「華代ちゃんシリーズ」


レディースシート

いわきのぞみ(原案:mk8426)

*「華代ちゃん」の公式設定については

http://geocities.co.jp/Playtown/7073/kayo_chan00.html を参照して下さい


【前編】


こんにちは。初めまして。

最近は、右を見ても左を見ても、本当に心の寂しい人ばかり。そんな人達の為に私達は活動しています。私がお側近くを通りかかりましたその時、心のお悩みなどございましたら是非とも、お申し付け下さい。私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散させてご覧に入れましょう。

どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。え?報酬ですか?お客様が心底 ご満足頂ければ、それを常識的な目安にさせていただいております。

さて、今回のお客様は…。

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「『のぞみ』の指定席、新大阪まで4人様分でしたね、こちらが乗車券、そしてこれが座席指定券になっております。」

航空会社の受付カウンターを連想させるユニフォームを身に付けた 窓口の客務員は愛想笑いを浮かべながら、そう言ってカウンター越しにチケットを手渡している、その隣の窓口では、極めて事務的に予約管理コンピューターに向う客務員の姿。どこにでもある駅のヒトコマである。

 

「いやー、すいませんねぇ、新大阪行きの[のぞみ号]なんですが3時間後の21時発の全列車まで、すべて満席ですねぇ。あいすいません。」

 

口ではそう言いながら、表情はちっともすまなさそうではないし、それ以上の乗客への気配りなど彼らは考えてもいない。当駅窓口では売り切れていても、他駅には[余剰]している事など日常茶飯事なのだが[民間企業という器]の中味は[公務員]という特殊法人では、せっかくのコンピューターシステムもレジスターとワープロ以上の機能を果たす事などない。

 

だが 窓口で落胆する、そんなカップルに近づき話し掛けた女性がいた。

「すみません、ついお話が聞こえてしまったので。乗車券はお持ちなんですよね?良かったら この指定券、お使いになりません、発車まで10分程しか時間がないんですけど・・・」

「え?・・・」
「あ、あら」

「行き先は[新大阪]までなんですけど、うちの経理社員が間違って余分に予約していたらしくて、よかったら実費でお求めいただけたら こちらも助かるんですが。」

カップルに異論があるはずもなかった。見知らぬ女性からの突然の申し出は このカップルにとっては,神の計らいにも等しかった・・・神・・・そう・・・提婆達多(ダイバダッタ)も、死神も どちらも神の1人なのだが・・・

 

ー・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・

【新大阪行きの「のぞみOOO号」は車内に不審な荷物が発見されました為、発車を見合わせております。「のぞみOOO号」ご利用のお客様は反対側、O番線ホームの臨時列車をご利用ください。お急ぎのところ、たいへん・・・・・・。】

 

動脈幹線の専用ホーム。人々が溢れるその空間には、実に多種多様な人が行き交う。そんな光景の中でも一際目を惹く女性がいた。

バックラインには大きめのスリットが入ったプリント柄のミニスカート。、一歩、また一歩、ホームのアナウンスに急かされるようにして女性が階段を駆け上がる度、そこからはシーム入りのストッキングのセクシーな脚線が顔をのぞかす。そんな四肢を惜しみなく振りまいて階段を駆け上がるコート姿の女性は、周囲の目を惹いた。

その女性が階段の最上部に差し掛かると、さらに脹ら脛まで観察できるようになり、その均整の取れた脚を見ることが出来た。

 

RrRuRuRuRuRuRuRuRuRuRuRuRuRuRuRu

 

【18時25分発:新大阪行き「のぞみOOO号」発車いたします。ご利用のお客様は、お側近くの乗車口よりお急ぎ、ご乗車ください・・・お見送りのお客様は列車発車の際、たいへん危険ですので・・・・・・。】

 

ホームのステップロートに立った女性達のスカートの裾から僅かにのぞく、その足首は、とても美しいラインでくびれ、踏み出す一歩で出来るアキレス腱の緊張がまた、とても美しい。

となりに寄添う男性の身長に合せての事だろうか、女性の履くヒールはかなり高く、その先端は鋭利な刃物を連想させる鋭さでくびれた足首と相まったそれは、完成度の高い彫刻のようなオーラを発散していた。シームの入ったストッキングが彩りを加え、見る男性は皆、その美しい脚線の虜になっている。

 

