」ぼくの言葉に佳子は驚いた顔で見つめ返してくる。
「皆はこんな事しないよ・・・だから佳子、皆にはそんな事言わないで・・・」
「和美がそう言うなら・・・あたしも信じるけど・・・」そう言って佳子は机から降りた。
「まあ、クラスメイトじゃないのは当たりだと思うよ」写真を見ていた佐藤がそう呟いた。
「佐藤君・・・それってどういう事?」それを聞いて佳子が佐藤に近付き、ぼく達も佐藤の廻りに集まる。
「写真のここ見てよ」佐藤は貼ってあった写真の下のほうを指差しながら
「ここに四角くボケているのがあるだろ?」と、廻りをみながら言う。
「うん・・・でも、これじゃあウチのクラスじゃない証拠にはならないよ?」そうぼくが聞き返すと
「これはたぶんドアミラーだよ」そう言って笑った。
「あ、そういう事なんだ・・・なら、そうだね」ぼくは佐藤の言いたい事が判って頷く。
「たぶん・・・でも、そうとは考えたくないけど・・・」
「でもさ・・・生徒じゃないんだし・・・」
「そうだね・・・だから厄介なんだけど・・・」
「厄介、確かにね・・・たぶん相手は他にも手を考えているだろうしね・・・」
「そうだね・・・そうだとすると、始業式でかな?」
「考えたくはないけどね」
「「はぁ」」ぼくと佐藤は一緒にため息を付いた。
「あ・・・あの・・・全然判らないんだけど?」佳子がそう言ってぼく達を見つめていた。
「・・・はぁ、さすがに凡人とは違うのね・・・」千枝がそう言ってぼく達を見つめている。
「あれだけで、そこまで判るんだもの・・・さすがにトップね」と佳子も頷く。
「でもさ・・・そう言っても誰も信じてくれないんじゃないの?」
「それは可能性あるよね」
「ゴシップ好きなものが多いし、斉藤さんの事妬んでいるやつらは聞いてくれないだろうからな」佐藤はそう言って一旦考え込むと
「高木・・・これ見てくれないか?」そう高木君を呼んでいる。
「?・・・なんだよ」
「ここの形・・・この色・・・」佐藤がそう言って写真をなぞっている。
「ふむ・・・じゃあこれを見てくれば良いんだな?」
「なんとかなりそうか?」
「そこまで派手な色を好むのはいないだろうから・・・すぐに見つかるさ」そう言うと高木は教室を飛び出した。
「鈴木さん・・・晶先生に教員の車の登録Noを確認できるか聞いてきてくれないか?」と、今度は佳子に頼んでいる。
「判ったわ」佳子も同じように教室から飛び出していく。
「佐藤の言う通り1台あったよ・・・Noは40−●3だ」高木は戻ってきてすぐにそう言うと、それに合わせて姉も入ってきた。
「鈴木さんから事情は聞いたわ・・・職員室でも問題になっていたしね」そう言って名簿を開くとすぐに探し出した。
「そのNoは・・・この人ね!」姉はそう言って名簿を指差した。
「うわぁ・・・あの”妖怪”ならやりかねないなぁ」と、脇で見ていた高木が頭を抱える。
「何考えてんだ?・・・あのばばぁ?」と、他のクラスメイトも同様だったりする(爆)
「「これはもうお仕置きするしかないな」」佐藤と姉さんが同時に呟き、一緒にクラスメイトを見つめる。
「「皆・・・協力してくれるよね??」」
その言葉に全員が頷いた!
「これより始業式を始めます・・・」
スピーカーからは新学期の最初の会合についての連絡が流れている。
「じゃあ・・・皆お願いね?」姉がそう言うと皆は教室から移動を始めた。
「でも大丈夫ですか先生?」佐藤は気になる事があるらしく、歩きながら姉に話掛けていた。
「もしかしたら”あの事”言う事になってしまいますよ?」
「相手は理性で判断できるなら・・・それはないけどたぶん無理でしょうから」佐藤はそう言ってため息を付いた。
相手が相手なだけに、自分の想像以上の事をしてくるかも知れないからだ!
「やり込める事は出来るけど・・・廻りに迷惑掛るんじゃあ拙いしなぁ」
「そうだね・・・”あの相手”じゃあ、もう見境なく切れるかもね・・・」佐藤の言葉にぼくもそこが気になっていたのだ。
感情的に嫌がらせをしてくる相手!
