和美ちゃんスクールライフ
和美ちゃん7話
作:kagerou6
「楽しかったね!」海からの帰りに亜紀と佳子はそう言いはしゃいでいたが,ぼくはそんな気持ちにはならなかった。
昨夜の祭りで、ミスに選ばれてしまったからだ。
ミスに選ばれたのは、100歩譲ってまあしかた無い!
でもその後皆には、諮られてしまった!のだ。
旅館に帰りついたぼくの前には人、人、人!であった。
ミスに選ばれてしまったぼくをダシにして宿泊代をタダ!にする為、サイン会!なんかが準備されていたのだ!
なにも賞を貰えなかった悔しさ?なのか、それとも只の思いつきか判らないが・・・
ぼくは亜紀と佳子を睨んだが、そんな事関係無しに二人は部屋に戻っていた。
・・・この〜、覚えてろ〜・・・サインをしながらそんな事を考えていたぼくだった。
最後の一人にサインが終わるとぼくの腕はいう事を聞かなくなっていた。
旅館の人にお願いしてシップをしてもらい、ぼくは部屋に帰るとただ寝る事しか出来ないでいた。
今朝なんとか腕が動くようになったけど、朝ご飯を食べ終わったら人がいきなりぼくの隣にやってきて「サイン下さい」攻撃!
なんとかしのいでロビーに出ると今度は写真にサインいれ!
結局ぼくは帰りまで遊べなくてサインだけだった。
「斉藤・・・どうかしたのか?」車の中でぼくは田中が話掛けてきた。
「別に」むすっとして答えたぼくに、彼は隣の高木に声をかけている。
更に佐藤にも・・・
「判った」「だよね」そう言い、二人は田中に頷いていた。
その意味は翌日まで判らなかったが・・・
彼らを家に送り届け帰り着いたのはもう9時になろうとしていた。
「どうだった?初めての海は・・」運転しながらそうぼくに姉は話掛けてきた。
「なんだか疲れに行ったみたいな感じ」助手席に移った僕は運転している姉にそうぼやいていた。
「いい経験じゃないの?」
「いらない!」
「そう言えばさっきね・・・田中君がね、明日電話するって・・・」
「なんで・・・アイツは佳子の・・・」
「判らないわ・・・でも、そう言っていたわよ」
運転をしている姉に余り聞き返しても拙いと思い、席を倒して僕は考えていた。
・・・田中、アイツはなにを考えて・・・そんな事を考えているといつの間にか家に帰りついていた。
「和美・・・電話よ」姉はそう言ってまだベットに入ったままのぼくに子機を渡してくれた。
・・・ったく!こんな早く・・じゃないか・・・ぼくは時計を見ながら子機を受けとった。
「ハイ・・・斉藤です・・・」
”あ・・・斎藤さん?・・・田中!”電話口からはそう声が流れてくる。
「あの?・・・田中・・くん?」
”そう・・・あの田中・・・”
「なんで田中君が?ぼくに・・・」
”昨日、ちょっと言ったじゃない?”
「昨日の事・・・なんだっけ?」ぼくは昨日言われた事など思い出せないでいた。
”高木と佐藤もさ・・・今駅前なんだ”
「駅前?・・・それが・・」
”昨日のお詫び・・・君だけ遊べなかったろ?”
「そんな・・・だってあれは佳子達が・・・やった事で・・・さ・・・」ぼくは段々田中の気持ちが判ってきた。
遊べなかったぼくの事を気にして、その埋め合わせを高木達としようとしているのだろう。
「あの事なら・・・なんとも思ってないから・・・」
”そうじゃないよ・・・斎藤さん”ぼくの言葉に今度は高木が答えていた。
”君だけが楽しめないなんて・・・おかしいじゃない”
「だって・・・そんな事言ったって・・・」
”それにさ・・・君のおかげで楽しめたんだから・・・”
「・・・だから?・・」
”その分、君には楽しんでもらわないと・・・”
「・・・判った・・・うん・・・ありがとう」ぼくは三人の心遣いが嬉しくて泣きそうになってしまった。
・・・なんでかな、アイツらの事・・・なんだろ?・・・
”じゃあ、駅に来てくれるかな?”