フオオオォォォォォンンンン

その魅力的な脚線は、脹ら脛に可愛い筋肉の張りを作りながら、小走りにハイヒール独特の足音を響かせて列車に乗り込んだのを合図にしたように、発車を報せるタイフォンがホームに鳴り響き、列車はゆるゆると走り出した。

フオオオォォォォォンンンン

指定列車に乗り込んだカップルが手元のチケットに打刻されたリザーブナンバーを確かめながら 自分達の座席にたどり着いた頃には列車はすでに駅を遠く離れていた。

 

2人の乗り込んだ列車の窓の外には、この列車から入れ替わりに降りた乗客だろうか、疲れた表情を隠そうともせずに会社員達がホームに行き交う。その行き先は皆さまざまだろうが、そんな何の変哲もない漠然とした光景も、このカップルの眼には入らなかった。

ちょっと長めのスカートの女性がシートに腰を落として、軽く足を組むとコートの裾はサイドへ流れ、センターには、超ミニからのぞく至福のデルタゾーンが見る者を挑発しているかのようだ。

驚いた事に、その席は最近、NRが「売り」にしている2階建て車両の上中央部分にあった。さすが民間になった途端、金もうけが上手くなったNRらしい配慮で、その席はしっかりグリーン車扱いになっているが、カップルが先程の親切な女性に支払った金額はグリーン料金ではない・・・・だがカップルは、夕焼けに染まりながら列車の車窓から後方へ飛び去る最高の「眺望」を目の当たりにして、そんな事はどこかに消し飛んでいた。

 

その2階建て車両には、発車してからも随分空席が・・・・・というより座っている乗客は数えるほどしかいない。しかし不思議な事に、さっきの親切な女性の姿が見えない?・・・

「横浜名物のシュウマイにビールにおつまみぃ、ワサビ漬はいかがでしょうかぁ〜」

車内販売の売り子の声につられて、缶ビールと簡単な「つまみ」を買って2人が喉を潤し始めた・・・。今、小田原駅まで数キロの車内に、そんな和気藹々としたカップルの姿がある

「この辺まで来ると さすがに風景も緑が多いのね。ゆかりさん」

「おいおい、この格好の時まで[ゆかりさん]は勘弁してくれよ。せめて文男って呼んでほしいな」

「あら、ごめんなさいアタシったら。ふふっ失礼しました。じゃ[ふ・み・お・さ・ん]・・・うふふ、でも昔の自分の名前を呼ぶのって、なんだか照れくさくって・・・。[ゆかりさん]ってお呼びになられるのも、止めてほしいな。[ゆかり]って呼び付けにしてくださいな。これでも今は、貴方の奥さん候補なんでしょ」

「あははははは、そうだったね、相原文男はキミの昔の名前。今の貴女は前島ゆかり・・・そして・・・・わたしは・・・・・?」

「その前島ゆかりの・・最愛の婚約者、相原文男・・・でも、こんな“イミテーション”じゃ役不足なのかしら?」

「また、そんなに意地悪な事を言う。わたしなんかよりもずっと[前島ゆかり]にふさわしいじゃないか。わたしをこんな獣にしてしまうぐらいに」

何か言おうとした前島ゆかりの唇は、相原文男に奪われてしまった。そしてその互いの唇のぬくもりが、2人の間に言の葉の必要をなくす。

誰が見ていたとしても、何の違和感もない男女の愛の交情儀式・・・。だが?今の2人の会話はいったい何だと言うのか?

「ふぅ、、このオトコ殺しの子悪魔め・・・」

「いけないかしら?でも、ボクをこんな子悪魔にしてしまったのは貴女にも責任があるのよ?あの日、貴女がワタシをそそのかさなかったら・・・」

「あっはははは・・・今はこんなシアワセになんか なっていないさ。あの時の事がなかったら」

「知らない・・・悪いヒト・・・・」

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あの日・・・・・・それは、[ゆかり]がまだ自分の中に存在するもう一つの人格を自覚出来ないでいたまま、いいや、そうじゃない持て余していた『男性:相原文男』として生活していた時のことだった。そして彼の運命を左右するきっかけとなった人間こそ[前島ゆかり]その人だったのである。その出来事を読者に説明する為に、ここで、少しだけ時間を溯ってみよう。