「ホントは相手したくないんだけどね・・・・でも、こんな事をしてくるのだから・・・黙っている事出来ないし」
「そうだね・・・相手が”人間”じゃないんだからねぇ」
「確かに・・・人間扱いできないね・・・」
ぼく達は揃ってため息を付いていた。
「二人の言いたい事も判るわ・・・でもね、佐藤君?」
「はい?・・・なんですか?」
「こんな事になって怒っているの私達だけだと思う?」
「え・・・それじゃあ?」
「えぇ・・・だから思いきってやって良いのよ」姉はそう言いながら廻りを見渡し、襲ってくる冷たい視線からぼくを守ってくれていた。
体育館に入ると、他のクラスがぼくを見て冷たい視線を送ってくる!
「ほら・・・あの娘・・・」ぼそぼそと噂話をしながらずっとぼくを見ているのだ。
・・・なんだってぼくがこんな事言われなきゃ・・・話を聞いているうちに段々と悔しくなってくる!
「可愛いくせに・・・いい気なものね」
「ちょっと美人だと思って・・・相手が可哀想よ」
「な・・なんで・・・」スカートを握りながら、ぼくは段々我慢出来なくなっていた。
「「「大丈夫だよ・・・和美(ちゃん)」」」
そんなぼくを見ていて、クラスメイトがぼくを庇うようにして廻りを囲んでくれた。
「やましい所はないんだ・・・顔を上げていてよ?」
「・・・うん・・・」ぼくは廻りに励まされて顔を上げ、まだ聞こえてくる話に耐えていた。
ぼくを見てぼそぼそ言っている連中を、クラス中でじっと睨み返し威圧!してくれてもいる(爆)
・・・皆!・・・ぼくはそんな皆の気持ちを感じていると、何を言われても大丈夫な気がしてきた。
・・・ありがとう、もう大丈夫だから・・・ぼくは顔を上げ、噂話をしている人を見つめた。
驚いている相手は、ぼくが微笑みかけると俯いて黙ってしまった。
反対側を見ると、ばつが悪いのか顔をそらして話を止めていく。
段々静かになっていく体育館で始業式は始まり、そして終ろうとしていた。
・・・このまま終わるかなぁ・・・何事もなく過ぎた始業式にクラス中がホッとした頃、”それ”は始まった!
「・・・教頭・・・今日学校内で喜ばしくない噂が流れているのはご存知ですか?」
隣のクラスの委員長が立ちあがるとそう言い始めたのだ。
彼は何かと佐藤に対抗意識を持って・・・いつも負けている(笑)・・・なにかと突っかかってくるやつなのだ。
「・・・予想通り、出て来たよ・・・」佐藤は出てきて喋り出した相手を見ながら呟く。
「これで、確定ね・・・だれがこんな事を始めたのか・・・」と、姉も言う。
「えぇ・・・やはり学校にとっても良くない人物だと決まりましたね」佐藤はそう呟くと姉を見ながら
「手加減しませんけど・・・良いですよね?」
「もちろん・・・妹に手を出した”始末!”を取って貰うんだから」そう言って冷たい笑みを浮かべる姉。
二人を見ていたぼく達は背中に冷たいものを感じていた。
「・・・学生として許される事なんでしょうか?」隣の委員長がそう言うと、教員の一人が立ちあがって
「そうざます!・・・厳しく処分すべきざます!」そう叫び始めた。
「PTAの皆様・・・学生の本分をわきまえないハレンチな事をした二人は即刻!・・・」
そこまで言った時に佐藤が静かに壇上に上がった!
「貴方なんでそこに行くざますか?」佐藤にそう叫んだが、脇から校長(伯父さん)に押さえられてしまった。
「当事者と”噂”されている本人ですけど・・・」佐藤はそう言って、佳子の持ってきたポスターをプロジェクターで拡大投影しはじめた。
「ここに写っているのが”ぼく”らしいんですけど・・・」佐藤はそう言い、ポインタで顔を指し示す。
「こんなぼろぼろな写真で”ぼく”だという事らしいのでしょうけど?」
佐藤はそう言うと生徒手帳を取り出してプロジェクターの置く。
「どうみても・・・人違い!だと思うんですよ?」自分の写真を指し示しながらそう言った。
「写真よりいい男だよ!」佳子がそこでちゃちゃを入れ、廻りの生徒から笑い声が聞こえる。
「どうも・・・で、これを良く見ると」
そう言ってさっきのポスターに戻し
「”人”だと判らないですよね?・・・きっとおもちゃ!のような安物なカメラで写されたんでしょう?」
佐藤はポスターをさしながらそう言うと、はっきりとした笑い声があちこちで聞こえる。
「ピントも合ってないから”ぼくはおろか全員がボケ”てしまっている・・・」
佐藤はそう言い手を大きく広げながら
「これじゃあ証拠とは言えないと思うんです。こんなのはただの他人の空似の妄想!じゃないでしょうか?」
佐藤がそう言うと、大きな笑い声が体育館を覆っていた!
