和美ちゃんスクールライフ

和美ちゃん 2話

作:kagerou6

 

「みんな席について・・・」姉の声がクラスに響く。

ホームルームの時間になり姉は担任として教室に入っていった。
「今日は皆さんに転校生を紹介します」姉は僕の脇に立ち肩に手をまわす。
「一部の人は知っているかもしれませんが改めて紹介します」
「さ、斎藤さん・・・」姉は僕を押し出す。
僕は皆の視線を感じて緊張していた。

「あの、僕が斎藤和美・・・」そこまで言って僕はしまったと思い、話すのをやめたがもう遅かった。
「先生、和美ちゃんて男の子なんですか?」脇から女子の声が掛かり他の人は大笑いだ!
「もう、仕方ないわね。斎藤さんは女性です」姉は笑いながらそう答える。
「でも先生、”僕”なんておかしいです」また同じ声が飛びかう。
「そうだ、証明しろ!」今度は男子がそう話を続ける。
「斎藤さんはスカートをはいてるのよ」姉は僕の足を指差してそう呟く。
「こんなきれいな足をしている男の子がいるかしら?」そう呟いて僕に微笑みかける。
僕は顔を赤くして俯いた。
・・・なんだよ、そんな事を言うなよ・・・

「可愛いー」さっきとは違う声が響く。
その声にますます僕は顔を上げる事は出来なくなった。
「まったく・・・和美!しっかりなさい」姉はそう僕に呟いていた。

「先生?その子先生の知ってる子なんですか・・・」話しを聞いていた女子がそう質問をしてくる。
「鈴木さん、そんな事気にしなくても・・・」姉はそうはぐらかそうとしているがもう遅かった。
「ね、和美ちゃん!」その鈴木さんは姉の事などどうでもいいかの様に僕に話し掛けてくる。
僕は余りのその迫力に姉を見上げた。

姉は静かに呼吸を整え
「皆さん静かに・・・・」小さいけど反抗の出来ない迫力を含んだ声で皆を押さえる。
「和美はそこの椅子に座る!」姉はそう言って椅子を指差す。
「いい?質問は一人ひとつ・・・あと、自己紹介もする事、良いわね」姉はそう言って別の椅子に座った。

「初めに私から・・・」さっきの鈴木さんが立ちあがる。
「私、鈴木佳子・・・質問ですが二人の関係は」そう3面記事のレポーターみたいな問いかけに周りが爆笑する。
「さ、答えて・・・」姉は僕を見てウインクする。
「改めまして、斎藤和美です・・・ココにいる晶先生は僕の姉で・・・」
「うそー似てない・・・」
「でも、可愛いからやっぱり・・・」
答えがどうでもかなり反応の良いクラスみたいだ。
「さて次は誰?」姉はそう言って次の質問者を促す。
しばらくそんな受け答えが続いたが質問者が出なくなった事を確認すると姉は椅子を立ち黒板に名前を書き始めた。

斎藤和美

「もういないようね?後何も言っていない人は自己紹介をして」姉はそう言ってまた椅子に座る。
・・相変わらずあの人は・・・僕は姉を見つめそう思った。
姉は昔・・・昔なら兄か・・・から、自分の思い通りに行かないと強引に進めるから。
まったく変わってなくて嬉しいやら悲しいやら・・・
僕は自己紹介を聞きながらそう感じていた。
・・・しかし伯父さんの”そんな訳”ってまさか・・・僕はあの言葉を思い出し姉を見つめる。
僕の視線に気付いたのか姉は笑みを浮かべた。

僕はその微笑を見て悟った
姉が僕の担任でいるわけを
姉・・・兄は家を嫌って出たが今までココにいる事は誰も知らなかった。
その姉が僕の前に出てきたのはやはり・・・
「口封じかな・・・やっぱり」僕はつい声に出していた。
僕の声を聞いていたのか姉の顔ははっきりとした笑みが浮かんだ。