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それは2人が勤める会社のオフィスから始まった。

「ふぅ〜・・・」

「あら?どうしたの?、そんな溜め息なんかついちやって、何を考えているの?この週末、忙しすぎて女装出来なかったから?」

「え!?・・・な・・・なんのコト・・・」

「大丈夫よ。誰にも言わないから。見ちゃったのよ、相原君が、先々週の週末の夜、『女装』して飲み歩いてるトコロ・・・・・・」

「えっ!そそ、そんなの、あの・・・・誰かの見間違い・・・冗談、で・・・でしょ」

「呆けなくてもいいのよ。あたし この眼でしっかり見ちゃったのよ。ねえ、今度一度『女装』してみせてよ。ね、いいでしょ。駄目かしら?・・・・・・今日、一緒に残業だって解ったから、お洋服や『イロイロな物』用意してきたの。それに・・・ねぇ?あたしみたいな男勝りなオンナってキライ??オトコになりたいオンナだっているのよ」

『え?それって、もしかして・・・』

相原の勤務する「経営コンサルティング事務所」で、彼女[前島ゆかり] は そこのビジネスクリエーターとして活躍している女性スタッフであり、相原にとっては上司でもあった。

突然その女性上司が自分の女装性癖を看破しただけでなく、自らもTSであるとカミングアウトしたのだから相原の驚きは半端ではなかった。それから数時間後、2人の姿はシティホテルの一室にあった。

 

「あら、ねぇお肌がとってもキレイなのね。まだ駄目よ、顔を動かしちゃ」

前島ゆかりは相原文男の顔全体に、丁寧に まるで染み込ませるように、パテ状のファンデーションを丸いスポンジで塗り広げ、相原文男はその度に自分の顔が、厚ぼったくなるのを感じていた。それを何度もくりかえしてから、慎重に、何色ものアイシャドーを使ってアイ・メークを施してウォータータイプのアイライナーで目鼻立ちをスッキリした印象に仕上げてから、二重まぶたの縁に「付け睫毛」を貼りつけた。

前島ゆかりは流れるような手つきで、まるで自分の顔にしているように、ほほ紅、鼻梁 のサイドには薄い茶色、そして口紅と、楽しそうに相原文男の顔を彩ってゆく。

「これ被ってね!アナタの『女装姿』を目撃した次の日にさっそく買ってきたのよ。そのまま動かずにいてね」

前島ゆかりは、メイクを終えた相原文男の頭にウエーブのかかった栗色のウイッグをかぶせると、ブラシでウイッグのスタイルを整え、その背中に少し、もつれてかかった部分をたたく様に櫛けずってボリュームをつけた。

「うわー、想像していたよりも、チャーミンクじゃない!ねぇ、早く見てみたいでしょう?はい、これでどうぞ」

差し出された、コンパクトの鏡の中にいる自分を見てびっくりしたのは、当の相原文男だった。なぜなら、ある意味ドギツイくらいの厚化粧に感じた程の念入りなメークアップに 恐らくかなりドギツイ、お化けメイクの延長だとばかり思っていたのだ。

だが相原文男の頭と顔の半分以上をカバーしているウイッグから、覗く彼の顔からは、徹底的にオトコのイメージを消し去ってはいるが、けしてドギツさではない、セクシーメイクの女性に変身させていた。

「どうかしら?あたしのメイク技術もマンザラ捨てたものじゃないでしょ。自分がそんなにチャーミングな女性に変身したって信じられる?」

言葉もなく、ただ、小さな鏡を見つめたままで、彼女の言葉に首を横に振るしかない相原文男がそこにいた・・・・・・

よりによって、自分の職場の上司に、こんな格好をさせられて・・・誰にも知られたくなかったのに・・・相原文男の心臓は爆発寸前だった。

 

「ねぇ、もったいないでしょ。『顔』だけがそんな美人なのに。ほら、遠慮しないで、こんなステキなランジェリーもあるわよ」

「あの、『女装』なんて・・・あたし別に。・・・メイクは冗談のツモリでしてもらったけど、こんな・・・・これじゃ、本格的な『女装』じゃないですか・・」

「ふーん・・・冗談のつもり、かぁ・・・・本格的な『女装』・・・ねぇ・・・それじゃ、コレは何?」

『あっ!!』

ホテルの室内、、絨毯の上に放り出された何枚ものカラーフォトに踊る「妖しの女」、それは紛れもない「相原文男」自身の女装した姿だった。

しかも只の「女装」ではない。あるフォトは緊縛に歓喜の涙を流し、又、別なフォトは、恥辱に彩られた女性下着による猿轡をかみ締めて、甘美な桃源郷に遊んでいる・・・いずれも「宴会の余興」などと言う「間抜けな良い訳」が通用する筈もない、あくまでも自己の性に対してのみ真摯なポーズの物ばかりだったのだから。