「ウチのクラスの斉藤さんは明るい娘でして・・・」
佐藤はそう言いながら別な写真をプロジェクターに入れる。
「笑顔が魅力的な娘で、男女に関係なく人気があって・・・」佐藤はそう言うと、男子を中心に生徒が大きく頷く(爆)
「成績も優秀・・・文武両道とはまさに彼女を示す言葉で!」
今度は教師を中心に大きく頷く。
「そんな斉藤さんを・・・勘違いで妙な噂を・・・・」
「待つざます!」
佐藤が言いかけた時に、さっきの教員がマイクを持って叫び始めたのだ!
「私は見たざます!・・・赤ん坊を抱いていたのはこの二人に間違いないざます!」
「ですが・・・先ほどのポスターでは人が判らないのですよ、先生の勘違いじゃないですか?」佐藤はそう言い返す。
「先生の持っているような安物のカメラじゃああんなものかもしれないでしょうけど」佐藤はそう言って笑った。
「私のが安物ですって・・・・」教師はそう言いながらバックからカメラを取りだし
「このカメラで写したざますよ、どこが安物ざますか?」
そう言いながらカメラを持って壇上に上がってきた。
「これはなかなかいいカメラかも知れないですね?」佐藤はそう言いながらカメラをいじっている。
「なかなかじゃないざます・・・いいカメラざますよ!」そう言ってメモリーカードを取り出すと、プロジェクターにさし込む。
映し出されたのは先ほどと違って鮮明な映像だった!
「確かにきれいな絵ですね」佐藤がそれを見て言うと
「学校のプリンターが安物ざますから、あんなのになったざますよ」教師は自慢そうに言っている。
「あーあ、今の行動・言葉・・・全員が聞いているのになぁ」
「それはどういう意味ざます?」
そう言い掛ける教師を無視して、佐藤は生徒に向き直った。
「えー・・・皆さん・・・」佐藤は軽く生徒を見渡すと
「今の逆上教師の事を良く見ていて貰いましたか?」と言い始めた。
佐藤の言葉に半数以上が頷き、佐藤は手を振ってそれに答える。
「この逆上せんせいは・・・自分のバックからカメラを取り出したんですよね?」
また頷く生徒達。
「そのなかにはポスターの原本の写真が入っていましたよね?」
「そうだよ・・・それに”学校のプリンター使った”とも言ったよ」
勘の良い生徒が、佐藤の言いたい事に気付いてそう答える。
「そう・・・皆さんも見た通りですね」佐藤はそう言うと、また逆上教師に目を向けた。
「貴方が自分で証明したのですよ・・・”噂”を流したのは自分だって・・・」
佐藤がそう言うと、唖然として見つめ返すだけだった。
「校内に醜聞が流れていて、どうなるかと心配しましたが・・・」伯父さんは壇上に上がると佐藤の隣に立って言い始めた。
「この佐藤君がそんな事にくじけず、しっかり解決してくれました」そういって佐藤の手を握る。
「佐藤君どうもありがとう」
「いえ・・・クラスメイトの為ですから」
「ふむ・・・良いクラスメイトの集まりなんだね」
伯父の言葉に佐藤は照れていた。
「さて・・・逆上さん!」伯父はそう言って逆上教師を睨みつける。
「聖職につくものが取るべき行為ではなかったようですね」
伯父の言葉になにも言い返せない逆上。
「このことは・・・教育委員会に報告しますから!」そう言うと逆上は俯いてしまった。
「皆さんには処分が決まり次第きちんと伝えますから・・・」そう言ってPTAをはじめ生徒に向かって頭を下げた。
「で、ですが校長・・・この写真の問題はまだ終わってませんが?」そう隣の委員長が言い出した!
「ふ、二人が赤ちゃんを抱いているのは事実でしょうし・・・」
「そ、そうざます!・・・は、ハレンチな事に違いないざますよ!」
その言葉を聞いて逆上教師が叫び始めた。
自分の進退が決まった今、道連れを作ろうとでも言いたいように・・・
「ふむ・・・君もそんなにも波風を立てたいのか・・・」伯父さんはそう言って隣の委員長を睨みつけた。
「これが学校に貼りつけてあったポスター全てだ・・・これを君はどう思う?」伯父さんはそう言ってかなりの枚数を取り出した。
「どうって・・・それと赤ちゃんになんの関係が・・・・」
「とても逆上教師ひとりで印刷・貼付けできる数じゃないんだよ・・・誰かが手伝わない事にはね!」
伯父さんはそう言って、隣の委員長を睨みつける!