「・・・うん・・・今から行きます・・・」ぼくはそう答えて、子機を置いた。
「お〜い・・・こっち」前で高木が手を振っていた。
「ごめんね・・・待たせて・・・」ぼくはそう答えて、三人に笑っていた。
「でも・・・いきなりで・・・」
「昨日はっきり言っておけば良かったけどさ」田中はそう言い佐藤を見ている。
「斎藤さんだけ・・・あんな事になって遊べなかったんじゃ・・・」
「でも・・・それって貴方達のせいじゃあ・・・」
「そう・・・でもさ・・・」田中はそう言ってぼくの手を握っていた。
「佐藤も高木も・・・気にしているんだよ・・・その事をさ・・・」
「だから!」そう言って今度は高木が割りこんできた。
「昨日の分はここで俺達が楽しませてあげるから!」
「・・・皆、ありがとう・・・」ぼくは俯きがちにそう呟いていた。
「さて・・・お嬢様?」高木はそう言っていた。
「?・・・ぼく・・のこと・・」
「そうだよ・・・斎藤さん」佐藤はそうぼくに教えてくれた。
「・・・お嬢・・さ・ま・・」
「今日は一日、お嬢様だから・・・何でも言って良いよ」高木はそう言ってぼくの事を見つめている。
「・・・ホントに?・・」上目使いに高木を見ると、高木はいきなり慌て始めた。
「も・・もち・・ろん・・・」
「ぼくだって、”良識”くらいあるよ!」少し怒った風に言ってやると、高木は苦笑いしていた。
「そ・・それは・・その・・」
「なにさ!」
ぼくらの受け答えに佐藤と田中は笑っていた。
「まだ疲れがあるだろうから・・・今日は映画なんかが良いと思うけど・・・」高木はそう言って、ぼくにパンフを差し出す。
「・・・映画・・・」パンフを受け取りながらぼくはどうしたものか迷っていた。
「まだ、夏休み!・・・プールに行こうぜ!」田中はそう言う。
「プール・・ね・・・」
「それとも・・・T○Rにいく?・・・」佐藤はそう言って前売りを出している。
「・・・T○R・・・」佐藤に差し出されたチケットには、どう言って良いのかぼくはしりごみしてしまった。
・・・皆、昨日の事ホントに・・・差し出されたチケットを見て、僕はなんだか申し訳ない気持ちになっていた。
・・・皆、ぼくの事そんなに気遣ってくれて、でもぼくは・・・
「斎藤さん?」佐藤はいきなりぼくの顔を覗き込むと、そう耳もとで言った。
「あ・・なんでも・・・」
「ホントに・・・目、赤いじゃない?」
「何でもないの・・・ホントに」
「やっぱり疲れが取れてないんだよ」佐藤はそう言って高木と田中に何か言っている。
「・・・また、別の日にする??・・」
「・・・大丈夫・・・」
「無理しないでね・・・一人の体じゃ無いんだから・・・」田中は大げさなジェスチャーをしながら、ぼくの事を見つめていた。
「・・・ちょっと・・・田中君・・・」
「なにかな・・・斎藤さん?」そう答える彼の顔はおもいっきりニヤついていた。
「だれが・・・一人の体じゃないって?・・・」
「もちろん君の事!」
「このスケベ!」ぼくはそう言って腕を上げると、また田中は大げさなジェスチャーで答えた。
「ぼく・・・遊園地が・・・いいな・・・」
「「「遊園地〜?」」」三人は揃ってそう言った!。
「うん・・・いけない?」少し首を傾げながら聞いてみると、なんだかそわそわしている。
「何処でも・・イイって言ったじゃない?」
「それは・・・そう・・だけど・・・」
「・・・ぼくがイイって言うんだから♪・・・」そう言い、佐藤の手をとって笑った。
「・・・イイでしょ♪・・・」
「「「うん!」」」三人は揃って答えた!