「サテ、どうしましょう、か?・・・これ以上は無理にとは言わないけれど・・・貴方がどうしてもイヤなのなら、オシマイにして そのお化粧もおとしましょ」

そっけない女性の言葉に、彼は氷のような冷たい感触に抱き付かれた。

「え・・・そ、そんな・・・」

「ふうーん・・・別に良いのよ。アタシは・・・・・・どっちデモ・・・どうする?・・・・・脱ぐの?脱がないの?それとも、そのスラックスの下に隠しているステキなランジェリーの方がお気に入りなのかしら?・・・すべて知ってるのよ。さっさと脱ぎなさい!」

 

キャカ、チャキ・・・ズロッ、バサッ

女郎蜘蛛の巣に引っ掛かった昆虫でも、何とかもっと逃げようがあるのではなかろうか・・・・・皮肉なほど明るい室内照明の下で、蕭然として立ちすくんでしまった相原文男は、やがて観念してスラックスのベルトを外し出すしかなかった。

「あら、下着女装はしていないのね、アナタって。それじゃトランクスも、上も全部脱いでしまってちょうだい」

 

前島ゆかりは、そんな相原文男の下半身をしっかりと確かめると、彼の目の前で自分の着ている衣類をすべて脱ぎ始めた。スカートを脱ぎ、セーターを捲り上げて丸めて脱ぐ。カタチの良いヒップをつんと突き出すようにして、その脚に貼り付いた素肌の肉色を浮かびあがらせる漆黒のパンティストッキングと、漆黒色のパンティを、これみよがしに見せびらかしながら脱ぎ捨てた。

ピリリ・・・・パトッ、プトッ

その女性の下半身の全て、脚線から花弁までを刻印した妖しい下着を脱いだ時に前島ゆかりの股間から、何か白い物が絨毯に落ちた?ナプキン!・・・・・?だが、それはほとんど未使用の(汚濁血にそまっていない)前島ゆかりの妖しく湿った花弁を象っているだけの2枚のナプキンだった。

「さぁ、お穿きなさい。今までアタシの穿いていた、そのパンティとパンティストッキングを!アタシからのプレゼントよ。アタシの目の前でに穿いてみせてごらん」

前島ゆかりが脱いだばかりのパンティとパンティストッキングを手にした相原文男は、自分の手と指に生々しく伝わる体温と湿りに、思わず下半身を熱くしてしまっていた。

もう、このパンティとパンティストッキングに着替えるしかない。それは義務でも強制でもない、溢れかえった前島ゆかりの熱いたぎりを吸い取ったパンティとパンティストッキングをむさぼる様に身に着ける事で、彼女自身の脚線と花弁を自分の身体に刻印したい・・・彼女自身になりたい・・・たとえ視線にさらされながらであろうと・・・・

 

パンティに片方ずつそっと脚を指し入れて、静かに上に引き上げると下腹部の男性部分が柔らかく圧迫されて、その柔らかな感触はやがて彼の腰を包み込む。

「女性ならナプキンも必要よね・・・どうする?」

下半身全裸の姿で前を隠そうとともせずに、仁王立ちのまま床の上のナプキンを指差す前島ゆかりに、相原文男は黙ったまま、ナプキンを拾い上げると一度パンティを降ろして、自分の股間にそっと宛がった。

パンティを元に戻しパンティストッキングを穿いた彼の、まさに股間の皮膚の部分にまだ生暖かいジュワっとした滴りが広がる・・・性の湿気・・・・身に着けたパンティストッキングから透けて見えるパンティは、そんな状況に影響されたのか、まるでバナナでも隠しているような起伏がハッキリと確認できてしまう。

「あら?、女の人なのにどうして、そんなところが、大きくなるのかしら?ふふふ、虐めたら可哀相ね。良いのよ、自分の心に素直でいて・・・」

露骨なほどの相原文男の反応にも微笑みこそすれ声も変えずに前島ゆかりは、一度だけ大きく息を吸ってから、自分も着ていた衣類を脱ぎ捨てた。そして乳首が勃起した相原文男の胸に、たった今まで自分のバストを覆っていたブラジャーを宛がって着けさせた。