「君・・・これ以上私に言わせると、もう後戻りできないんだよ?」
伯父さんの言葉にその委員長は座りこんでしまった。
「それに・・・この赤ちゃんだが・・・斉藤先生、壇上に・・・」伯父さんはそう言うと姉を壇上に呼んだ。
「なぜ・・・ここに彼女を呼んだのか不思議そうだね」伯父はそう言いながら二人を見つめる。
「教育上、贔屓とか差別とか言われたくないので・・・伏せていたのだが・・・」伯父さんはそう言うと、軽く咳払いをして姉の隣に立つ。
「ここにいる斉藤晶教師が・・・今回噂の斉藤和美のお姉さんというのは皆さんも知っていると思うのだけど・・・」
伯父さんはそう言い、体育館にいる教師、生徒を見渡す。
「実は彼女は・・・私の親戚でもあるのです・・・」
「「「えぇ〜〜〜〜」」」
体育館が壊れそうな叫び声が生徒教師を問わず起きた!
「じゃあ・・・あの娘も校長の?」
「だから・・・噂の事でも騒がなかったの?」
突然の話に生徒中がざわめき始めた。
「まあ、二人は非常にそっくりなので、誰も気付くと思って伏せはしなかったのだが・・・」騒ぎを押さえこむように手を振りながら伯父は言うと
「こんな問題が起きたんじゃあ・・・黙っているわけにはいかないのでね」
伯父さんはそう言うと、映されている写真を指し示しながら
「ここに写っている”男”に見覚えないかね?」
「「え?」」逆上と委員長がそれを食い入るように見つめる。
「人を陥れる事ばかり考えているから・・・こんなのにも気付かないんだよ!」そう言って壇上にある机を叩く!
「これは私の家に年始に来た時の写真だ、つまり私なのだよ!」
それがとどめの一撃になったのか、逆上教師は黙って座りこんでしまった。
「あーあの妖怪の顔ったらなかったね」教室に戻る途中で皆がさっきの事を口にしていた。
「そうね・・・まさか校長と関係あるなんて思ってなかったんでしょうね♪」
「だね・・・これで学校にはいられないでしょうし・・・」
「そうね・・・まあ、自分が悪いんだけどね」
皆が思い々々に口にしている。
「でも、どうしてあんな事したんだろう・・・」ぼくはそんな話を聞いて逆に冷静になっていた。
「そう普段は悪い先生でもなかったと思うのに・・・」
「やっかみなんじゃないの?」と佳子がぽつり呟く。
「え?」
「ずっと先を越されてさ・・・結婚とかをね」と、亜紀。
「生徒が可愛い赤ちゃん抱いていたら・・・そりゃひがむってもんでしょ?」
「そうかなぁ?」
「あの写真じゃ・・・それしか考えつかないけどね」と志乃が言った。
「でもさぁ・・・和美が校長と親戚だったとはねぇ」
「そうよ・・・どうして教えてくれなかったのよ?」そう言って皆が立ち止まると、ぼくの事をじっと見つめてきた!
「だだだって・・・言ってもしししかたないじゃん・・・」
「ななにも特典ああるわけじゃななないし・・・」
「「「うんにゃ・・・ある!」」」
首を振りながら皆がそう言った!
「え?」
「だって、”校長の親戚とお友達”なんだよ♪・・・」佳子が手を組んで目を輝かせている(笑)
「内申とか悪くなるはずないじゃない!」
「あ?」背中に冷たいものを感じながら聞き返すぼく。
「そうね・・・へんな事書くと自分の査定に引っかかるものね♪」と亜紀。
「あ、あのぉ・・・それってまさか・・・・」
「そうよ・・・和美ちゃん♪」
廻り中が佳子と同じに目を輝かせながら
「「「先生に宜しくねぇ♪」」」
その言葉にぼくは力を失って座りこんでいた(泣)
16話に続く
どうも、mk8426です。今週の週刊「和美ちゃん」はこれまでで一番遅れてしまいました(核爆)。
というわけで、決着がつきましたね。人を呪わば穴二つというか、なんというか・・・。しかし、血縁関係が露呈した代償は、和美ちゃんにとってはかなり重かったようですねぇ(笑)。
2004.05.21 mk8426