「あ・・・あれに乗りたい!」ぼくはそう言って観覧車を指差した。
「なんだ・・・斉藤はお子様趣味か?・・・」そう田中は言っている。
「なによ・・・なんだっていいでしょ?」
「ま・・・斉藤さんが良いなら、ぼくはなにも言わないけど」そう鈴木は言っている。
「だってお嬢様だもんね!」高木は鈴木の言葉にそう相槌を打って笑い、田中に振りかえった。
「ほれ・・・ナイトが姫にたて付いてどうする?」
「ひめ〜?」ぼくは高木のつい口に出していた。
その口ぶりがおかしかったのか、佐藤も田中ももちろん高木さえも笑い出していた。
「・・・なによ、みんなして・・もう!」
「「「・・・斎藤さんどうぞ!・・・」」」観覧車から降りてベンチに座っていたぼくに、三人がスッと袋を差し出した。
来た時間が遅かったせいか、もう昼ご飯の時間になっていたのだ。
「・・・ありがと・・・」そうは言ったものの、差し出されたどの袋を取って良いのかぼくには判らなかった。
「「「ぼくのが美味しいから!」」」三人はハモって言い、互いに見詰め合っている!
「「「あ、てめ・・・真似すんな!・・・」」」そう、三人はまたハモった!
「・・・みんな、ありがとね♪・・・」ぼくはつい笑いながら三人から袋を受け取って、中に手を入れた。
「「「・・・そんなに食べるの?・・・」」」そうみんなが見つめている。
「・・・まさか・・・」ぼくは一つずつからバーガー・ポテト・ジュースを取りだしすぐそばに置いた。
「・・・じゃあ、いただきま〜す・・・」ぼくはバーガーを一口口にして、佐藤・高木・田中に笑いかけた!
「「「どう?」」」三人はなにかを期待するようにぼくのことを見つめている。
「うん・・・美味しい」そう言って三人に笑い掛けると、三人はベンチに腰掛けた。
「「「じゃあぼくも・・・いただきま〜す!・・・・」」」そういいながら、別の袋から同じようにバーガーを取りだし口にする。
「バクバクバク・・・・ムシャムシャムシャ・・・」
田中はあっというまに一つを食べ終わると、新しいのを取り出して口に運んでいる。
・・・いいよな、あんな食べ方・・・一口ずつバーガーを噛み締めながら、田中の豪快な食べ方を横目でちらちら見ていた。
「サク!」
佐藤はポテトを一つずつ口に運び、味わいながら食べていた。
自分で決めたリズムを守りながら、指先がパックと口を行き来している。
・・・綺麗な・・・食べ方・・・だね・・・横目に見ながらそんな事も考えていたぼく。
「プハ〜」
どっかで間違ってきたような声を出しながら、高木は口からカップを離している。
左手は腰の位置で(笑)
・・・おいおい、それが高校生の飲み方?・・・つい”つっ込んでしまいそうな気”がふつふつわいてきて、それを押さえる事にぼくは懸命になっていた。
「「「どうかしたの???」」」三人は揃って聞いてきた。
「なんでもないの♪」ぼくはそう言って、ポテトを口に入れた。
「・・・・・・」ぼくが答えても、じっと見ている三人。
・・・なに、こいつら・・・視線を感じ口に運ぶ手がちょっと震えていた。
・・・えと、田中は佳子の恋人だから、大丈夫だよね・・・とととと・・・
・・・あと、佐藤は委員長だから大丈夫(のはず)だよ・・きっと(笑)・・・
・・・さ・・さいごの高木は、キャプテンだしモテルし恋人の噂があるはず?・・・よね・・・
ポテトを口に運びながら、ふと視線を追いかけるとぼくの膝の当たりに来ている。
・・・まさか、だよね(泣)・・・自分の着ているのがミニスカートだった事に、今更ながら気付くぼく。
・・・ま・ま・まさ・・か・・
「・・・なにか・・・何かついてる?・・・」少し震えながらその言葉を口にして、なんとか三人に向いた。
「「「いや・・・あの・・・」」」でもなんだか、様子が変ではある。
・・・違った(ホッ)・・・ジュースを飲みながら改めて三人の視線を追いかけていくと、ぼくの膝ではなく(笑)別のものを見ているようであった。
・・・なにかな・・・首を振り、その先を確認するぼく。
・・・あ、これか!・・・
それは紙袋であった(笑)
三人は残っていた袋が気になっていたのだろうか、視線はそれに集中している。
・・・コイツらは(笑)まったく・・・原因がわかって、ホッとしたぼくであった。
が!
ちょっと悔しい気もしていた(変?)