「可愛いじゃない。アナタ、色が白いから こんな色の方が映えるのよね。アナタに着せてあげたかった」

光沢ある漆黒色のパンティとお揃いのブラジャーは前島ゆかりの体温だけでなく、豊潤なオンナの甘酸っぱい体臭をタップリ含み、まるで彼女の全身を皮膚だけ移植したような錯覚さえあたえてしまう。

 

そのブラジャーのウエストのベルトは丁度良いサイズだったが、肝心なバストは、カップがブカブカでどこかユーモラスですらあったが、前島ゆかりはバッグの中から、液体を詰めて野球ボールよりも一回りほど大きく膨らませた二つのコンドームを取り出すと、それを相原文男の着けているブラジャーノのバストカップの中に押し込んだ。コンドームの中の液体の冷たさで一瞬、彼の表情がかわる。

前島ゆかりは、そんなことにはお構いなく、今度はやはり自分が身に着けていたパンティやブラジャーと同系色のスリップを、相原文男の頭から被らせるようにして着せてから肩紐を調節して、ブラジャーの隙間から見えていた、液体入りのコンドームを覆うようにして、見事なバストラインを創造してしまった。

 

「とってもステキよ。あら!・・・もうこんな時間?早いわねぇ。楽しい事してると、どんどん時間がたっちゃう。ハヤクしないとね。アタシも着替えるわね。キミの服、借りても良いんだけどアタシの方が背が高いから」

 

「・・・・やっぱりオトコは楽で良いわぁ・・お待たせしたわね」

 

相原文男は、そう言いながら部屋に戻って来た前島ゆかりを見て眼を見張ると同時に声を失った。その部屋のドアの所に照れくさそうにして立っていたのは・・・誰?

いや・・・相原文男は知っていた・・・見た事がある。戸口に立って静かに微笑んでいる、その【男性】の顔を・・・

「悪かったね、こんな回りくどいやり方で。あの店でのキミを見た時は驚いてしまった。だけど、ボクは・・・」

宝塚歌劇のようなハデハデしさなどもなければ、目立ちもしないが、そこには美青年と表現するにふさわしい、上品なカジュアルウエアに身を包んだ青年・・・男装の前島ゆかり・・・がいた。

そこから先に言葉という記号は不要だった。なぜなら、2人はまるで磁石のS極とN極のように、どちらからともなくお互いを求めて抱きしめあっていたのだから。

「やっぱり思ったとおり、キミは女性の下着を身に着けてみたかっただけじゃなかったんだね?そんな事だけじゃないって、キミを見て思ったからこそ、自分の心の中にずっと隠していた秘密を何もかも 私にさらけ出してほしかったのさ」

「・・・え・・・あ・・・あの・・・」

「ふふふふふ、でも、もうそんなに慌てなくっても良いんだよ。だってキミはこれから一生、[ゆかり]ってオンナとして生きる事ができるんだからね。知ってるんだぞ。キミが女装した自分の事、[ゆかり]って言っていた事・・・・こいつめ・・・この可愛い唇が言ったのかい・・・ふっむうっ」

「ご・・・ごめん、むふ、うっふううむむふぅぅ・・・」

・・・・あれほど願望していたパンティのソフトな感触とパンティストッキングの股間へのサポート感・・・・胸を締め付けるブラジャーの不思議な感覚とともに相原文男の心に染み渡る前島ゆかりの唇のぬくもり・・・・。

相原文男の眼の少し上をウイッグの前髪が切なく くすぐって、思わずため息が出てしまう。

「ステキだよ。プロポーションも・・・ふふふふふ、可笑しいね・・・こんなモノ」

「うぐっ・・・前島さん・・・や・・・やめて!・・・い・・・痛い・・・」

 

「まぁ・・・可哀相・・・折れてしまいそう・・・いっその事、取ってあげたいぐらいだけど『それ』があるから 良いのかな?・・・さぁ キミの心が求めているように生きて良いのよ。私も協力してあげるからね・・・・それからボクは今から[マエシマ]じゃなくって[アイハラ]・・・前島ゆかりの 恋人の相原文男・・・いいね」

 

これもプロポーズなのだろうか、お互いの持って産れた[性]の倒錯を認め合う男女の抱擁は、常識世界から見たなら異形かも知れないが、その慟哭には一点の曇りもなかった。

 