「ね、和美ちゃん・・・」ホームルームが終わって僕は机の前でぐったりしていると後ろから声が掛かった。
さっきの鈴木さんだ。
「えー・・鈴木さんですよね」僕は思い出しながらそう彼女に呟く。
「やだな・・・和美ちゃん、佳子でいいわよ」彼女は笑いながらそう言って僕の隣の椅子に座る。
「和美ちゃんはどうして転校なんかしたの?」佳子はそう言う。
「ちょっとワケありで・・・」僕は言葉を濁して答えた。
「どんなワケ?気になるな・・・」佳子はしつこい性格みたいでそう僕に聞きたがる。
「言える時が来たらきちんと説明するから・・・」僕は悲しそうな顔をして佳子から顔をそむける。
「ご・・ごめん、今の無しにして・・・」佳子は慌てて僕の機嫌をとろうとしている。
・・・・ごめんね佳子ちゃん、言う事は無いけどサ・・・僕は心の中で彼女に謝った。
まさか恋人を作るために来たとは言えないから

「和美ちゃんは何が得意なの・・・」いきなり別の話題を振ってくる。
「得意って・・・何が・・・」僕は佳子の顔を見てそう答えた。
「お勉強・・・」彼女はそう言って笑う。
「お勉強って・・・」僕は首を傾げ彼女を見つめる。
「ほら、転校してくる時編入試験があったはずでしょ?」佳子は言う。

「えーと・・・」僕は言葉を詰まらせた。
得意科目は有る・・・前の学校で結構良い成績だったし・・・しかし・・・
「余り聞かないで欲しいな・・・」僕はまた悲しそうな顔で佳子を見つめた。
「どうして・・いずれは判る事なのに・・・」彼女は不思議そうに言う。
・・・でも、今はまだ知られるとまずいんだよ・・・僕は口に出さずに彼女を見つめた。
・・・僕自身どんな風にすれば良いか判らないから・・・そんな思いを瞳に込めて。
彼女は何も言わないまま自分の席へ帰っていった。

授業のたびに僕は先生に自己紹介をしていた。
中にはいきなり問題を出され僕はあせった。
・・・この問題を解いて良いものかと・・・

僕はちらちら後を見ながら黒板に書きこんでいく。
書かれた答えに一部は驚き、一部は笑った。
「斎藤さんありがとう」先生はそういって僕を机に帰す。
そんな事があってお昼休み、僕はぐったりしていた。

「和美?ご飯は・・・」佳子がお昼を誘いに来てくれた。
「・・うん・・」僕は机に伏せたまま彼女に返事をした。
「ココはパンとか売っているところはあるの?佳子」僕は他の女の子がそうするように彼女のことを”佳子”と呼ぶ事にした。
「ココは購買があるから、そこでパンなんかを売っているわ・・・でも、どうして?」
「うん・・・お弁当無いからどうしようかと思っていたんだ」
「いいわ、あたしも今日はお弁当無いし付き合ってあげる」彼女はそう言って僕を連れ出した。

「ココが購買よ・・・」彼女はそう言って生徒が並んでいる場所を指差す。
「人気はかつサンドかな・・何時も売り切れになるの」彼女はそう言って笑った。
「さて、今日は何があるのかな・・・」彼女は後ろに並んで僕に話しかける。
「サンドイッチやカレーパンは多いから結構有るはずなんだけど・・・」彼女はそう言ってパン箱を見つめる。
「あ・・・これとこれください」彼女は箱に手を入れパンを差し出しお金を払う。
僕も彼女のまねをしてパンを買った。

「外で食べない?」佳子はそう僕を誘って中庭につれて行ってくれた。
「この樹はもう少ししたらきれいな花がつくのよ」
「何の樹これって・・・」僕は彼女に聞いた。
「桜の樹よ・・・」彼女は笑って答える。
「え・・僕達1年だよね・・何でそんな事知ってるの?」僕はつい聞いていた。
「あたしン家この近くで良く知っているの・・・」彼女はそう行って家の有る方角を指で指した。