「そっか」ポテトを口に運びながら、ポツリ言うと三人はぼくを見つめる。
「ぼく・・・バーガーとかポテトより魅力無いんだぁ・・・」
「「「そ・・・そんな・・こ・こと・はぁ〜・・・」」」
「そう・・・でも、ぼくのミニ!の事、なにも言ってくれないからサ・・・」
「「「あ!」」」
「せっかくだったから、思いきって着てきたのになぁ〜」
「「「え?」」」
「やっぱり・・・似合わないんだね、ぼくにはさぁ」ワザとらしくため息までついたぼく(笑)
「「「う!」」」
「ごめんね・・・バーガーなんかより魅力なくてさ・・・」
「「「あ・・・あの・・・」」」しどろもどろに口をパクパクさせている彼ら!
「プッ」
「「「?」」」
「プハハハハッ♪」
「「「あぁ〜」」」三人は揃ってぼくの事を指差している。
「「「和美ちゃん・・まさか?」」」
「うん♪」ぼくはそう言って、また笑った!
そんなぼくにつられて、三人も笑い出していた。
「今日はありがとう」そう言って遊園地の出口で皆に話し掛けた。
「いや・・・こっちも楽しかったよ和美ちゃん・・・」田中は満足そうな顔で、ぼくに答えている。
「そうだよ・・・和美・・・ちゃん・・・」
「斉・・かず・・・和美・・ちゃん・・・楽しかったよ」高木、佐藤までがそう言って頷いている。
・・・あれ?なにか・・・
「・・・また新学期に・・・」田中はそう言って駅に向かって歩き始めと、二人もついて行く。
「「「和美ちゃん!またね」」」
「じゃあ、新学期にね♪」ぼくもそう答えて歩き出した。
「・・・和美ちゃんか♪・・・」そんな事を思い浮かべてふと、名前を呼ぶ事が変わった事に気付いた(遅)
「そういえば・・・違和感なかったね・・・」思い出しながら三人の顔を浮かべていたぼく。
「・・・BF・・・と、いうのかな♪・・・アイツら」そんな事を考えながら帰宅したぼくであった(おいおい)
「・・・か・ず・み・ちゃ〜ん・・・」
後から佳子が声を掛けて来たが、ぼくは無視!して机に座ったままでいた。
「あの〜・・・時間が・・無いんだ・・け・ど・さ・・・」
段々声のトーンが変わってきているが、そんな事を無視!なのだ!
「あの・・和美・・・」亜紀はそう言いながらぼくの側にやって来たが・・・
「あ・・・腕の痛みが・・・取れないな〜・・」
ぼくが言うと佳子のとこに戻っていた。
今日は9月の最初の日、つまり2学期の始まりの日!なのだ。
今日は始業式と宿題の提出だけ(普通の人はね(笑)))
でも♪、普通でない人の為に特別に授業があったりする(もちろん宿題を提出できない人の為にね)
つまり、亜紀と佳子はこのままだといきなり授業がある(予定)なのだ!
だから、なんとかぼくの機嫌を取ろうとして色々していたのだが・・・
「腕が痛くてさ〜」
この言葉に近付けない二人であった(笑)
・・・ソロソロ時間だね・・・時計を見ながらそんな事を考えていると、廊下がざわついてきた。
そんな様子に佳子も亜紀も観念したのか席に座った。
ドアが開いて、姉ともう一人が入って来るといきなり教室がざわつきはじめた。
「静かに」姉はそう言ってクラス中を見渡しているが今回は静まらなかった。
「君達!・・・紹介できないぞ?それでいいのか!」その言葉に瞬時に静まる教室!
・・・おいおい・・・でも、そんなに気になる・・・の・・か・・なあ〜・・・彼女を見てつい立ち上がったぼく!
「ああ・・・エリー・・・」
「あ♪・・・わた飴♪」
彼女はそう言ってぼくに抱き付いてきた!
その日のHRが潰れたのはもちろんの事、亜紀と佳子まで助かってしまった。
その上
「ミスわた飴♪」
ぼくに新しいニックネームがついたのは言うまでもなかった(はぁ)
8話へ続く
ども、mk8426です。今週も週刊「和美ちゃん」がやって参りました(爆)。
海では嵌められて楽しめなかった和美ちゃんも、男子たちの計らいで楽しい休日を過ごせました。
そして、楽しい夏休みが終わると思いがけない再会が!さあ、どんな2学期が待っているんでしょうか?(笑)
2004.03.24 mk8426