「さてと、ボクの大切な お姫様は[縄化粧]がお好きなんだっけね。その写真みたいに・・・さぁ、手を後ろに回してごらん」

「え?・・・で・・・でも・・・」

「どうしたんだい?そんなに震えたりして・・・恐いのかい?」

「・・・いいえ・・・信じられなくて・・・こんな・・・こんな夢みたいな・・・」

 

シュシュシュ、シュラシュラ、シャシャシャシャ

 

男装の前島ゆかりの腕に抱きしめられながら、そうつぶやくのは、大人っぽさの中に可憐さの残る、そんな自分の心の理想の女性を装う、相原文男だった。今、この瞬間、両者のメンタルセックスは解放されてお互いを求めた。

背中に捻りあげられた可憐を帯びた女装者、相原文男の両手首に、男装の前島ゆかりの操る 真っ赤なロープ縄がかかる。腰のやや上で交差した両手首に巻かれたロープ・・・女性上司によって女装させられただけでなく、部屋の床に跪いて縛られている惨めな筈の自分の気持ちの中に、その縄の戒めを甘受している心があった。

「うぅ・・っ、い・・・痛い・・・けど・・・嬉・・・し・・・い・・・・」

真っ赤なロープは生き物のように、もはや女性にしか見えない相原文男の腰にも巻きつくと、そこにさらに別な長い真っ赤なロープが追加されて 結ばれていく。

「えっ・・・・・?」

今度はパンティストッキングに包まれた相原文男の両足首がキチンと揃えられて、そこにも真っ赤なロープが何重にも巻き付く。

「・・・・あふっ・・・そんなトコロまで・・・・」

そのロープは、相原文男の股を潜り抜けると、腰の上の縄に絡み付く、・・・・・・・股縄が掛けられた・・・。さっきと、同じように、別なロープがそこに結び付けられて太ももまでボンレスハムの様に巻きついた。

だけど、それぞれのロープよりも厳重に相原文男を縛めたのは、前島ゆかりの告白だった。

キシュッ!ジギュシュ、

「ステキだよ・・・あの店で女装したキミを見た時からボクは、こんな風にキミを愛したかった・・・ボクの恋人になってくれ」

 

トランスセクシャリストは何も、[女性]になりたい[男性]ばかりとは限らないのだ。彼女、前島ゆかりも又、そんなTSホッパーの1人だった。

 

そこから先、2人はプライベートタイムになると、お互いに自分の性に従順になって、相手を愛し、そして愛された。そんなシアワセな日々が続いたある日、初めて2人だけの関西旅行に出たのが、今回のドラマの舞台でもあった。

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そして時間は戻る

コゥー、シュ、ツシュッシュシユッ、コウー

車窓の風景は すでに紫の余韻を残した薄墨色に変わっており、農地から市街地に変わると酒匂川を越した列車は間もなく、箱根山を借景する小田原駅を通過してトンネルに入っていった。

コゥー、シュ、ツシュッ
バヒュン、シュオゥン、シュンシュンシュンシュンシュンシュン、
ドゴオウゥゥンン、ビュッシュンシュンシュンシュン

一瞬にして、窓一面が闇色の塗幕に覆われる。通過待ちの列車に反射した衝撃波音は速度とリンクしたままトンネル内の空気を切り裂き、加速音と入り交じって防音マドと車体を振るわせる。

今、グリーン車の二階席で、隣の男性の肩にそっと頭を乗せ 互いの手を堅く握りあって指定席に収まっている女性。そんな仲むつまじいカップルには、そんな数奇な性的嗜好が横たわっていたのだ。

 

それ程長いトンネルではない・・・2人を乗せて走る列車の車窓からは、間もなく右側に青々とした葉を陽光に輝かせるミカン畑、そして左側にはブルーのフェルトを敷き詰めたような太平洋が、家々の間から見える・・・筈だったのだが

 

きしゅー・・・・・・ブシユワウゥゥウウゥゥゥゥゥゥゥウウウゥゥゥゥ
列車は新しい世界に向かって徐々に速度をあげ、車窓の景色は漆黒の中でトンネル内の要所要所に設置された誘導照明の光だけを、どんどん後方に飛び残して行く。

コゥー、シュ、ツシュッシュシユッ、コウー、シュオゥン、シュンシュンシュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン

「ねえ?文男さん、ここって こんなに長いトンネルだったかしら?」

『すみません、ご一緒させていただいてもよろしいでしょうか?』

「あっ貴方は!さ・・・さっきはどうも。お陰でたすかりました。でも、この席、なあ ゆかり!」

 

「ええ、すみません。この席グリーンですけど、料金の差額・・・」

カップルは内心、驚いていた。いったいいつから何処にいたんだろう?静かに微笑みながら グリーン車の通路に立つ あの女性。

『差額なんてとんでもないです。かえって脅かしてしまってすみません。ご迷惑でしょうけど その席でガマンしてくださいますか?」

「我慢だなんて そんな。とんでもない、大歓迎ですよ、こんな眺めの良い席で旅行が出来るなんて「夢」だとしたって最高です。あぁ、ちょうど車内販売が来ましたから、それじゃ何か飲み物でも、ビールで良いですか?、、ああ、お姉さん!ビール3本下さい」

 

{あの・・・お客様、細かいお金、ございませんか?10000円札ですと、今、お釣が・・}

「そう。それじゃお釣は後でも良いですよ。そうだ、その時で良いからサンドイッチを三人分持って来てください」

「さぁ よかったら飲んで下さい。どうぞ」

『あら、それじゃ遠慮なく。でも「夢」だなんて、面白い事をおっしゃるんですわね。うふふふ。・・・「夢」は実現するからこそ「夢」って言い伝えもありますけど、もちろん お2人にもあるんでしょ?』

 

「え・・・えぇ・・・あるには あるんですが・・・」

「はい・・・」

『何も[性転換手術]だけが夢の実現とは思えませんわ・・・愛し合っているお2人なら、いっそ[脳]交換手術の方が確実でしてよ。ビールいただきます』

キシュッぶくぶくぶくっ
クッコクコクコクコクッ

「な・・・なんですって!」
「そんな事・・・どうして・・・」

『フッウゥゥゥ、このビール冷たくて美味しいですわね。・・・脅かしちゃいましたか・・・お2人を拝見していれば解りますよ。優しくて男らしいご主人と、そのご主人にしっかりと寄添う貞淑で女らしい奥様・・・そんな自分の【性】に素直なカップルなんて、TSのカップルでもなければ、今の日本じゃ絶滅していますもの。よろしかったら 見学されませんか?それとも何か特にご予定でも?』

「はぁ・・・彼女と京都から関西旅行でも・・・と。なぁ?」

「そうです。初めての・・・でも・・・列車の予約すらこんな調子で別に予定とかは、特には・・」

『それでしたら、お嫌でなければ・・・ちょうど明日のオペの見学も出来ましてよ。[脳]交換の・・・』

「け・・・見学・・・[脳]交換のオペ・・・ゴクッ・・・ボクは どちらでも良いが・・・ゆかり、キミは?」

「・・・見てみたいですわ。同じ手術でも、貴方の女體になれるのなら・・・」

「そうか・・・たしかにね。・・・じゃお願いします」

『解りました。きっと満足されると思います。それじゃ もう少ししたら乗り換えましょう』

・・・・乗り換える・・・この列車の次の停車駅は、たしか京都ではなかったか?相原文男、(正確には[前島ゆかり]が入れ変わった[相原文男]なのだが・・・)はフトそう考えたが、この列車は東京駅のアナウンスでも言っていたが、本来のダイヤで走っているんじゃない。だったらノンストップ[のぞみ]タイプのダイヤでなくとも不思議はない・・・カップルは、親切な女性の提案に、網棚の手荷物を降ろし始めていた。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-

【・・・・・運転管理センターより「のぞみOOO号」・・・・・こちらのディスプレイに貴列車の前方に何かのノイズがある。列車遅延の報告はないんだが何かの姿が見えないか?・・・・念の為に、速度に注意されたい・・・・】

【管理センター・・・・こちら「のぞみOOO号」・・・・・・前方は霧で、何も見えない。念の為、速度を減速する・・・】

(今夜はいったい、どうしたっていうんだ。何だ、この霧は?)
そう つぶやいた主任運転手は、その直後、信じられない体験を味わう事になる。

ピィピィピィピィピィピィ
チカチカ・・・チカチカ・・・チカチカ

 