「佳子って・・・世話好きなんだね・・・」パンを食べ終わって僕は隣に座っている彼女に言った。
「え・・・なんで・・・」彼女は驚いて僕を見る。
「だって、僕の事・・・」
「そんな事言ったのあなたが最初よ・・・和美!」彼女は笑っていった。
「でも・・・佳子・・・」
「あたしはそんなつもりなんかじゃないからさ」
「じゃあ、なんで・・・」
「強いて言えば・・・」彼女は言葉を切った。
そんな彼女の言葉を僕は真剣に待っていた。
「強いて言えば・・・晶先生の妹だからかな!」彼女はそう言って笑った。
僕はそんな彼女につられ笑う。

「はアー・・・長い一日だった」僕は授業が終わってつい呟いた。
こんなに疲れたのは初めてだからだ。
何しろ普段男で過ごしていたのに今日から女・・・しかも一日中・・・でいなければならないからだ。
勉強の内容よりそっちの方が疲れる原因だった。

「恋人か・・・こんな事で出来るのかな」僕は荷物を纏めながら呟いていた。

「和美!まって・・・」そんな僕の後から声が掛かった。
姉だった。
「姉さん・・・今日もう終わりなの」僕は普通に話す事にしていた。
”僕”といった一言でもう”私”とかは言えなくなっていたから。
「和美はどこに住んでいるの?」姉はそう話を切り出した。
「今は、ウイークリィだけど・・僕はアパートを借りようと思うんだ・・・」そう言って伯父に渡された不動産屋の地図を見せる。
「そう・・・」姉は一言呟くと、何やら考え込んでいた。

「どう?あたしと一緒に住まない・・・」姉はいきなりそう言って来た。
「ね・・・姉さんと・・どうして」僕は姉の提案に驚き質問を返す。
「ほら、女の一人暮しは物騒だし・・・」姉はそう言い訳をしている。
・・・そんなはずないでしょ!・・・僕は突っ込もうとしたが止めた。
「あたし、一人で寂しくて・・・・」姉は話を続ける。
僕はただ聞いていた。
「それにお料理苦手でサ・・・」
・・・それが本音か・・・僕は姉を睨みつける。
「そんな怖い顔をしないで和美ちゃん!」姉はいきなり”ちゃん”扱いだ。
「お姉さんのお願いきいてくれないの?和美ちゃん」

「つまり僕に家事をやれと・・いうわけですね」僕は姉を見つめた。
姉はただ笑っている。
「姉さん・・・まだ何か・・・」僕はそんな時の姉が一番ヤバイ事を思い出した。

「最近あたし物入りで・・・」姉は笑っている。
「だめだよ・・・お金待ってないんだから僕は・・・」そう反論する。
「どうして?」
「親が契約するに決まっているでしょ、まったく」僕はそう姉に言った。
「なんだ、期待してたのに・・・・」姉は呟いてまた考え込む。
「そうだ、和美の事バラシちゃおっと・・・」いきなり言い出す姉!
「・・・ちょっとどうしてサ・・・」僕は姉を睨みつける。
「だってそうすれば父さん、お金出してくれるわよね?」姉はそういう。
・・・おいおい、自分の親を脅すつもりなのかこの人は・・・僕は倒れそうになった。

「あ、本気にした?」姉はそんな僕を見ていて言い出した。
「嘘!・・・ホントは別の理由なんだ・・・」姉はいきなり辛そうな顔を見せる。

「ま、説明するのもココではなんだし・・あたしの処へ行こ?ネ」
僕は姉の車に乗せられ、マンションに行くことになった。

 

3話へ続く


ども、mk8426です。週刊「和美ちゃん」の時間がやって参りました(爆)。
どうでしょう、掲載間隔はこれでいいでしょうか?もっと短くとか、もっと間を開けてとか、ご意見ありましたら感想と一緒にでも掲示板にカキコしてくださいね。

2004.02.18  mk8426

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