【はい、こちら運転管理センター管制台です、[のぞみOOO号]一体どうしましたか?・・・はあ?寝ぼけてんじゃないん・・・?違う?・・・】

運転手【嘘じゃない。今井田レチチも車掌室から目撃しとります。最初は、本列車の前方におった展望車の付いた左に見た事のない列車が、今は この[のぞみOOO号]と並走してるんです・・・】

管理センター【並走してるって・・・その周辺の軌道の左側には引込線はおろか線路もないんですよ】

運転手【ぎゃああああああぁああああぶつかるううぅぅぅぅぅ!!】

 

ボウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、、、、ボシッボボボホシュ、シシシシシュウウウウウウ

プォフオォォオォォオオオォ、、、、ンブオオォォォォォオオォォォォォブオ、ブオ、ブオ、ブオォォォォォォ

キシューキシュキシュキシューーー

数分前から 時速200キロ以上の高速で疾走する「のぞみOOO号」運転台の前方には、不思議な光景が広がっていた。先行列車がいる!この事であった。

だが その先行列車の形状は、夕闇に沸き上がる霧の中でさえ、現在運行している どの新幹線とも まったく違う、[展望車]と真っ赤に輝く尾灯・・・しかもそいつは電化されたELではなくSLではないか!霧のように見えていたのは、その巨大なSLの車体上部が吹き上げる排煙と両サイドから沸き立つ蒸気だった。

ボッシュウゥゥゥ
ボウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、、、、ボシッボボボホシュ、シシシシシュウウウウウウ

 

やがて その不思議な列車は[のぞみOOO号]に接触するかのように、少しずつ減速すると そのまま[のぞみOOO号]に激突するかと思った次の瞬間、まるでスローモーションフィルムのように、[のぞみOOO号]の左側に寄添う様にして、ついに時速280キロで疾走する「のぞみ号」に並走をはじめてしまったのだ。

 

プォフオォォオォォオオオォ、、、、ン
ブオオォォォォォオオォォォォォ
ブオ、ブオ、ブオ、ブオォォォォォォ

運転台の車窓の向こうに、ワックスの利いた上品なサファイアグリーンの車体に真っ白いストライプの7両編成の客車・・・そして、その最後尾の展望車の車内の西洋館のような調度までが手に取るように見てとれるではないか。

やがて 蒸気の白い湯気をまとって現れたのはどこまでも並行して続く広軌道の銀線を巨大な動輪で噛み締めながら、悠々と爆走するトワイライトブルーの流線形の巨大なSL機関車だった。

・・・・ボシッボッシュボッシュボッシュボッシュシュ、ガッシュ、ガッシュ、ガッシュガッシュ ガッシュ、キシユウウウウウウ

ボウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ

 

{お客様、お待たせしてすみません。ご注文のサンドイッチと、お釣をお持ちしまし・・・・あら?・・・お客様、どこに行っちゃったのかしら・・・まさか3人一度にトイレだなんて・・・}

 

「販売員さん、通路で 何ブツブツ言ってるんだい?そんなにサンドイッチ抱え込んで?」

{あら、専務車掌さん、この席のお客様がいなくなっちゃったんです。トイレにしては変だし、よく見たら網棚の荷物も無くなってるんですよ}

「そりゃ変な話だね、ちょっと待ちなさい、発券表で調べて・・・ん?・・・この女性専用席は東京駅からの利用者はない筈だがな・・・何かの間違いじゃないのかい?」

 

ボウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ・・・ボウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ

{あら?あの人達ですよ、専務車掌さん。いつ乗り換えちゃったのかしら。ほらほら、あれ最新型のレトロ調展望車なんですか?[あじあ号]って名前のすぐ上の窓のところにいる3人連れの人達・・・}

 

何時の間にか少ずつ速度をあげ、「のぞみOOO号」を追い抜いて行く列車の最後尾に連結された展望車の車内に、彼らはたしかにいた。その表情を確かめようとした時には、不思議な列車は霧と ともに闇の中に消えて行った。

 

 

<つづく>

ご乗車ありがとうございました。

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いわきのぞみさんから大作を戴いてしまいました。とりあえず前編をお送りいたします。実に妖艶な展開です。
「これのどこが『華代ちゃん』なんだ?」と思われるでしょうが、今は後編をお待ちください、としか言えません。ちなみに、ワタクシの手元にはすでに届いておりますので、編集作業ののち、速やかにアップしたいとは思っております。今しばらくお待ちください。

2001.11.12  mk8426

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